いよいよ23日に開幕が迫った東京オリンピック。フジテレビのメインキャスターを関ジャニ∞の村上信五とともに務めるのは、同局スポーツ番組の顔・宮司愛海アナウンサーだ。

1年延期での開催、そして無観客をはじめコロナ禍で様々な制限が設けられる異例ずくめの今大会に、どのような心境で臨んでいるのか。宮司アナは「1年延期が決定したときは、どのように自分の気持ちを整理すれば良いのか不安もありましたが、今は、アスリートの方々の思いを伝えきるだけだ、私のやるべきことはそれだけだなと思っています」と使命感を語る――。

  • フジテレビ系東京2020オリンピックメインキャスターの宮司愛海アナウンサー

    フジテレビ系東京2020オリンピックメインキャスターの宮司愛海アナウンサー

■「経験がないからこそ、伝えられることがある」

メインキャスターに決まったのは、当初の五輪本番から2年半前。その時は「こんな大役が、私に務まるのかなという不安がありました。入社してからスポーツ取材の経験があまりなく、『私に一体何が伝えられるのだろう』という悩みからのスタートでした」と振り返る。

「むしろスポーツは苦手なタイプだったんです」というが、最初にスポーツキャスターに就いたときから、「いろんな人に、『経験もないのにできるのか?』と言われたこともありましたが、経験がなくて知らないからこそ、伝えられることがあるのではないか。まっさらな状態だからこそ積み上げていけることがあるということを信じて、ここまでやってこられたのだと思います」と、取材を通して多くを吸収していった。

その気持ちは、東京五輪メインキャスターに決まってからさらに加速。

「とにかく自分の中でオリンピックに照準を合わせて、『必要なものを何でも身につけていかないと』と必死でした。競技ごとに分けてノートを作り、選手それぞれの試合結果などをひと目で分かるように年表に。試合後のアスリートのコメントや、その時に自分が現場で何を感じたかもノートにつづっています。私にできることは、選手に心を寄せること。そのために必要な情報を集めるのが役割だと思っていますし、本番では選手たちの心を1人でも多くの方に伝えることができたらと願っています」

  • スポーツニュース番組『S-PARK』(毎週土曜24:35~、日曜23:15~) (C)フジテレビ

■1年延期――不安な気持ちと前向きに捉えたこと

そうして全力を注いで走ってきたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年の開催から1年延期することになった。この現実を、どう受け止めたのか。

「やはりショックな気持ちのほうが大きかったのは事実です。でも一番不安で動揺して苦しんだのは、アスリートの皆さんだと思うので、私が自分の心境について語ることは、正直ためらう部分があります。延期が決まった当時は、これまでやってきたことがこの先どうなってしまうのだろうという不安な気持ちもありましたが、一方で、『五輪のメインキャスターをお願いするね』と言われた時点で、そこから2年半、取材に行けば行くほど自分の足りないところが見えてきて焦る気持ちが募っていたので、『ここからまだ取り返せる時間があるのだ』と、少し前向きに捉えた部分もありました」