炸裂とは爆発を表す言葉のひとつです。しかし日常で「トークが炸裂する」と言っても「トークが爆発する」とは言わないのはなぜでしょう。今回の記事では、炸裂という言葉の意味に近い、爆発や破裂などの言葉の意味もご紹介。この機会に意味の違いを確認しましょう。英語表現についても紹介します。

  • 炸裂の意味や類語、混同しやすい言葉など

    炸裂という言葉を正しく使いこなしましょう

「炸裂」の意味

炸裂は「さくれつ」と読みます。爆発の現象を表す言葉ではありますが、なかでも「砲弾や手りゅう弾などが着弾し、爆発して激しく飛び散るさま」を指しています。着弾とは、放たれたものが目標である物や地点まで届くという意味です。

類語である「爆発」「破裂」との違いは

炸裂の類語に、爆発や破裂などが挙げられます。どちらも似た言葉ですが、爆発が引き起こされる要因やその現象に少しずつ違いがあります。次に詳しく見ていきましょう。

爆発

爆発は、ある物質が急激な化学変化や物理変化を起こすことによって体積が著しく増し、引き起こされる破壊作用を呼びます。化学的なものはガスや火薬などの化学変化によって引き起こされ、一方物理的なものは火山などの内部の大きな圧力が地表から放出される際に引き起こされます。

爆発は人の感情に対しても使われる言葉で、例えば押し殺していた感情が急に表に現れることを「感情が爆発する」と表現することがあります。

使用例)
- 工場でガス爆発が起きてしまった
- 我慢していた感情が一気に爆発して、涙が止まらなくなった
- 普段は物静かな人だが、この時ばかりは感情を爆発させて大笑いしていた

破裂

破裂は、内側からの圧力によって激しく割れ裂けるさまを指します。風船に空気を入れすぎると、大きく膨らんでやがて割れますよね。あれが「破裂」の現象です。

炸裂と同じ漢字の「裂ける(さける)」が使われていますが、破裂は引き起こされる要因が「内部からの圧力」であるのに対し、炸裂は「爆発物が着弾して砕け散るさま」であることに違いがあります。

破裂は話し合いが物別れになるさまも指しますが、この場合は一般的に破裂の類語である「決裂」が使われます。

使用例)
- 厳しい寒さで水道管が凍り、破裂した
- 話し合いの場を何度も重ねてきたが、とうとう交渉は決裂してしまった

「炸裂」を英語に言い換えると

炸裂の英語表現には、「explosion」や「burst」などがあります。「explosion」は一般的な爆発全般の現象を指し、「burst」には破れる、裂けるなどの意味が含まれます。

使用例)
- A hand grenade burst.(手りゅう弾が炸裂する)

  • 炸裂の意味や類語、混同しやすい言葉など

    炸裂の類語の意味を確認しましょう

「炸裂」を使う例文

炸裂の意味を確認したところで、次は3つの例文をもとに正しい使い方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

着弾した砲弾が炸裂し、大きな被害が出た

炸裂とは、前述したとおり「物体が目標物などに衝突して爆発し、激しく砕け散るさま」を指します。この例文の「炸裂」は「爆発」や「破裂」に置き換えることはできますが、より激しく、細かく、砕け散るさまを伝えるには「炸裂」が最も適しているといえます。

繰り返しになりますが、炸裂に似た言葉の「爆発」は、化学変化や物理変化にともなって起こる現象を指します。「保管された砲弾が突如、爆発する」などの場合には、炸裂ではなく爆発を使う方がよいでしょう。

子どもが投げた泥団子が壁にあたって炸裂した

泥団子を砲弾に見立てた表現です。子どもの泥団子といえども、激しく砕け散るさまを表すためにあえて「炸裂」という言葉を使っています。泥の塊が飛び散って、あたりが泥だらけになる様子が思い浮かびますね。

彼女の天然ぶりが炸裂した

「天然が炸裂する」「トークが炸裂する」など、人の様子を表すときにも炸裂という言葉を使います。例えば天然だったりおしゃべり好きだったりという性格が、激しく表に出ている様子を、少し皮肉を込めて表現しています。「毒舌(悪口や皮肉)が炸裂する」なんて言い方もあります。

炸裂という言葉のもともとの意味である「着弾して砕け散る」が、この場合は話し相手に向かって放たれている様子が想像できますね。

  • 「炸裂」の適当ではない使用例文

    炸裂は、目標物に当たって砕け散るさまを言います

炸裂の意味を知って正しく使用しましょう

炸裂という言葉の意味を理解していただけましたか。炸裂は爆発を表現する言葉のひとつですが、爆発や破裂などとは少しニュアンスが違います。

炸裂という言葉が妥当かどうか迷ったときは、「何かにぶつかって激しく砕け散っているさま」であるかをイメージすれば分かりやすいですよ。