以前はノンアルコールビールというと、「飲めないときに飲むビールの代用品」という位置づけだった。しかし最近は体調やシーンに合わせて積極的に選択する人が増えている。緊急事態宣言下では酒類を提供できない店でノンアルコールビールを頼む人も増えたようだ。
ノンアルコールビールには、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品を謳うヘルシーなイメージの商品も多い。そこで今回はヘルシー系ノンアルコールビールに絞り、4種を飲み比べてみた。
なお、各社のカロリーや糖質の表記は食品表示基準に基づいており、カロリーは5kcal(100mlあたり)未満を0kcal、糖質や糖類は100mlあたり0.5g未満、プリン体は100mlあたり0.5mg未満のものが0(ゼロ)と表示される。
アサヒビール「アサヒ ヘルシースタイル」
まずはアサヒビールの「アサヒ ヘルシースタイル」。食物繊維(難消化性デキストリン)のはたらきにより、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする特定保健用食品(トクホ)だ。
今年2月にデザインをリニューアルし、トクホであることに加え、カロリーや糖質がゼロであることもよりわかりやすくなった。ゴールドの華やかなパッケージは高級感もある。
飲んでみると、しっかり香りと味があり、甘味と苦味のバランスがよい。すっきりしつつも、後味にビールらしいコクも感じられる。
「一番の特長はトクホであることですが、ビールらしいコクと、食事に合うすっきりとした味わいの両立にもこだわっています。ビールらしい味が高く評価され、2020年の販売数量は前年比114%と好調でした」(アサヒグループホールディングス 広報部門 山添綾さん)
アサヒビール「アサヒ ヘルシースタイル」の特徴
・「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」トクホ
・バランスのよい甘味と苦味、コクのある後味
・高級感のある華やかなデザイン
キリンビール「キリン カラダFREE」
キリンビール「キリン カラダFREE」は、お腹まわりの脂肪を減らす機能性表示食品だ。同社が10年以上かけて開発した、ビールの原材料でもあるホップから生まれた熟成ホップエキスに含まれる「熟成ホップ由来苦味酸」が機能性関与成分となっている。カロリー0、糖類0であるのも特徴だ。
2021年のリニューアルでは缶のデザインに加えて、原材料の配合を見直し、さらなる美味しさを追求したという。苦味はおだやかで、嫌味のない自然な味わい。口当たりが爽快で、いくらでも飲める。食事にも合わせやすい印象だ。
「今年のリニューアルでは、数えきれないほどの試作を重ね、さらにゴクゴク飲める爽快な美味しさと人工感のないすっきりとした後味を実現しました」(キリンビール マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の佐藤洋介さん)
ほかにはない「お腹まわりの脂肪を減らす」という機能への支持も高く、売上も好調。2019年10月の発売から2021年6月末までに累計6000万本を売り上げており、今年のリニューアル後は前年比約30%増と非常に好調に推移しているそうだ。
キリンビール「キリン カラダFREE」のポイント
・「お腹まわりの脂肪を減らす」機能性表示食品
・苦味がおだやかで、すっきり
・食事に合わせやすい自然な味わい
サッポロビール「サッポロ うまみ搾り」
サッポロビールが2020年に発売した「サッポロ うまみ搾り」は、アンセリンで尿酸値を下げる機能性表示食品。2021年3月にパッケージをリニューアルし、機能説明の文字がより目立つようになった。麦の絵が描かれたデザインは見た目にも美味しそう。プリン体ゼロも実現している。
実際に飲んでみると、ベルギービールなどにありそうなどこかフルーティな香りで、すっきり飲める。苦味は強すぎず、まろやかでビールらしいうまみも感じる。クリーミーな泡が長持ちするのもうれしい。
「尿酸値を気にするビール好きのお客様のために開発したため、ビール好きのお客様にご納得いただける味にこだわりました。大麦エキスを使用したリッチな美味しさと豊かな旨み、そしてすっきりとした飲み口に仕上げました」(サッポロビール マーケティング本部 ビール&RTD事業部 岡崎仁美さん)
サッポロビール「サッポロ うまみ搾り」のポイント
・「アンセリンで尿酸値を下げる」機能性表示食品
・うまみがあり、すっきり飲める
・クリーミーな泡が長持ち
サントリービール「からだを想うALL-FREE」
サントリービールが2019年に発売した「からだを想うALL-FREE」は、内臓脂肪を減らす機能があるローズヒップ由来ティリロサイドを使った機能性表示食品。カロリーゼロ、糖類ゼロ、プリン体ゼロの商品でもある。
グラスに注ぐと繊細な泡が次々に立ち上ってきて美しい。口に含むとビールらしい苦味がガツンときて、適度な飲みごたえがある。香りには、焼き芋のような香ばしさも。ナチュラルで飲みやすい味だ。
「健康機能はもちろんですが、ビールテイストとしての美味しさにも、妥協することなくこだわっています。具体的には、粒選り麦芽100%一番麦汁使用、アロマホップ100%使用、天然水100%仕込といった『オールフリー』の原材料と製法へのこだわりはそのままに、苦味を強化することで飲みごたえが感じられる味わいに仕上げています。この味わいを実現するまでに、100以上の試作を繰り返しました」(サントリービール ブランド戦略部 斎藤圭世さん)
ビール好きだが健康も気になる30代以上の男女をターゲットに開発したが、想定以上に幅広い層から支持を得ているとのこと。2021年1~6月累計では対前年比40%増、直近の6月単月では対前年51%増と好調だ。
サントリービール「からだを想うALL-FREE」のポイント
・「内臓脂肪を減らす」機能性表示食品
・麦芽、アロマホップ、天然水など原料にこだわり
・苦味が強く、適度な飲みごたえ
似ているようで少しずつ違うヘルシー系ノンアルコールビール。求める機能や好みの味わいからお気に入りを見つけてみては。