フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)では、69歳の女装愛好家、キャンディ・H・ミルキィさんを追った『女装と家族と終活と ~キャンディさんの人生~』を、あす8月1日に放送する。

その女装趣味を知った妻は「生理的に受け入れられない」と家を出てしまい、家族が崩壊。近年は肺の病を患い、症状は悪化するばかりで、残された時間を意識した終活を始めたというキャンディさんだが、今回密着した込山正徳ディレクターは、優しさとエネルギーが印象に残ると語る。さらに、自分の好きなことに自由に打ち込む楽しさに、強く共感したという――。

  • キャンディ・H・ミルキィさん(右)と4歳年上の姉 (C)フジテレビ

    キャンディ・H・ミルキィさん(右)と4歳年上の姉 (C)フジテレビ

■人を非難することがほとんどない

込山Dがキャンディさんに出会ったのは、27年前。「原宿でキャンディさんが女装して歩いているのを見て、面白い方だなと思って声をかけたんです」といい、情報番組『今夜は!好奇心』(フジテレビ)の1コーナーで特集した。

その後、コンタクトをとることはなかったが、友人との会話でキャンディさんの話題が出たことをきっかけに、ネットを調べてみると、キャンディさんのFacebookを発見。

「写真を見たら『まだ女装を続けているんだ!』と驚きまして、メッセージを送ってみるとすぐ返ってきたので、番組になるかは分からなかったのですが、会ってみたんです。そしたら、離婚のてん末などを聞いて、27年前から状況がだいぶ変わっていたので、取材を進めることにしました」

27年前は3~4日の取材で、「実はキャンディさんが本気で女装をしているのか、遊びでやってるのか、分からなかったんです」というが、今回は半年にわたって密着し、「この人は間違いなく、本気で女の子の格好をするのが好きなんだと感じました」と確信した。

さらに、「本当に優しい方で、人を非難することがほとんどない。それに加えて知識が豊富で、『キャンディ キャンディ』や飛行機、ミリタリー関係、昔はバイクにも凝ってたみたいですし、趣味が多いんですよね。それなのに、全然見栄を張ることがなくて、密着しててすごく好感が持てました」という印象。番組では、街の人たちから芸能人のように声をかけられる様子が映し出されており、「本当に愛されキャラなんですよ」と明かした。

■妻に逃げられたのも共通点「楽天的にならないと」

「体重があるのに動きが機敏で踊ったりしますし、69歳のわりにとてもエネルギッシュなんです」というように、その姿で見る者に元気や勇気を与えてくれるキャンディさん。自分の好きなことを恥ずかしがって隠さず、思う存分打ち込むその姿には、うらやましさも感じる。

「人生が終焉に近づいてくると、好きなことをやって自由なことをやっている方のほうが生き生きしているのを感じますし、病気や事故など、いつ何があるか分からないですから、自分もそうありたいなというのは感じます」という込山D。

その共感は、自身の“番組ディレクター”という仕事においてもあるといい、「人から後ろ指をさされようが、いろんな人の人生が見られて、それを取材するという本当に好きで一番楽しいことが仕事になっているんです」と、充実の表情を見せる。

一方で、妻に逃げられてしまった経験を持つのも、キャンディさんとの共通点。「人生において結構な挫折からはい上がるときには、ある種軽やかに、楽天的にならないと無理なんですよ(笑)。『もうしゃーないだろ』というところから再出発すると、意外と立ち直りが早いんです。キャンディさんも楽天的ですから、そこは共通点ですね(笑)」と、苦笑いしながら話してくれた。