今年で生誕50周年を迎える『仮面ライダー』(1971年開始)と、今年で45作目を数える「スーパー戦隊シリーズ」(『秘密戦隊ゴレンジャー』1975年開始)が豪華共演を果たす映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』が、現在公開されている。

この映画は、『仮面ライダーセイバー』と『機界戦隊ゼンカイジャー』という2つの「物語」が奇妙な融合を果たすところから幕を開ける。最強の敵・アスモデウス(演:谷田歩)により、世界を揺るがす危険な“禁書”が解放され、仮面ライダーセイバー/神山飛羽真(演:内藤秀一郎)はスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』の世界に、そしてゼンカイザー/五色田介人(演:駒木根葵汰)は仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーセイバー』の世界に飛ばされてしまった。「現実」と「物語」の境界があいまいになり、混ざり合った世界を元に戻すべく、飛羽真と介人は歴代仮面ライダー、歴代スーパー戦隊の力を結集させ、最大の戦いに向かう……。

  • 内藤秀一郎(ないとう・しゅういちろう)。1996年生まれ、埼玉県出身。WEB番組『真夏のオオカミくんには騙されない』(2017年)での出演をきっかけに、ドラマ『星屑リベンジャーズ』(2018年)、映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)など、テレビドラマ、映画、舞台で活動。『仮面ライダーセイバー』(2020年)の神山飛羽真/仮面ライダーセイバー役でテレビドラマ初主演。2021年7月10日より放送中の真夜中ドラマ『ホメられたい僕の妄想ごはん』にも出演している。撮影:大門徹

映画の公開を記念して、ここでは『仮面ライダーセイバー』の主役・仮面ライダーセイバー/神山飛羽真(かみやま・とうま)を演じる内藤秀一郎にインタビューを敢行。テレビシリーズの撮影が先日クランクアップ(撮影完了)したタイミングということもあり、内藤は撮影が始まった当初から現在までの1年で、さまざまな経験を重ねて変化・成長することができたと、強い手ごたえを感じていた様子だった。頼もしい仲間たちと絆を深めたり、邪悪な敵の陰謀に心を激しく揺さぶられたり、時には非情な出来事を目の当たりにして怒りと悲しみで激高したりと、1年にわたって感情表現のふり幅が大きかった飛羽真を演じて内藤が感じ取ったことや、歴代スーパーヒーローたちが入り乱れて悪の野望に立ち向かう『スーパーヒーロー戦記』の必見ポイントを尋ねた。

――『仮面ライダーセイバー』クランクアップしたときのお気持ちを聞かせてください。1年間にわたる撮影の日々を思うと、胸にこみ上げるものがあったのではないですか。

ありましたね! 1年間ずっと飛羽真を演じてきて、最終章は僕にとっても集大成を作りたいと思って臨みましたから。石田(秀範)監督からキャストひとりひとりに花をいただいたんですけれど、そこで監督が「お前、頑張ったな! お疲れ!」と声をかけてくださいました。その言葉を聞いた瞬間、もう涙が止まらなくなっちゃって……(笑)。この感情を得るため、この景色を見るために1年間みんなで頑張ってきたんだなあ、と思いました。改めて『セイバー』に関わられたすべてのキャスト、スタッフのみなさんに感謝します。

――飛羽真を演じるにあたって、1年前と現在とでは、どんなところが変化しましたか。

いちばんの変化は、役への取り組み方ですね。撮影が始まったばかりのころは、まず監督から「ここのお前(飛羽真)の気持ちはこうだから、こういう芝居をしなさい」と指導があって、そのとおりに演じていました。「こうしろ」と言われて「やってみます」と応えているだけで、自分の中で「芯」がなかったんですね。

でも、飛羽真を演じ続けていくうちに「飛羽真のことをいちばん知っているのは自分なんだ」という自覚がわいてきて、僕の中でまず「このとき、飛羽真ならこういう態度を取るんだろうな」と自分なりに考えながら演技をするようになっていきました。監督はローテーションで交代していきますから、時折ストーリー的に「ここでの飛羽真の言動は、どうも納得できない」という部分があったりしたんです。

監督の思いと、飛羽真を演じる僕も気持ちに違和感があったとき、以前は何も言わずに従っていましたが、今では「このときの飛羽真はこんな気持ちです」と、自分の意見をはっきり出すようになりました。もちろん監督にも演出のビジョンがあるのは承知しているのですが、それでも引き下がらないことが何度かありました。徹底的に話し合って、監督の説明に納得してようやく指示どおりに演技をするといったように、僕も飛羽真のキャラクター作りにどんどん参加して、人物像を深めていくよう努めました。

――『セイバー』の1年間にはいろいろな出来事があったと思いますが、真っ先に思い出すのはどんなことでしょうか?

撮影が終わった、という今の時点でふと思い出すのは、第1章を撮影していたころの自分ですね。初回で緊張していたからというのもありますし、現場に入ってさまざまなことを初めて経験した、ということが大きいかもしれません。川津明日香さん演じる芽依ちゃんがワイヤーアクションに初挑戦したところも見ることができました。

今ではすっかり、スタッフさんたちやキャストのみんなとの仲間意識がしっかり出来上がっていますが、第1章のころはそれがなく、だからこそ、自分に関わってくださる方たちへの感謝の気持ちが強くて、そういった初心を今こそ思い出しておかなければ、と感じています。