今年は円谷プロダクションが製作したウルトラマンシリーズの原点『ウルトラマン』(1966年)が放送開始から55年、そして"平成ウルトラマン"と呼ばれる新シリーズの基礎を築いた人気作『ウルトラマンティガ』(1996年)の放送開始25年という節目の年。7月10日より放送開始される新番組『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』は、『ウルトラマンティガ』の原点を踏襲する、といったコンセプトで製作される「令和版ウルトラマンティガ」と呼ぶべき作品だと発表された。

  • 坂本浩一(さかもと・こういち)。1970年生まれ、東京都出身。アメリカ国籍。スタントマンを経てアメリカに渡り『POWER RANGERS』シリーズの監督・プロデューサーとなる。2009年に映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の監督を務め、その後も『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)『ウルトラマンジード』(2017年)などを手がけて好評を得る。映画『BLACKFOX: Age of the Ninja』(2019年) テレビドラマドラマ『SEDAI WARS』(2020年)、映画『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』(2021年)をはじめ、多彩な作品で監督・アクション監督を務め、大活躍中。撮影:宮田浩史

作品世界の要を担う第1~3話の演出を手がけるメイン監督は、今や日本の特撮ヒーロー作品に欠かせない名匠・坂本浩一監督。昨年(2020年)はWEB配信シリーズ『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』で日本のみならず全世界の特撮ファンから熱き視線が注がれた坂本監督が、『ウルトラマンジード』(2017年)以来ひさびさにメインを務める作品だけに、本作『ウルトラマントリガー』もまた、サービス精神にあふれたウルトラマンシリーズとして人気を集めることが期待されている。

"ウルトラマンの日"と定められた7月10日より、いよいよ第1話が放送される『ウルトラマントリガー』への期待を大いに膨らませていただくため、坂本監督にインタビューを敢行。『ウルトラマンティガ』と『ウルトラマントリガー』との関係性や、個性豊かなキャスト陣の魅力、そして魅力あるシリーズを作り上げるため共に手を組んだ最高のスタッフたちについて、エネルギッシュに話してもらった。

――坂本監督は昨年の『ウルトラマンZ』(2020年)でもいくつかのエピソードを演出されていましたが、連続テレビシリーズのメイン監督を務められるのは『ウルトラマンジード』(2017年)以来なんですね。監督が企画に参加されたのはいつごろからでしたか。

企画としてはけっこう早い段階でしたね。最初はまだ「次の企画はウルトラマンティガに関連する何かをやりたい」といった漠然としたことしか決まっていなくて、ほぼゼロの状態からスタッフみんなと話し合い、作品の形にしていきました。

――「令和版ウルトラマンティガ」と呼ばれる『ウルトラマントリガー』の企画意図を教えてください。

どういう形で『ティガ』の要素を取り入れたらいいのか、そこが今回のいちばんのチャレンジでした。みなさんご存じのとおり『ティガ』はすでにたくさんのファンがついている大きな存在ですし、完成されている作品だから、その「続編」は出来ないだろうと思いました。

そして検討を重ねた結果、「『ティガ』が子どもたちや世間に与えた"インパクト"を再現する」というコンセプトが定まりました。『ティガ』のリメイクやリブートとは違って、"あのときと同じ社会現象を巻き起こしたい"というのが大きな狙いです。タイトルに『NEW GENERATION TIGA』という言葉が含まれているのも、かつての『ティガ』の魅力を新しい世代の子どもたちに伝えたいという意欲の表れなんです。

――トリガーというヒーローのネーミングは、どうやって決まったのでしょう。

まず『ウルトラマンティガ』25周年を意識して「T」で始まる名前にしたいと思い、アイデアを出していきました。トリガーには「引き金」という意味があり、この作品が引き金になって、さらに新しい世代のウルトラマンを作ることができたら、というつもりで『ウルトラマントリガー』に決定しました。作品的には、これまでの"ニュージェネレーション"ウルトラマンの流れを受け継いではいますが、ここでまた新しい時代へと出発したい、その引き金になってほしいという思いが込められています。

――ニュージェネレーションと呼ばれる近年のウルトラマンシリーズの流れも重視されているのですね。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009年)のウルトラマンゼロや『ウルトラマンギンガ』(2013年)から始まったニュージェネレーションのウルトラマンたちは、みな人間と同じ言葉を話すシーンが多いでしょう。今の子どもたちにとって、ウルトラマンは戦闘中であっても言葉を話すのが当たり前で、逆にほとんどしゃべらない過去のウルトラマンたちに違和感があるみたいなんです。

しかし『トリガー』では、あえて『ウルトラマンティガ』のころにまでウルトラマンのキャラクター性を戻してみようと考えて、これまでのニュージェネ・ウルトラマンほどしゃべらせない演出を施しています。でも、ウルトラマンと一体化しているマナカ ケンゴが"インナースペース"にいるといった従来の演出もありますから、すべてを昔に戻すのではなく、昔と今の"中立点"を探りながら作っている感じです。