そろそろ、夏のボーナスが支給される季節となります。今年はいくらもらえるのか、気になりますね。さて、ボーナスには、「支給額」と「手取り額」に差があります。それは、毎月の給与と同じく、ボーナスからも社会保険料や税金が引かれているためです。それでは、ボーナス支給額に対し、手取り額はどのくらいになるのでしょうか。

  • ボーナス支給額から実際の手取り額はいくらになる?

    ボーナス支給額から実際の手取り額はいくらになる?

■支給額と手取り額の差はいくら

ボーナスは、支給額(額面)がそのままもらえるわけではなく、そこから様々な社会保険料や税金が天引きされて振り込まれます。毎年、ボーナスの金額がさほど変わらないという人は、「今年も手取りは○○万円くらいだな」と予想がつくことでしょう。

では、ボーナスの支給額と手取り額には、どのくらいの差があるのでしょうか。以下のように条件を設定し、この人がボーナスを受け取った場合の、ボーナス支給額ごとの手取り額を計算し一覧にしてみました。

■ボーナス支給額と手取り額の差の一覧表

  • ボーナス支給額と手取り額の差の一覧表(筆者試算)

    ボーナス支給額と手取り額の差の一覧表(筆者試算)

<設定条件>

・一般企業(東京都)の会社員
・手取り月収20万円(ボーナス支給の前月の給与)
・扶養家族なし
・30歳(介護保険料の支払いなし)
・「協会けんぽ(全国健康保険協会)」に加入

<支給額と手取り額の差>

支給額 手取り額
10万円 8万2,133円
20万円 16万4,266円
30万円 24万6,399円
40万円 32万8,532円
50万円 41万665円
60万円 49万2,798円
70万円 57万4,931円
80万円 65万7,063円
90万円 73万9,196円
100万円 82万1,329円
120万円 98万5,595円
150万円 123万1,994円

ボーナスの支給額と手取り額を比較してみると、手取り額は支給額の約8割であることがわかります。ボーナスのおおよその手取り額が知りたい場合は、支給額に0.8をかければ、見当をつけることができるでしょう。

また、ボーナスの金額は多ければ多いほどは嬉しいですが、その分、引かれる金額も大きくなっています。天引き分が大きいと、少し残念に感じてしまいますね。

■ボーナスの手取り額を計算する方法

では、具体的に、ボーナスからどのようなものが差し引かれているのでしょうか。ボーナスから天引きされている社会保険料や税金は、以下の通りです。

・厚生年金保険料
・健康保険料(+40歳以上は介護保険料)
・雇用保険料
・所得税

つまり、ボーナス支給額からこれらの金額を引けば、ボーナスの手取り額を割り出すことができるのです。計算式にすると、以下のようになります。

ボーナスの手取り額=
ボーナス支給額-(厚生年金保険料+健康保険料(+介護保険料)+雇用保険料+所得税)

なお、これらの保険料の中には、業種や地域によって差し引かれる金額が異なるものもあります。つまり、正しい手取り額を割り出すには、それぞれを個別に計算する必要があるのです。次に、各保険料や税金の計算方法をご紹介しましょう。

<厚生年金保険料>

ボーナス支給額(1,000円未満切り捨て)×厚生年金保険料率(0.183)×1/2

厚生年金保険料は、ボーナス支給額に厚生年金保険料率をかけ、さらに、1/2をかけることで計算することができます。1/2をかけるのは、労働者と事業主で厚生年金保険料を半分ずつ出しているからです。

なお、厚生年金保険料率は、現在、一律で0.183となっています。しかし、今後、年金の引き上げ等により保険料率が変わる可能性もあります。実際に計算する場合は、最新のものを確認してみましょう。

参考:日本年金機構「厚生年金保険料額表」

<健康保険料(+介護保険料)>

ボーナス支給額(1,000円未満切り捨て)×健康保険料率×1/2

健康保険料は、ボーナス支給額に健康保険料率をかけ、さらに、1/2をかけて算出します。健康保険の保険料率は、事業所がどの都道府県にあるか、また、どの組合の健康保険に加入しているかによって異なります。

そして、年度によっても保険料率が変わることがあります。健康保険料を計算する時は、加入している健康保険において最新の保険料率を調べましょう。なお、40歳以上の人は、健康保険料にプラスして介護保険料もかかるため、39歳以下の人より保険料率が高くなっています。

参考:協会けんぽ(全国健康保険協会)日本年金機構「令和3年度都道府県単位保険料率」

<雇用保険料>

ボーナス支給額×雇用保険料率

雇用保険料は、ボーナス支給額に雇用保険料率をかけて計算します。雇用保険料率は、事業の種類、年度によって異なりますので、最新のものを確認しましょう。なお、令和3年度の事業別の雇用保険料率は、以下の通りです。

・一般の事業 0.3%
・農林水産・清酒製造の事業 0.4%
・建設の事業 0.4%

参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「令和3年度の雇用保険料率について」

<所得税>

{ボーナス支給額-(厚生年金保険料+健康保険料+雇用保険料)}×賞与に対する源泉徴収税率

所得税は、ボーナス支給額から各保険料を引き、賞与に対する源泉徴収税率をかけて算出します。源泉徴収税率は、ボーナスが支給される前月の社会保険料等控除後の給与と扶養人数によって決定されます。詳しくは、国税庁ホームページにて確認してください。

参考:国税庁「令和3年分 源泉徴収税額表」

たとえば、先ほどボーナス支給額と手取り額を比較した時の条件(手取り月収20万円、扶養家族なし、30代、協会けんぽ加入)で、ボーナス支給額が70万円として計算すると、

ボーナス支給額70万円-【厚生年金保険料6万4,050円+健康保険料3万4,440円+雇用保険料2,100円+所得税2万4,479円】=手取り額57万4,931円

となります。このように詳細を見てみると、支給額から何がいくら引かれているのかがわかり、自分が受け取るボーナスについて理解が深まりますね。

■ボーナスの支給額と手取り額を知ろう

ボーナスの手取り額は、支給額の約8割となりますが、扶養家族の有無や人数、所得税などの影響を受け、人によって金額が異なるのです。ボーナスはもらえるだけで嬉しいものですが、ボーナスが振り込まれたかどうかだけでなく、支給額に対して手取り額がいくらになっているのか確認してみましょう。