BPO放送倫理検証委員会は21日、アイヌ民族に対する差別表現を放送した日本テレビ系情報番組『スッキリ』について、放送倫理違反があったとする決定を公表した。

日本テレビ本社=東京・汐留

3月12日に放送した『スッキリ』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをしたことについて、同委員会は、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決定。

審議の結果、「アイヌ民族に対する明らかな差別表現を含んだもので、オンエアに至った背景には、収録動画の最終チェック体制が極めて甘く、アイヌ民族やその差別問題に関する基本的知識がスタッフ間で決定的に不足していた点があった」と指摘。民放連の放送基準に反しているとして、放送倫理違反があったと判断した。

この問題については、放送後、日本テレビに視聴者から不適切だという批判が相次ぎ、同局は、3月12の放送当日夕方のニュース番組『news every.』で「放送内容においてアイヌの方たちを傷つける不適切な表現がありました。深くお詫び申し上げるとともに今後、再発防止に努めてまいります」と謝罪し、ウェブサイトにお詫びを掲載。

翌週3月15日には、『スッキリ』の番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。

さらに、日テレの小杉善信社長(当時)が6月6日、北海道アイヌ協会の総会に出席して謝罪。民放連は今月13日、「放送番組における差別・人権に関する全社会議」を開催し、アイヌ民族への差別の歴史などについて共有した。