ビジネスシーンにおいて「結構です」は、よく使われる表現の一つですが、真逆の2つの意味を持つため、使い方には注意が必要です。
本記事では「結構です」の詳しい意味や正しい使い方・例文についてまとめました。言い換え表現や、目上の人に使えるのかなどの注意点、英語表現なども紹介します。
「結構です」の意味は2つある
まず「結構です」の基本的な意味について解説します。「結構です」には2つの異なる意味があるため、よく理解しておきましょう。
「結構です」が持つ真逆の意味とは
「結構です」には「それでいい」という許可の意味と、「これ以上はいらない」という否定・断りを入れる意味の、真逆の2つの意味があります。そのため、自分がどちらの意味で使用しているのか、相手にわかりやすく伝える必要があります。
例えば、買い物のときを考えてみましょう。「これはいらない」という意味で「結構です」と答えたつもりが、相手に「それで進めていいです」という許可の意味と受け取られてしまい、不本意にも売買が進んでしまう可能性があります。
そういったトラブルが起きないよう、2つの意味があることを理解し使い分けることが大切です。
「結構です」をビジネスで使うときの注意点
「結構です」を使うときに注意したい点をまとめました。特にビジネスシーンでは、小さな勘違いが、大きな損失や人間関係の亀裂につながることもあります。
「結構です」は誤解を生みやすい表現なので、不要なトラブルを生まないためにも、使う場面や使い方には気を付けましょう。
肯定か否定かをはっきりさせる
「結構です」とだけ回答すると、肯定なのか否定なのかがわからなくなってしまいます。「結構です」を使用する際には、前後に言葉を補って、肯定か否定かがはっきりとわかるようにしましょう。
例えば、「カタログを送ってもいいでしょうか」と聞かれたとき、「もう持っているので結構です」と答えれば、否定の意思が伝わるでしょう。反対に「送っていただいて結構です」と答えれば、肯定の意思があることが伝わります。
敬語ではあるが、上司など目上の相手に使うと失礼な印象に
「結構です」は丁寧語のため敬語表現ですが、尊敬語や謙譲語を使っていないので、敬意は低めです。また「結構です」と言うと、やや偉そうな態度だと捉えられる可能性もあります。
そのため、上司など目上の立場にある相手には、「結構です」を使わない方が無難です。
目上の人相手に肯定の意思を伝えるときは「問題ございません」や「差し支えございません」、否定の意思を伝えるときは「せっかくですがお断りいたします」や「恐れ入りますが遠慮いたします」などと言い換えるといいでしょう。
冷たい印象を与える恐れがある
「結構です」を否定の意味で使うとき、単体で使うと冷たい印象、きつい印象を与えてしまう恐れがあります。そのため、断るのが申し訳ない、という気持ちはきちんと伝えるようにしましょう。
例えば、「申し訳ないのですが結構です」「せっかくですが結構です」など、文頭に言葉を補うだけでも印象が良い方向に変わります。
肯定・許可の意味の「結構です」の使い方と例文
「結構です」で肯定の意思を伝えるとき、否定の意思と紛らわしくならないように伝える方法をまとめました。「結構です」を使った例文も紹介します。
一言添える
前述したように、何か一言添えると肯定の意思が伝わりやすくなります。例えば、「進めていただいて結構です」「結構です、お願いします」というように、「結構です」の前後に言葉を添えるだけで伝わりやすさが変わります。
「構いません」「問題ありません」などに言い換える
「結構です」ではわかりにくいので、異なる表現に言い換えてみてもいいでしょう。例えば、差し支えない、気にしないという意味で「構いません」、進めてもいいという意味で「問題ありません」、足りていて良好な状態という意味で「もう十分です」などに言い換えられます。
「結構です」を肯定的に使った例文
「結構です」を肯定の意味で使った例文を紹介するので覚えておきましょう。
・「明日も同じ時間でよろしいでしょうか?」「結構です、問題ありません」
・「このやり方で進めてもよろしいでしょうか?」「はい、進めていただいて結構です」
・「飲み物をお持ちしてもよろしいでしょうか?」「結構です、お願いします」
否定・断る意味の「結構です」の使い方と例文
次に、「結構です」を使って否定の意思を伝える方法を紹介します。例文も挙げているので、実際に使うときの参考にしてみてください。
きつい言い方にならないよう、「どうかお気遣いなく」などやわらかい言い方に
否定の意味で「結構です」を使うと、きついという印象を与える可能性があります。また肯定の意味と紛らわしくもあるので、否定の意味を明確に表す、やわらかい表現に言い換えることをおすすめします。
よく使われるのは「どうかお気遣いなく」「遠慮いたします」などです。「恐縮ですがお断りします」などの言い方もいいでしょう。ぜひ「結構です」の代わりに使ってみてください。
「結構です」を否定的に使った例文
「結構です」を否定的に使う際の例文は以下の通りです。
・「よろしければおかわりはいかがですか?」「おなかがいっぱいなので結構です」
・「こちらのパンフレットはいかがですか?」「いいえ、もう持っているので結構です」
・「このたびはご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。よろしければ今後もお取引願いたいのですがいかがでしょうか?」「申し訳ありませんが、結構です」
「結構です」の類語は「大丈夫です」
「結構です」の類語には、「大丈夫です」があります。「大丈夫です」も許可なのか否定なのかがわかりにくい表現であるため、使うときには注意が必要です。
「結構です」の英語表現
許可を表す、肯定的な意味での「結構です」は、英語で「alright(大丈夫)」「fine(良い)」が該当します。
一方、断りの意思を示す否定的な「結構です」には「good」あるいは「OK」を使うといいでしょう。どちらも「良い」という意味ですが、「もう十分」「これ以上はいい」というニュアンスが含まれています。
英語に言い換えるときの注意点
否定の意味の「結構です」を英語で表現するとき、多くの人は「No, Thank you」を思い浮かべてしまうかもしれません。しかし「No」は強めの否定の言葉なので、きつい印象を与えてしまいます。
英語で「結構です」を伝えるときは、前述のように「good」「OK」といった「良い」という意味の単語を使うようにしましょう。
例えば、「I'm good, Thank you.(ありがとう、もう結構です)」「Thank you, but I'm OK.(ありがとう、ですが私は大丈夫です)」のような言い方が一般的です。
「結構です」の正しい意味や使い方を理解し、肯定と否定で使い分けよう
「結構です」の意味や使い分けについてまとめました。「結構です」は肯定と否定両方の意味があるので、使うときははっきり区別をつけられるように工夫する必要があります。ビジネスシーンで活用するときは注意しましょう。