7歳で子役デビューし、『万引き家族』(18)などの是枝裕和監督作の常連であり、昨年は河瀬直美監督作『朝が来る』(20)で様々な新人賞や助演女優賞を総なめにした女優・蒔田彩珠(18)。映画ファンの間ではすでにお墨付きの存在だが、NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか)で清原果耶演じるヒロイン・モネこと永浦百音の妹・未知役を演じ、お茶の間でも熱い視線を浴びている。
朝ドラは『とと姉ちゃん』(16)以来2度目の出演となったが、今回は芝居の見せ場が多い。モネの2歳年下の妹である未知は、頭が良くてしっかり者。未知は家業の養殖業の未来について真剣に考え、水産高校で熱心に勉強している。
未知との共通点について尋ねると「私も兄が2人いる末っ子だし、意地っ張りで負けず嫌いなところがあるので、そこはよく似ているかなと。でも、未知は気持ちが高まってつい言ってしまったことをあとで、ちゃんと謝ることができる子なので、そこは尊敬しています。私はそのあともすぐに素直になれないこともあるので」と苦笑い。
未知と藤竜也演じる祖父の龍己が牡蠣棚を巡って口論となり、そのあとで未知がちゃんと謝るシーンは視聴者からもかなりの反響を呼んだ。
「藤さんがすごい勢いでぶつかってきてくださったので、そこは圧倒されそうになりましたが、みーちゃんとしては負けてはダメだなと思いました。また、あのシーンでは、父親役の内野(聖陽)さんが、『もっとこうしたほうがいいんじゃない?』とアドバイスをしてくださいました」と藤や内野に感謝する。
未知役を演じるにあたり、気仙沼でのロケの際に牡蠣棚を歩く練習をしたり、牡蠣の測り方などを事前に教えてもらったりして役作りを行った。「未知は水産業の将来をちゃんと考えています。まだ18~19歳の女の子が1人で頑張ってどうにかできることではないのかもしれないけど、そこをなんとかしたいという気持ちを持っている点はすごいなと思います」と未知をリスペクトする。
蒔田と清原は、学年こそ違うが同じ2002年生まれだ。清原の主演ドラマ『透明なゆりかご』(18)では1シーンだけ共演したが、今回は姉妹役ということで、大いに刺激を受けたようだ。
「『透明なゆりかご』の時は、あまりお話ができなかったのですが、朝ドラでは7カ月くらいご一緒しています。誕生日が数か月しか違わないけど、果耶ちゃんは私にないものをいっぱい持っていて、それを間近で見ているので、かっこいいなあとか、憧れや尊敬みたいなものを感じています。それは未知が百音に対して抱くものと似ているので、そのままお芝居につながっているなと思います。また、果耶ちゃんはおねえちゃん感がすごくあって、私は甘えてしまうので、その姉妹感もリアルに出ているかなと」
東日本大震災では、たまたまモネは父親と亀島を離れていたが、未知は祖母(竹下景子)と島にいた時に被災した。そのため、被災体験については姉妹間で温度差があるようで、未知がモネに辛く当たるシーンも描かれた。
蒔田は2人の関係性について「百音は偶然その場にいなかっただけで、何も悪くないんです。でも、未知は他に当たるところがないので、ついお姉ちゃんに当たってしまう」と冷静に捉えつつ、「今までに、震災に関わる作品を何回かやらせていただいていますが、相手が果耶ちゃんだからこそ、姉妹の微妙な距離感を、2人で作り上げられているなと思います」と清原との信頼関係も口にする。
ちなみに、蒔田は神奈川県出身だが、震災当初は8歳だったそうだ。「お兄ちゃんも同じ小学校だったので、母親が迎えにきてくれるのを、学校で一緒に待っていました。お兄ちゃんと言っても1つしか違わないので、小学校2年生と3年生だったので『怖い、怖い』と言っていました」