外出自粛の生活がキッカケで、料理に目覚めた人が多い。だがここまで長引くと、もう自炊を楽しむ気持ちや余裕が消えてしまった人も少なくないはずだ。

かくいう筆者がまさにそうで、コロナ禍以降、しばらくの間は「料理もやってみれば面白いものだな」と、慣れない自炊をそれなりに楽しんでいたが、今はもう包丁を手にすることもめっきり減った。しかし、コンビニ飯やテイクアウト一辺倒だと栄養も偏るし、財布にも優しくないという焦りもある。

そんなモヤモヤした思いを抱えながらスーパーをウロついていると、「Bistro Do(ビストロ ドゥ)」なる見慣れぬ商品を発見。手にとってまじまじ見てみると、どうやらかの有名な「Cook Do(クック ドゥ)」の洋風版らしい。

なんとなくパッケージが魅力的だったので、深く考えることもなく買い物カゴに入れてみたわけだが、これが個人的な「第二次自炊ブーム」の引き金になるとは、このときは想像もしなかった。なぜなら出来上がった料理は、ピカピカの料理一年生が自炊できるレベルを遥かに超えたものだったのだからーー。

まずは「鶏のトマトクリーム」から調理スタート

今回買ったのは「Bistro Do 鶏のトマトクリーム」と「Bistro Do 鶏のブラウンソース」の2種類だ。

「どっちも鶏かよ!」と呆れられるかもしれないが、新しい鶏肉を買い、余らせては冷凍し、冷凍していることを忘れては新しい鶏肉を買い……の無限ループで、大量の鶏肉が冷凍庫でカチコチのまま眠っているのだ。

これを処理したいが、もうただ焼いて食べるのも飽きたし、カレーも作り飽きた。そんな中で出会ったのが、この「Bistro Do」である。

「ブラウンソース」や「トマトクリーム」みたいな手の込んだ洋食は、これまで作ったことがない。初心者にはハードルが高いし、何ならこういう料理は外食で味わうものだという固定観念もあった。でも、今はこういう料理に飢えている。ちょっとしたイタリアンやビストロ系の居酒屋で出てくるような、出来たての洋食が食べたいのだ……!

ということで、まずは「鶏のトマトクリーム」から。パッケージには「フライパンで7分」と書かれているが、本当だろうか。

用意するのは、

  • 鶏もも肉(約250g)
  • エリンギ1パック(約100g)
  • パプリカ(赤)1個(約150g)
  • 小麦粉(大さじ1)

どれも調達に困らない食材ばかりだ。鶏肉は3センチ角に切って小麦粉をまぶし、パプリカも同じく3センチ角に。エリンギは厚さ1センチの短冊切りでカットすれば……下ごしらえは終了!? えっ、めっちゃ楽じゃん。

まずはフライパンに油を大さじ1杯入れ、鶏肉を皮から中火で焼いていく。今回はもともとカット済みの鶏肉を使ったが、まぁ大体3〜4センチ角くらいだったので大丈夫だろう。

そして、皮目に焼き色がついたらひっくり返し、両面に焼き色がついたらパプリカを投入。蓋をして、弱火で2分間、蒸し焼きにするようだ。塩こしょうなどで下味をつけなくていいのだろうか? と思いつつ、今回は素直に従ってみることに。

2分後、今度はエリンギを投入してサッと炒めよ、とのことだ。

そして一度火を止め、今回の主役である「Bistro Do」をかける。

最後に再び火を点け、手早く混ぜ合わせれば出来上がりだそうだ。

よし、こんなもんだろう。予想以上に簡単だった。本当に7分くらいで完成した気がする。これを皿に盛り付けて……

完成。気を利かせてパセリを一振りすることで彩りを加えてみたつもりだが、こうしてみるとたこ焼きに青のりをかけたかのようだ。もっと全体にまぶしたほうがよかったのか? まぁ味に問題はないだろうから、さっそくいただきますか。

うっ、美味い。自分で作ったとは思えないほど、ちゃんと美味い。バターと北海道産生クリームを使用したというクリームソースはとても濃厚で味わい深い。トマトの酸味よりも甘みを感じ、全体的にマイルドな仕上がりとなっている。

パプリカとエリンギもシャキシャキで最高! ソースによく合う! これは予想以上に本格的な洋食だ。鶏肉を焼いているときは「塩こしょうを振りかけなくていいのかな」とも思ったものだが、しっかり完成された味になっている。材料を炒めて、出来合いのソースをかけるだけでこんなにクオリティの高い料理が仕上がるとは……なかなか驚きである。

「鶏のブラウンソース」はシチリアに瞬間移動したかと錯覚するレベル

続いては「鶏のブラウンソース」にチャレンジ。

こちらも調理時間の目安は7分で、味は「芳醇なポルチーニの香り」と書かれている。ポルチーニなんて実家でも食べたことがないし、日本の家庭料理ではなかなかお目にかかる機会がないのではないだろうか。

こちらの材料は……

  • 鶏もも肉(約250g)
  • エリンギ 1パック(約100g)
  • ぶなしめじ 1パック(約100g)
  • 小麦粉(大さじ1)

……となっているが、舞茸を含んだキノコセットというものが自宅にあったので、これを使ってみよう。前回は素直にレシピどおり作ったので、今回は少しアレンジにも挑戦したい。

これも鶏肉は3センチ角にカットして小麦粉をまぶし、しめじは小房に分け(舞茸もそうしよう)、エリンギは1センチの短冊切りに。これで下準備は完了だ。

こちらも油を大さじ一杯フライパンに入れ、中火で皮から焼いていく。

両面に焼き色がついたら、蓋を閉めて弱火で2分間蒸し焼きにし、キノコ類を投入する。

これをサッと炒めたら火を止め、「Bistro Do」を加える。

そして、ここからは今回の最大のアレンジポイントになるが……

レンジを使って茹でておいたペンネを追加で投入! これが合わないはずがない!

再び火をつけて、ササッと混ぜ合わせれば……

完成! めちゃくちゃいいにおいだし、これは美味そうにもほどがある。かなりの自信作である。ではさっそく、チキンから。

美味っっっっ!! なんだこれ、家で食べられるレベルじゃない! 美味すぎるぞ……!? ポルチーニのブラウンソースは香り高く、濃厚で奥深い。特製のブイヨンがベースになっているらしく、肉の旨みが猛ったバイソンのように突進してくるではないか。

そしてペンネもやはり、最高に合う! あれっ、ここはシチリアか? と錯覚するほど本格的。うんっめー!!

ポルチーニは「イタリアの松茸」とも呼ばれるが、このソースをまとったことで、エリンギやしめじ、舞茸が一気に高級感のあるキノコへとランクアップされたイメージだ。歯ごたえもバラエティに富んでいて、とても美味しい。これは本当に絶品である。

そもそも、ポルチーニなど、ちょっとお洒落なイタリア料理屋などでしか食べる機会はないように思う。それを自宅で楽しめるなんて、考えもしなかったが……実際に食べると、幸福度がすごい。あっという間に完食。

今回かかった食費は2品でせいぜい1000円程度だと思われるが、自宅で余っていた食材も多かったので、そんなに費用がかかったという意識はない。そして、1品につき2〜3人前のレシピとなっているので、ひとりで食べるなら5食分くらいには相当する量である。そう考えるとかなりコスパは高いし、それでいてこんなに美味しいなんて、軽くパニックを覚えるレベルである。

ひとり暮らしの食卓を少しリッチにするもよし、お客さんを招いたときに出すのもよし。「Bistro Do」は、少なくとも料理初心者〜中級者の自宅飯を、確実にワンランク上げてくれる頼れる存在である。自炊に刺激が欲しい人は、ぜひ一度お試しあれ。

ちなみに、全4種類あるようなので、残り2種類もさっそく作ってみたいと思った次第だ。続報をお待ちいただきたい。