神戸市交通局は神戸市内の旅行会社との協力の下、7月25日に名谷車両基地で3000形の引退記念イベントを開催した。事前申込制で、3回(各回最大30名)に分けてイベントが行われ、参加者たちは写真撮影などを通じ、3000形に最後のお別れを行った。

  • 神戸市営地下鉄3000形の引退記念イベントを開催。最後まで残った3128編成が公開された

西神・山手線や北神線(旧北神急行電鉄)で活躍し、今年7月24日をもって運行終了した3000形は、神戸市営地下鉄初のVVVFインバータ車として1993(平成5)年にデビュー。ニュータウンの人口増や総合運動公園でのイベント開催などに伴う輸送力増強を目的に導入され、在来車を置き換える車両ではなかった。そのため、導入された車両数は計36両(6両編成×6本)にとどまった。

2019(平成31)年に6000形が登場し、同年から3000形の廃⾞が本格化。最後の1編成である3128編成が7月24日に運用から離脱したことで、3000形は神戸市営地下鉄から引退した。

一方、昭和の時代に登場した1000形・2000形は機器更新を受けた上で、現在も活躍を続けている。3000形は登場から25年が過ぎ、機器更新が必要なタイミングで置換えを決定した。神戸市交通局によると、ランニングコストの観点から、6000形への全面置換えを決断したという。とはいえ、デビューから30年も経過していない3000形の引退に、交通局の職員からも惜しむ声が聞かれた。

  • 大型曲面ガラスを用いた3000形の前面

  • 7月1~24日に取り付けられた「3000形ラストランヘッドマーク」

  • 車体側面は一段下降窓が特徴

3000形の車体前面は1000形と異なり、大型曲面ガラスを生かした丸みを帯びたスタイルで、塗装は白色(ペールアクア)に緑色の帯を基本とする。そんな中、2017年に市営交通100周年を記念し、3000形の3126編成が神戸市電カラーになったことは記憶に新しい。

車体側面は1000形・2000形と同じく、片側3扉と一段下降窓の組み合わせになっていた。これは同じく一段下降窓を愛用している阪急電鉄の車両を意識し、すっきりした窓周りの実現を意図しているとのこと。車両番号の標記は神戸市電以来の字体を採用している。

3000形は神戸市営地下鉄初のVVVFインバータ車としても知られたが、車内のこだわりも相当のものだった。化粧板は従来の木目調から抽象柄のパールホワイトに切り替えられた。木目調とは異なり、縦目・横目を意識することなく自由に使うことができ、ビスの頭を隠すことにも役立つという。座席のモケットはグリーン系のバイアス柄になり、柔らかい座り心地になっていた。

  • ATO運転対応の「出発押ボタン」が目立つ運転台

  • ワンマン運転に対応する「市交-北神切替スイッチ」

  • 3000形の車内。座席端のスタンションポールが目立つ

  • パールホワイトの化粧板はビスの頭を隠すのに役立つ

  • 登場時はマップ式の案内表示機だったが、後年に取り換えられた

  • 阪急電鉄の車両でも見られなくなりつつある鎧戸

座席端には、高齢者対策として神戸市営地下鉄では初となるスタンションポールが取り付けられた。ドア上にはマップ式の案内表示機を設置したが、後年に行われた機器更新により、マップ式ではなくなっている。運転台においては、神戸市営地下鉄で導入されているATO(自動列車運転装置)仕様の「出発押ボタン」に注目したい。駅での安全確認後、「出発押ボタン」を押すと、次駅の停車まで自動運転となる。

ワンマン運転に対応した「市交-北神切替スイッチ」も興味深い。北神急行電鉄時代と同じく、現在も北神線のみワンマン運転となっている。なお、北神線の運転は神⼾電鉄が担当するため、新神⼾駅で神⼾市営地下鉄の運転⼠と交代している。

  • 神戸市営地下鉄の開業時から活躍する1000形

  • 1988(昭和63)年に登場したマイナーチェンジ車の2000形

  • 2019(平成31)年に登場し、現在の主役である6000形

神戸市営地下鉄では、2022年度までに契約済みの6000形28編成を順次導入。3000形に続き、1000形・2000形も順次置き換える予定としている。