たてがみをなびかせ、颯爽と駆け抜ける馬。一度でいいからその背に乗って疾走してみたいと思う人も多いのではないでしょうか。

とはいっても、全速で駆ける馬に乗るには訓練と技術が必要で、簡単にできることではありません。しかし今ツイッターでは、まるで本当に馬に乗って走っているかのような臨場感のある動画が話題になっています。

北海道にある牧場、追分ファーム(@oiwakefarm)がツイッターに投稿したこちらの動画です。

この動画はライダーの方が撮影したもので、動画内の馬の時速は約58キロ。走っているのはレースを控えた現役の競走馬なのだそう。

この動画を見た人からは、「すごい爽快なスピード感! 」「お馬さんに乗ってる気分になりましたっ」「こういう映像、もっともっと見たいですね」「車載動画ならぬ馬載動画! 」と感動の声が上がっていました。

また、全速力の馬に乗りながらほとんどブレのない動画を撮影したライダーに対しても、「ジョッキーの安定感やばすぎる」「こんなスピードの中、状況を判断して仕掛けていくと思うと騎手は本当にすごいですね」「スピード感も凄いですが生物に乗っているのに騎手はこんなにもブレないのかと感動致しました」と、驚きの声が寄せられていました。

その技術などについて、ツイ主の追分ファームの担当者の方にお話を聞きました。

ツイ主さんに聞いた

――このスピード感にも関わらず、ほとんど映像にブレがないことに驚きの声が多くあがっています。

人間が走る際も同様ですが、馬は全速力に近づくにつれて、重心を一定に保ち、上下動や左右の揺れを制御します。その結果、生み出された全動力が効率よく推進力へと変換されます。この動画に映る馬もそういった状態である事がまず前提としてあります。

――そうしてあのスピードが生まれているんですね。

はい。しかしそれでも当然、素人や技術的に未熟なライダーは、馬からの振動(反動)に対する随伴(体の動きを馬に合わせ、馬が動きやすいように馬上でバランスを取る事)が上手く出来ず、ライダー自身の体が馬の振動(反動)に合わせて動いてしまいます。馬は体が大きく、四本脚の生き物なので、いくら速度を出すために揺れを制御していたとしてもその反動はかなり大きいです。

――その反動の中、この動画を撮影するには相当の技術が必要ということでしょうか。

そうですね。動画のライダーは、自身の膝をクッションにして馬から伝わる振動(反動)を吸収しています。ライダーの膝が車のサスペンションのような役割を果たしていると考えて頂ければ分かりやすいと思います。

手綱とライダーの腕は、しなやかで柔らかい1本のロープだと思って下さい。手綱から伝わる振動も全て腕が吸収し、ライダーの肩から先の上体へは伝わりません。

ライダーは馬の背中のラインとライダーの背中のラインが平行になるように姿勢をキープしながら跨がっています。その姿勢をキープするために馬からの振動(反動)を全て膝から下、肩から先の腕で吸収する必要があります。

この全ては「馬の走りの邪魔をしない」ための技術です。ライダーに求められる技術はこれだけではありませんが、ライダー達は皆それを第一に考えています。それが最も大切で、最も難しい技術だと私は思っています。

――この映像にはライダーの方の高い技術力も映されているんですね。今回、なぜこの映像をツイッターに投稿しようと思われたのでしょうか?

競走馬の生産・育成牧場というのは、なかなか一般的に周知される事がない場所なので、牧場での当たり前の日常を少しでも皆様と共有出来たらいいなと思い、これまで気ままにツイートしてきました。この動画をアップした際にはここまでの反響は予想していなかったので、「炎上したっ!? 」と初めは怖かったです。

――たくさんの反響が寄せられていますね。多くは映像に対する感動と驚きの声ですが、率直な感想を教えてください。

私のツイッターはたくさんのスタッフの理解と協力の上に成り立っています。今回の動画も、「ツイッターに使えるかなと思って撮影してきたよ」とライダーが自主的に撮影して私に声をかけてくれたんです。

私自身、乗馬はするものの軽く障害を飛ぶ程度で、普段ライダー達がこれほどのスピードの中で馬と向き合ってくれているのだと映像を通じて知る事ができ、本当に感動しました。この感動とともに「うちのライダーはこんなに凄いんですよ! 」「馬ってこんなに速いんですよ! 」と1人でも多くの人に知って欲しかった。ツイッターにこの動画をアップしたのはそういった経緯からです。

今回、たくさんの方から「馬はこんなに速く走れるんですね」「時速何キロくらい出ているのですか? 」や「鞍上の技術が凄い」との声を頂戴して、私と同じように感じて下さった方がこんなにいらっしゃるのだと、またまた感動させて頂きました。


競走馬のスピード感だけでなく、ライダーの技術の高さも知ることができるこの映像。何度見ても爽快な疾走感が味わえますね。