この記事では、「悲喜こもごも」の意味や使い方について解説します。例文や類語、英語表現についても紹介していますので、ビジネスシーンで役立てたい方はぜひ読んでみてください。

  • 「悲喜こもごも」の意味と語源

    「悲喜こもごも」の意味や使い方について解説します

「悲喜こもごも(ひきこもごも)」の意味とは

「悲喜こもごも」は「悲しみと喜びの感情が交互にやってくること」を表す四字熟語です。「ひきこもごも」と読み、漢字では「悲喜交交」と書きますが、一般的に「交交」はひらがなで表します。

「悲喜こもごも」と似た言葉に「悲喜交集(ひきこうしゅう)」があります。「悲喜交集」は「悲喜こもごも」の中国語です。「悲喜(悲しみと喜び)」が「交集(入り交じる)」という意味があります。見た目が似ていますが、日本語の文章では「悲喜こもごも」を使用しましょう。

  • 「悲喜こもごも」の意味と語源

    悲喜こもごもの誤用に注意しましょう

「悲喜こもごも」の使い方・例文

「悲喜こもごも」という言葉の意味をすぐに理解できると、ニュースやラジオ、新聞などの内容も理解しやすくなります。また、意味を理解しておくことで、表現したいときに正しく使えるので便利です。

「悲喜こもごも」の使い方

「悲喜こもごも」は感情を表す言葉ですが、複数人ではなく、ひとりの心境を表現する場合に使います。選挙や合格発表などの際に複数人の心境を表すためにに用いられている場合は、誤用表現になります。

ニュースやラジオなど報道関係での誤用もあることから、近年の国語辞書には「悲しむ人と喜ぶ人が入り乱れる」という意味で使用するのは誤りであると補説が記載されています。

悲喜こもごもの例文

・大会で銅メダルをもらった。うれしい気持ちはもちろんだが、目標は金メダルだったことを思うと悲喜こもごもだ
・期待して鑑賞した映画ではなかったが、悲喜こもごものストーリーで見応えがあった

「悲喜こもごも」は、「悲しみと喜びを交互に感じる」場合に使用する言葉です。「喜びと悲しみ」「うれしさとさみしさ」などの2つの感情を同時に、または交互に味わうという複雑な感情を「悲喜こもごも」として表現しましょう。

  • 「悲喜こもごも」の使い方と例文

    「悲喜こもごも」を使って人間の複雑な感情を表現してみましょう

「悲喜こもごも」の類語

「悲喜こもごも」にはいくつか似ている言葉があります。中でもよく耳にする4つの言葉をご紹介します。

感情が交錯する

「感情が交錯(こうさく)する」は、いくつもの感情や考えが入り交じることを表現する言葉です。

・父の人生に隠された秘密を知り、説明できないほどの感情が交錯している
・所持金をすべてはたいて買った宝くじで一等が当たった瞬間、さまざまな感情が交錯した
・後輩が社長賞を受賞した。喜びと嫉妬の感情が交錯する

「感情が交錯する」の「感情」には悲しみや喜びだけではなく、怒りや恐怖、好き・嫌いなどすべての感情を含めます。

笑いあり涙あり

「笑いあり涙あり」は笑えたり泣けたりという要素が含まれているさまを表しています。「笑い」には愉快・滑稽であること、「涙」には感動はもちろん悲痛さなども含まれます。

・このドラマは笑いあり涙ありのハートフルコメディです
・彼女の講話は涙あり笑いありで、最後まで楽しく聞くことができた

笑いと泣きの要素が含まれている場合に使う言葉で、「涙あり笑いあり」と順番が前後しても使えます。

波乱万丈(はらんばんじょう)

「波乱万丈」は感情ではなく、劇的な変化にとんだ様子を表す四字熟語です。苦労や苦行の「波」を表しています。「万丈」はとても高いことや深いことのたとえです。「乱」は「瀾」と書くこともあります。

・彼女はしなくてもよい苦労を背負って波乱万丈の人生を歩んできた
・彼ほど波乱万丈の生き方を送っている人を他に知らない

「変化が激しい様子」を表現する言葉なので、一般的な人生の節目ともいわれる「波」には使用しません。人が経験しないような苦労や苦行を経験して、かつ乗り越えた人を表す際に使うとよいでしょう。

ドラマチックな

「ドラマチックな」は文字どおり、劇を観ているような感動を受けていることを表現する言葉です。「ドラマチック」には人の心を奪い、心を揺さぶる激しいありさまという意味があります。

・彼女の人生はとてもドラマチックだ
・この状況からドラマチックな展開に進まないか期待している

具体的な感情ではなく「ドラマチック」のひとことで表現されるため、隠された感情は読み手や聞き手の想像力に委ねられています。日本語にするなら「劇的な」に言い換えるとよいでしょう。

  • 「悲喜こもごも」の類語

    「悲喜こもごも」とともに、感情を表現できる言葉を使いわけましょう

「悲喜こもごも」の英語表現

「悲喜こもごも」の英語表現には「bittersweet」があります。「bittersweet」は砂糖をあまり加えていないチョコレートのほろ苦い風味を表現する単語です。また、うれしくもあり、悲しくもあるという感情も表現できます。

・The drama is a bittersweet story set in Tokyo
このドラマは東京を舞台にした悲喜こもごもなストーリーである

「悲喜こもごも」の英語表現は「bittersweet」以外にも、「alternate between joy and grief」でも表すことができます。「alternate between joy and grief」は「喜びと悲しみが交互にやってくる」という意味があり、「悲喜こもごも」と同じように使うことができます。

・My life has been full of alternate between joy and grief
私の人生は悲喜こもごもなものでした
  • 「悲喜こもごも」の英語表現

    「悲喜こもごも」の英語表現

「悲喜こもごも」の意味や使い方をマスターしよう

「悲喜こもごも」という言葉は、喜びと悲しみの感情が交互にくるという複雑な心境を表した四字熟語です。ひとりの心境を表すときに使用するため、複数人の心境について用いるのは誤用となります。国語辞書で補足説明がされているほど誤用が多いので、正しい使い方を意識しましょう。