「色物(いろもの)」は、もともとは大衆芸能で使われていた言葉ですが、近年では悪い意味で広く用いられるようになりました。
そこで本記事では、「色物」の意味や使い方、英語表現などについて解説します。「色物扱い」や「色物キャラ」の意味も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
色物(いろもの)とは
「色物」とは「主となる演芸のいろどりになる芸」のことです。たとえば、落語を中心にプログラムが構成されている寄席の場合は、落語以外の芸が「色物」になります。漫才を中心としたプログラムなら、漫才以外の芸が「色物」です。
ただし、落語が中心の寄席では、落語より歴史が古い「講談」に敬意を表しているため、講談を「色物」とはみなしません。看板やポスターにも、落語と講談の演者は黒字、他の演者は朱色で書くという伝統が残っています。なお、講談が中心となる寄席の場合、落語は「色物」になります。
寄席における色物の役割
寄席の「色物」には、主に3つの役割があります。
1.落語が数本続いて観客の集中が切れたところで、場を賑やかにするため手品や曲芸をみせる。
2.休憩直後のざわついている会場で、観客を舞台に集中させる。
3.メインのトリの前に、舞台に集中させる芸を披露しながら、観客がトリに対して盛りあがれるような雰囲気を作る。
上記3つの役割をこなせれば、「一流の色物さん」と呼ばれます。
色物を使った表現
「色物」は、会話の中で「色物扱い」や「色物キャラ」といった表現でよく使われます。それぞれの意味も押さえておきましょう。
色物扱い
「主要な位置にないもの」という意味が転じて、「業界や物事において主要な位置にはないもの」のことを「色物扱い」や「色物商品」などと呼ぶようになりました。
「主要ではない」という意味合いがあるため、人に対して「色物」を使うときには失礼とならないよう注意しましょう。
色物キャラ
「色物キャラ」とは、一般的に「みた目や技、デザインなどの観点から、滑稽さや奇抜さが目立つキャラクター」のことを指します。「三枚目」と呼ばれることもあります。
みた目で笑いを狙っているキャラクターや、モチーフが極端に異なるキャラクターも「色物キャラ」です。真面目なキャラクターのなかに色物キャラを登場させると、世界観や雰囲気の幅が広がります。
色物の英語表現
「色物」を英語で表現したい場合は「unorthodox」を使います。英語が必要な場面ですぐに出てくるよう覚えておきましょう。
He was treated as unorthodox.(彼は色物扱いされた)
色物は大衆演芸で使われていた言葉
「色物」は「主となる演芸のいろどりとなる芸」を意味する言葉です。落語や漫才などの大衆演芸で使われる言葉ですが、日常的な会話で使う場合は悪い意味に捉えられないよう注意しましょう。
語彙力を高めるために「色物扱い」や「色物キャラ」などの使い方も覚えておきたいところです。