プロジェクト管理の場面でよく耳にする言葉「マイルストーン」。しかしながら、その意味や重要性を理解していない人も多いのではないでしょうか? マイルストーンは、プロジェクトが滞りなく進んでいるかを確認するうえで重要な役割を果たすので、プロジェクトに関わる人はぜひ知っておきたい知識の一つです。

本記事では、マイルストーンの意味やメリット、マイルストーンを使ったスケジュールの作成方法についてわかりやすく解説いたします。ぜひ自社のプロジェクト管理に活かしてみてください。

  • マイルストーンとは?

    マイルストーンについて理解しましょう

マイルストーンとは

まずビジネスにおけるマイルストーンとはどのような意味なのでしょうか?

マイルストーンの意味

マイルストーンとは、プロジェクトの節目のポイントや中間地点のことを言います。プロジェクト管理の中でマイルストーンを設定することにより、プロジェクトの進捗状況が把握しやすくなり、目標に向かってスムーズに進行することができます。

マイルストーンは元々、鉄道の路線や道路の中間地点に置かれた標石のことを指します。出発地点からどれだけ進んだのかがわかるよう、1マイルごとに標石を置いて距離を把握していたそうです。標石であったマイルストーンが由来となり、今ではプロジェクト管理の中の中間地点を示すものとして使われています。

ビジネスでのマイルストーンの例

では、実際にプロジェクトの中で設定されるマイルストーンには、どのようなものがあるのでしょうか? マイルストーンの具体例をご紹介します。

例1:新製品の開発の場合
・企画
・製品設計
・量産設計
・試作
・検証
・量産
例2:Web記事の作成の場合
・競合記事のリサーチ
・構成案作成
・執筆
・チェック
・入稿

マイルストーンの内容は会社の方針やプロジェクト内容で異なります。しかしどの計画、プロジェクトであっても、マイルストーンを経て次のタスクへ進むことで、スムーズに計画を進められます。

マイルストーンとスケジュールの違い

マイルストーンはスケジュールは似ているように思えますが、意味はまったく異なります。スケジュールは、計画や日程の全体のことを指します。一方のマイルストーンは、計画や日程を管理するうえで重要になる節目や区切りのことです。

一般的にはスケジュール表を作成し、商品の完成、企画書の〆切、全体会議などのマイルストーンを記入していきます。

  • マイルストーンとは?

    マイルストーンはプロジェクトの節目や中間地点です。

マイルストーンを活用するメリット

では、プロジェクトの中間地点となるマイルストーンを設定するメリットは何でしょうか? ここでは3つのメリットをご紹介します。

長期にわたるプロジェクトを成功に導きやすい

マイルストーンは、長期にわたるプロジェクトの達成において効果を発揮します。例えば、新商品・サービスの開発や建築などの行程が複雑なプロジェクトです。長期的なプロジェクトでマイルストーンを設定することで、中間目標に向かってスムーズにプロジェクトを進められるのです。

逆に言えば、短期あるいは単純なプロジェクトではマイルストーンを設ける必要がありません。かえって手間が増える可能性もあるので、ある程度の期間のあるプロジェクトで活用するようにしましょう。

プロジェクトの進捗状況を把握しやすい

マイルストーンは、プロジェクトの進捗状況を明確に把握できるというメリットがあります。大きなプロジェクトにてマイルストーンを設置しなければ、現在プロジェクトがどの位置にいるのか、どこまで進んだのかが曖昧になってしまいます。

マイルストーンを節目として設けることで、計画が予定どおりに進んでいるかを判断できます。

モチベーションの向上につながる

マイルストーンは、関係者のモチベーションの向上につながるというメリットもあります。中間目標という短いスパンでの目標を設置することで、いつまでに何をやるかが明確になり、プロジェクトへのモチベーションを保つことができます。

特に長期的なプロジェクトでは、途中でモチベーションが落ちやすいので、マイルストーンを設置すると非常に効果的です。

  • マイルストーンを活用するメリット

    マイルストーンは長期的なプロジェクトを進行するときに重要です。

マイルストーンを使ったスケジュールの作成方法

ここからは、実際にマイルストーンを使ったスケジュールの作成方法についてご紹介します。以下のステップを踏んで、マイルストーンを活かした予定表を作成してみてください。

1. 必要なタスクを洗い出す

まずは、プロジェクト完遂までに必要な工程を抜き出し、その工程を達成するのに必要なタスクを洗い出していきます。タスクはまずは大きな塊を抜き出し、そこから細分化していくことで必要なタスクが浮かび上がってきます。

例えば、パーティーを開催する場合、「会場選定」「会場と契約」「招待者の選定」「会場で提供される料理や飲み物などの選定」「登壇者への依頼」「案内状の郵送」「スタッフの確保」といった大きなタスクがあります。

その大きなタスク「案内状の郵送」にも、「案内状文面の作成→用紙や封筒の選定→内容のチェック→印刷→封入→切手の貼付→発送」といった細かいタスクが発生します。

こういった細かいタスクを事前に洗い出しスケジュールに組み込んでいくことで、関係者の日々の業務が明確になり、スケジュールが乱れてしまうことがなくなります。

2. 各タスクに必要な工数を割り出す

上記で洗い出した各タスクに必要な工数を割り出しておきます。1日で実施可能なもの、複数の関係者での確認が必要なもの、申請や認可が必要でいつ決裁がおりるかわからないものなど、簡単に工数が算定できない場合もあるでしょう。

そういった場合は、類似のプロジェクトの工数を確認し、参考として活用するとよいでしょう。各タスクにおいても、ある程度はバッファを設けておくことも必要です。

3. ガントチャートを作成する

各タスクにかかる工程をガントチャートに盛り込んでいきます。このガントチャートとは、スケジュール作成時によく使われ、横軸に時間、縦軸に担当者や作業内容を書きこみ、作業完了までの工程を帯状グラフで表したものです。

4. マイルストーンを設定し、スケジュールを確定させる

作成したガントチャートにマイルストーンを設定していきます。ガントチャートをもとに、最終目標から逆算してスケジュールを定め、各マイルストーンの達成期限を検討します。完了期限を明確に定めることで、いつからプロジェクトをスタートすべきなのか、どのタスクをいつまでに完了すべきなのかがわかります。

5. マイルストーンごとのチェック担当者を決定する

各タスクの進捗状況やマイルストーンをチェックする担当者を決定します。マイルストーンごとに担当者を設けることで、各タスクに取り組む責任感が生まれ、最終的なプロジェクト完了期限を関係者全員が守ることにつながります。

6. テンプレートも利用できる

初めてガントチャートを作成する、という場合に、どのように作成すればよいのかわからない場合もあるでしょう。その場合にはテンプレートを使用するのもよいでしょう。無料で使えるテンプレートがMicrosoftなど各社から提供されています。

  • マイルストーンを使ったスケジュールの作成方法

    マイルストーンはガントチャートに記入して可視化しましょう。

マイルストーンを設定するときの注意点

マイルストーンを設定してスケジュール管理を行う際は、以下3点を注意するようにしてください。

1. マイルストーン同士の整合性を意識する

マイルストーンを決めるときには、マイルストーン同士の整合性を意識しましょう。

各タスクは、作業ボリュームや完了できる期間も異なり、前のマイルストーンが終わらないと次のタスクへと進めないような作業もあります。マイルストーンの前後関係を意識して作成しないと、予定どおりにタスクを開始できないというトラブルが起こりかねません。各タスクにどれくらいの時間がかかるのか、タスクの前後関係は正しいかを必ずチェックしましょう。

また、土日祝日を考慮したスケジュールになっているかも、注意しておくことが必要です。

2. タスクに漏れはないかを確認

マイルストーンごとでやるべきタスクに漏れがないかを確認することも、非常に大切です。マイルストーン達成までに必要なタスクがすべて出ていなければ、マイルストーンに予定どおり到達することが難しくなります。

マイルストーン達成までにやるべき具体的なタスクはすべて出揃っているかどうかを、確実に確認するようにしてください。複数人でレビューを行い、精度を高めましょう。

3. 担当者に重複や偏りがないかを確認

各タスクの担当者に重複や偏りがないかも確実にチェックしましょう。スケジュールを決める際はどうしてもマイルストーンや各タスクに目が行きがちで、担当者決めが雑になるケースがあります。

担当するタスクやマイルストーンに偏りがあると、どこかで遅れが出たり、滞ったりと、プロジェクトの進行に影響が出ます。担当者の被りや偏りも必ず再度チェックするようにしましょう。

  • マイルストーンを設定するときの注意点

    マイルストーンごとにやるべきタスクを確実に揃えることが大切です。

マイルストーンはプロジェクト管理に重要な役割を持つ

今回は、マイルストーンの意味や活用するメリット、マイルストーンを使ったスケジュールの作成方法について解説しました。マイルストーンは、長期的なプロジェクトの進行を管理するための重要な役割を果たします。ぜひ自分の会社でのプロジェクト管理に応用してみてください。