「芸能人の熱愛発覚」や「会社の不正が発覚」など、ニュースで目にする機会の多い「発覚」という表現。本来の意味は「(隠しておいた悪いことが)ばれてしまう」であることをご存知でしょうか。
正確な意味を知らずに日常会話で使ってしまうと、あなたの意図がうまく伝わらないかもしれません。
この記事では、発覚という言葉の意味と使い方を解説します。「判明」「発見」との違いも説明しますので、正しく使いわけてあなたの意図を正確に伝えられるようにしましょう。
発覚の意味
発覚は、「(隠していた悪いことが)明るみに出ること」という意味。横領や欠陥などの不祥事や、犯罪などに対して使用されることが多い熟語です。
つまり、本人が隠そうとしていない事柄や、悪事などでない事柄に対してこの表現を使うのは、本来の用法とは異なっていると言えます。ニュースでも見かけることがありますが、「妊娠発覚」や「熱愛発覚」など、喜ばしいことに対して発覚という表現を使うと、妊娠や熱愛が「隠しておいた悪いこと」であるかのような意味になってしまいます。
病気などに関しても、本人が病気であることを知っていながら隠していたのであれば「病気が発覚した」といえますが、検査の結果病気であることがわかった、という場合には意図的に隠していたわけではないため適切ではありません。
単に「~ということがわかった」という際に発覚を使ってしまう人も多いですが、本来の意味を知っておかないといらぬ誤解やトラブルを招いてしまう可能性があります。「私の部署でミスが発覚しました」などと言ってしまうと、「ミスを隠蔽しようとしたのか?」と思われてしまいかねませんので注意しましょう。
■例文で確認! 発覚の使い方
それでは、発覚はどのような時に使うべき熟語なのでしょうか。以下の例文で確認してみましょう。
- リリース直前になって、隠されていたプログラムの問題点が発覚し、予定が大幅にずれ込んだ
- 芸能人が女性に暴力を振るったことが発覚し、放送予定のドラマを降板した
- 同僚が横領していたことが発覚し、勤務先に警察官がやってきた
- 不正の発覚を恐れ、彼は更に罪を重ねた
発覚と似た表現の使いわけ
発覚と似た言葉に「判明」と「発見」があります。それぞれの違いを知り、使いわけられるよう意味と例文を確認しておきましょう。
■発覚と判明の違い
「判明」は「はっきりとわかること」。調査や研究をすすめるうちに、明確な事実がわかった際に使う言葉です。発覚と違い、事実が隠されていたかどうかは問題ではなく、また悪い内容だけに使うわけではありません。
- 病院での検査の結果、体調不良の原因が判明した
- 研究の結果、従来の定説とは違う新事実が判明した
■発覚と発見の違い
「発見」とは、「今までに見たことがないものや、知られていなかったものを見つけること」です。それまでに知られていなかった事象や、存在は知られていたが実際に見たことはないものなどを見つけた時に使います。
「意図的に隠されていたもの」ではなく、「隠れていたもの」が明らかになるという点が発覚との違いです。また、善悪のニュアンスはありません。
- アルキメデスは、風呂に入った時に浮力の原理を発見したと言われている
- 行方不明になっていた家族を発見した
発覚の言い換え・類語
発覚の言い換え表現や類語を説明します。
■ばれる
「ばれる」も、秘密や隠しておきたかったことが他人に知られてしまうこと。カタカナで「バレる」と表記されることもありますが、外来語ではありません。
口語的でくだけた表現なので、改まった場やメールで使うのには適しませんが、日常会話では発覚の代わりに使うことができます。ただし発覚とは若干のニュアンスの差があり、「ばれる」は肯定的な隠し事(クリスマスプレゼントやサプライズパーティーなど)にも使用可能です。
- テストで20点を取ったのが母にばれてしまい、説教を食らった
- サプライズバースデーの計画がバレないように、いつもどおり振るまってね
■露呈
「露呈」は隠れていたものが明らかになること。それまで知られていなかった人の一面や性質、特に悪い性質についてわかる際に使用されます。
「~が露呈する」「~を露呈する・させる」どちらでも使用可能です。
- そのレポートは、彼女の授業内容に対する無理解を露呈するものだった
- 彼女との喧嘩で、彼の自己中心的な本性が露呈された
■露見/露顕
「露見」もしくは「露顕」は、「秘密や陰謀などが明らかになること」を意味します。発覚の同意表現として利用できるので、何度も発覚と書きたい場合は「露見」へ言い換えると読みやすい日本語になるでしょう。
- 内部者の告発により、組織ぐるみの悪事が露見した
- 不正取引の露顕を恐れるあまり、彼は精神を病んでしまった
■明るみに出る
「明るみに出る」とは、それまでに他人に知られていなかったことや隠されていた悪い事実が広まること。一部の人達が知っていることでも、多くの人がそれまで知らなかったことであれば「明るみに出る」は使用できます。
「明らかになる」「明らかにする」と混同して「明るみになる」や、「明るみにする」と書いてしまう人もいますが、これは誤用です。「明るみ」とは、明るいところという意味のため、「明るみになる」だと「明るいところになる」、「明るみにする」だと「明るいところにする」となってしまいます。
- 隠されていた事件の全容を明るみに出す
- 彼が過去、壮絶ないじめを行っていたということが明るみに出た
発覚を英語で表現するとどうなる?
発覚を英訳する場合は、detection (発覚・露見・発見)、exposure (秘密などを暴露すること)、revelation (新発見・暴露)などの単語が当てはまります。ただし、これらはどれも格式張った言い方なので、「バレた」「明らかになる」というニュアンスを表現したい場合は、「be uncovered」「come to light」「be found out」などを利用するといいでしょう。
- The affair of a popular singer was revealed by a weekly magazine
(週刊誌の手によって、人気歌手の不倫が明らかになった) - The accounting fraud that has been going on for years was exposed
(会社が長年行ってきた不正会計が露見した) - It came to light that there was fraudulent data in the experiments listed in the paper
(論文に載っている実験に、不正なデータがあったことが明るみに出た) - Murder will out
(殺人は露見するもの= 悪事は必ずばれる: 英語のことわざ)
悪いことがばれてしまうのが発覚
発覚は、(隠しておいた悪いことが)明らかになってしまった、という意味。そのため、もし職場などで「〇〇さんの妊娠が発覚しました」と言ってしまうと、そのつもりはなくても「妊娠は悪いことだ」とあなたが思っていると取られてしまいかねません。適宜「わかる」などに言い換えるようにしましょう。
よく似た表現である「判明」には、「悪いことを隠していた」というニュアンスはありませんので、いいことにも悪いことにも使えます。また、「発見」は「今まで知らなかったことがわかった」場合に使用する表現です。
発覚の正しい意味を知り、類似表現との使いわけをすることで行き違いや勘違いを防ぎましょう。