手に汗握る熱戦が続いた東京オリンピック。日本勢のメダルラッシュや、新しく追加された競技にワクワクした方も多いのでは? そんななか、創業89年の食品サンプルメーカー、いわさき(@IWASAKI_SAMPLE)の食品サンプルの数々が、密かに話題を呼んでいます。

それぞれオリンピックにも登場するスポーツを表しているという、ユニークな食品サンプルたち。どのスポーツを表しているか、わかりますか?

  • (@IWASAKI_SAMPLEより引用)

くるくると宙を華麗に舞う優雅な動き……。これって何かに似ていませんか?

  • (@IWASAKI_SAMPLEより引用)

水を切ってスイスイ進むトビウオのごとく。この競技では日本女子初の2冠が世間を沸かせました。

  • (@IWASAKI_SAMPLEより引用)

肉がぶつかりあう姿が、緊張感あふれる戦いを思わせます。この競技では、姉妹での金メダル獲得が話題になりましたね。

まるで本当に食べられそうなほどリアルで美味しそうな食品サンプル、投稿されたTwitterのリプライや引用リツイートでは、「これサンプルなんですか?」「リアルな仕上がり」「制作過程が気になる」など、驚きの声が上がっています。

それにしても、思わずヨダレが出そうなほどの完成度と、ユーモアの両立です。ユニークなこの食品サンプルの画像を投稿した、株式会社いわさき(@IWASAKI_SAMPLE)のご担当者に、作った経緯などをうかがいました。

「食品サンプルでスポーツ」いわさきに聞いてみた

――前代未聞の「スポーツに見立てた食品サンプル」、作った経緯は?

この写真は、スポーツに見立てた食品サンプル作品を12個作り、カレンダーにしたものの一部です。株式会社いわさきは、来年で創業90年を迎える食品サンプルメーカーで、昭和30年ごろからお得意先の飲食店さんにオリジナルカレンダーを渡すことが伝統になっています。

毎年決まったテーマで食品サンプルのカレンダーを制作しているのですが、2020年はオリンピックイヤーということで、「料理×競技スポーツ」というテーマで取り組みました。2008年にもオリンピックをテーマにしたカレンダーを作りましたが、今回は趣向を凝らして、料理でスポーツを連想させることにチャレンジしています。

  • 2008年にもオリンピックイヤーを記念して、世界各国の料理をカレンダー作品にしたこともあったそう(提供:いわさき)

――作品タイトルはどうやって決めているのですか?

作品のタイトルやコピーには、スポーツ名を一切入れないことに決めていました。というのは、カレンダーやSNSで画像を見てもらって、「これが表すスポーツは何でしょう?」というクイズ形式にしております。

――作る時に大変だったことを教えてください。

スポーツと料理の両面からできる表現を考えるのがなかなか難しかったです。例えば「レスリング」は「肉と肉がぶつかり絡まる感じに……ローストチキンをガッと組んでみようか?」といったことであったり、新競技のスポーツクライミングでは、壁面のイメージから、ナッツやドライフルーツ入りの割れチョコを作りました。

  • (@IWASAKI_SAMPLEより引用)

食品サンプルの表現については、プロの職人集団なので心配なく作ってもらえます。表現したいことを実現するために、無茶振りもしつつ撮影にもこだわりました。

そうして出来上がった2020年度のカレンダーですが、オリンピックが延期になり気持ちも消沈しました……。今年は開催されたので、Twitterで競技の日程に合わせて作品を紹介しています。見ていただく方に、少しでも楽しくクスッと笑ってもらえたら最高です。

  • (@IWASAKI_SAMPLEより引用)


外国人旅行者が日本に来ると、本物そっくりの日本の食品サンプルを見て驚くといいます。確かに、海外のレストランでは、食品サンプルどころかメニュー写真すらないことが多々あります。

その意味で、日本の食品サンプルは「どんな料理なのか、ビジュアルでお客様に伝えよう」という「おもてなしの心」の表れだといえるのではないでしょうか。

いわさきでは、クスッと笑ってしまう食品サンプルが購入できるオンラインショップも展開しています。見てるだけでお腹が空きそうな食品サンプル、ぜひ現物を手にとってじっくり見てみては?