女優の戸田恵梨香と永野芽郁がW主演する日本テレビ系ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(毎週水曜22:00~)の美術デザイナー・樫山智恵子氏が、劇中に登場する“町山交番”セットの秘密を語った。

  • (左から)永野芽郁、ムロツヨシ、戸田恵梨香=日本テレビ提供

日テレ生田スタジオの中に“オープンセット”として作った町山交番。「交番はこの話のメインなので、監督と、まずは交番をどうしよう、ということで、台本を読んで打ち合わせをして、こちらからもいろいろ提案をさせていただきながら、交番内の装飾も含めてイチから作っていきました」という。

監督から「明るい感じにしたい」という希望があり、机の上の飾りなどを考えていたが、「監修の方に伺ったところ、机の上には何も置かない、と。私物はもちろん、パソコンも使い終わったら引き出しの中にしまうそうなんです」とのこと。「なので、思っていたよりもシンプルにはなりましたが、窓を多めにして明るくしたり、背景の掲示物にもこだわったり、よりリアルな交番の空気感を感じていただけるようになったと思います」と工夫を凝らした。

掲示物もすべて美術スタッフで制作。「指名手配犯はドラマスタッフさんに写真を撮らせてもらって(笑)。交番によくあるちょいダサなポスターもいろいろ貼ってます。『町山君』というキャラクターは、顔に『町山』と入っている独特なデザインですが、監督の意見がふんだんに盛り込まれてます。オリジナルグッズにもなってますが、飾りの面でもいろいろと活躍してくれてますね」と明かす。

外観は「ドラマ的にはオシャレなほうがよかったりするかもしれないんですが、このドラマにおいては、どこにでもある感じにしたいなと。オシャレでもない、近所にありそうな雰囲気の交番にしたいという点にこだわりました」と意識。

今回のドラマを担当してから、「もう交番はクセで見ちゃいますね(笑)」といい、「警察官の方を見るとがんばってるなあと思って見ちゃいますし、女性警察官は特に思います」という心境になっているそうだ。

交番セット以外について聞いてみると、「刑事課はむさくるしい感じを出したくて、実は天井を低めにしたんです。特に刑事課は役者さんたちの背が高くていつも天井が見切れている(=見えてしまう)ので、狭苦しい感じに見えているのではないかと思います。逆に取調室は冷たい感じにしたくて無機質な内装にこだわりました。原作の泰三子先生が刑事課を見学に来てくださったんですが、『懐かしい』とおっしゃってくださって。本当によかったです」と、元警察官の原作者も太鼓判。

永野演じる川合の部屋は「いろんな色がありますよね。そこは彼女の明るいキャラクターを反映させています。マンガ好きというキャラだったので、ドラマにも『ツンデレ先輩と甘えん坊幼馴染のアゴクイ大戦争』というマンガが出てきましたが、本棚にはズラッと恋愛マンガが並んでいたり(笑)」といい、戸田演じる藤の部屋は「逆に大人っぽい部屋になっているので、2人の対比を感じていただけると思います」と見どころを語る。

そして、「美術担当としては、視聴者の方にセットと思われたくないという気持ちがあるのですが、特にこのドラマにおいては、ドラマの役者さんたちの邪魔にならないセットを作りたいと思っています。このドラマの主人公は藤と川合の2人ですが、いろんな登場人物がそれぞれ主人公みたいな感じがするドラマだと思うんです、群像劇だなと。9話で終わってしまうんですが、みんなこれからも活躍するんだろうなって思えるドラマになっているんじゃないかなと。そう感じさせてくれるところがこのドラマのとても気に入っているところです」と作品への思いを話してくれた。