アイドルグループ・関ジャニ∞の安田章大が主演を務めるパルコ・プロデュース『リボルバー~誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?~』が10日、初日を迎えた。

  • 安田章大

    安田章大

小説家・原田マハが5月26日に発売する自身の作品を自ら戯曲化した同作。フィンセント・ファン・ゴッホと彼にまつわる物語を、現代に生きるオークショニストの目線で描く。舞台版では、ゴッホが実際に活躍した19世紀当時を物語の舞台とし、謎に満ちたゴッホとゴーギャンの愛憎入り混じる関係にフォーカスしていく。

ポスト印象派の画家としてフランスで活動し、20世紀の美術に大きな影響をもたらしたフィンセント・ファン・ゴッホに安田章大、ゴッホのライバルであり一時期は共に創作活動をしていたポール・ゴーギャンに池内博之、画商としてゴッホを献身的に支える弟のテオに大鶴佐助、ゴッホとゴーギャンの謎に迫るオークショニスト・冴に北乃きい、共に謎を解き明かす社長・ギローに相島一之、同僚・JPに細田善彦、医師・レイほかに金子岳憲、謎の少女クロエとゴーギャンの妻ヴァエホの二役に東野絢香と実力派俳優が集結。

今でこそオークションに登場すれば100億円を超える高値で取引され、誰もが知る有名な画家ゴッホ。が、生前はたった一枚しか絵が売れなかったともいわれている。では誰が、何が【ゴッホ】=アートの価値を決めるのか。今回の舞台「リボルバー」では、かつて現実の世界で生きていた生身の人間・ゴッホを描くことで、価値のあるなしにかかわらず、画家が作品に込めた思いは普遍的なのだというテーマをあぶり出す。奇しくもゴッホの享年と同じく今年37歳となる安田が、孤高のアーティスト・ゴッホの謎に満ちた生涯を、等身大の人物として演じていく姿に注目となっている。

原田マハ コメント

文字の世界で生まれた登場人物たちが、舞台上で立ち上がり、動き出す。まるで夢を見ているよう。ゴッホとゴーギャンの間に何が起こったのか、歴史の目撃者になる気分です。ゴッホの圧倒的な魂の叫び、ゴーギャンのゴッホに対する嫉妬と賛美、テオと冴のゴッホの絵を巡るデュエット、ギローのオークションさばき、JPのオタク炸裂の長セリフ、医師レイと警官が放つ真逆のゴッホ評、ヴァエホの切ない涙。いずれのシーンもそれぞれに圧巻です。
稽古場を見学した際に、ゴッホとゴーギャンが反発し合いながらも最終的には心を通わせ、パラレルに進む現代のゴッホ研究者・冴と仲間たちが次第に彼らに心を寄り添わせていく。微妙な心情の変化が演技によって醸し出されるのには引きつけられました。演劇ならではの臨場感と、稽古を重ねていくほどに進化する様子には心が躍りました。
ゴッホとゴーギャンとともに濃厚な時間を共有し、彼らの情熱を受け止めて下されば嬉しく思います。

行定勲 コメント

稽古期間は、ゴッホとゴーギャンを歴史に残る偉人として描くのではなく、俳優たちと共に彼らの心情を探りながら意見を交わし、ひとりの人間として純粋に芸術に向き合う姿を追い求める貴重な時間でした。
この作品は、芸術家や表現者なら誰しもが共感するような苦悩が描かれています。そして、人間は何をみて価値を決めるのか、その尊さや愚かさを感じて頂けたら嬉しいです。
この状況下で大変なときに、足を運んでくださる観客の皆様に感謝します。この一年は、芸術は本当に必要なのか?何のためにあるのか?と真剣に、考えてきました。奇しくもこの作品が、今上演されることに大きな意味を感じます。芸術の価値はどうやってつけられるのか、観たあとに考えてみて欲しいです。出来れば画集を開いて劇中に登場するゴッホやゴーギャンの残した絵画を改めて観て欲しいです。きっと、今までにない感情が湧き起こるはずだと信じています。

安田章大 コメント

作品を通して、これまでの過去にない、みなの創造を越えた人間らしい19世紀の人達が生き還りました。
「19世紀と21世紀が織り混ざりいつの間にか観てる自分も引き込まれている」というのが印象的です。
僕自身の役柄的見どころといえば、神格化されていない人間・ゴッホが、現代口語を使って会話している所かもしれませんね。作品全体の魅力は19世紀の人々、21世紀の人々を演じる役者8人が絶妙に絡み合う事で物語が加速していき、気がつけば知らない時空に、誰もが当事者としてタイムトリップしていくと思います。
皆さんはどの真実を信じますか?
あなたが"視て、聴いて、感じた確かなモノ"を"人生の糧の種を"を手に入れるチャンスかもしれません。
リボルバーに翻弄され過ぎませんように。

池内博之 コメント

日々の稽古で色々な発見があり、常に進化しているのではないかと思っています。
お恥ずかしい話、ゴッホやゴーギャン、ひまわりの絵や名前は知っていましたが、詳しくは知らなかったので、原田マハさんの小説は非常に面白く、勉強になりました。稽古期間中に皆さんで、美術館へ「ひまわり」を見に行ったのですが、まさかこんな近い所にあるなんて!と、びっくりしました。確かに、当時の他の作品と全く違う、なんとも言えない強さと怖さ、そしてキャンバスから今にも飛び出しているかのような不思議さを感じました。
私が演じるゴーギャンはもう完全にゴッホとは真逆のタイプですよね。僕が好きなのは2人の共同生活の場面。たった2ヶ月だけど、これが歴史に残る程にまでなった期間です。もう凄すぎます。最終的にはバラバラになってしまうタイプの違う2人がここで色々と刺激し合うわけです。確かに、2人の作品を見るとそれがよく分かるし、そんなドラマがあったのかと知りながら実物を見たらたまりませんね。
是非とも公演を観た後、美術館へ足を運んで、本物のゴッホ、ゴーギャンの作品に触れてみてください。あの絵の前に立つとほんと引き込まれていきそうです。アートになじみがない方にも、よくご存知な方にも楽しめる作品になっていると思います。是非楽しんでいってもらえると嬉しいです。

大鶴佐助 コメント

まずは無事幕が開けられる事に感謝の気持ちでいっぱいです。
稽古場では、安田さん池内さんと毎日沢山ディスカッションし、21世紀メンバーの皆さんとも意見交換をし、マハさんの地図を頼りに行定さんの舵取りを信じ、みんなで初日に漕ぎ着けたと思います。でもここからが本当の船出で、公演ごとに皆さんと一緒にどんな旅ができるのか楽しみです。
世界で初めてゴッホの作品を目撃し、魅了され、愛し、苦悩したテオの兄への愛憎。
ゴーギャンに「星月夜」を情念の炎を燃やし冴と共に語りかけるシーン、ゴッホの生き様、ゴーギャンの後悔、ギローJPの心の変化、絵では無くリボルバーを通して21世紀の人達が彼等と繋がっていくのがとても儚くも美しく感じました。
たった1つのリボルバーが時空を超え人々を翻弄する。皆さんもその翻弄される人の1人にする事ができれば嬉しいです。劇場でお会いしましょう。

北乃きい コメント

この状況下でのお稽古だからこそ絆や結束力がより深まったと思います。美術館でキャストの皆様とゴッホのひまわりを鑑賞したり、ゴーギャンの作品を観に行った時に、マハさんに解説をして頂いたのですが、そのお姿を観察して冴の役作りとして、ゴッホとゴーギャンに対する情熱や純度を上げていく上でとても良い経験になりました。
そして、繊細で迫力があり、いつまでも心に残り続ける作品を作られる行定さんの演出によって、毎日少しずつ冴ができあがっていくのがとても嬉しいですし、そこにしがみついていくのに必死ですが、そんな時間が幸せです。作品だけではなく、登場人物一人一人のキャラクターも心に残ると思います。彼ら全員が夢に向かって生きています。そうやって、人が何かを追い求めて一生懸命生きている姿は、観ている人に何かを伝える力になると思います。彼らの姿、そしてゴッホの生き様を観て頂きたいです。
キャスト、スタッフ全員、全身全霊で取り組み、作り上げたこの作品を皆様に届けられる事をとても嬉しく思います。お客様の心にどう届くのか。それがとても楽しみです。

撮影:宮川舞子