ヤマハ発動機は、自動車向け製品および技術のコンセプトブランド「αlive」(アライヴ)を立ち上げた。エモーショナルな走行体験と車室内空間を演出する新開発のサウンドデバイス「αlive AD」などの技術で“五感を目覚めさせる新しいモビリティ体験”を提供していくと説明する。

  • ヤマハ発動機がコンセプトブランド「αlive」を立ち上げた

αliveとは

「αlive」は自動車メーカーをはじめとする関連企業への供給を目的にした、自動車向け製品・技術のコンセプトブランド。ヤマハらしい“息づかいを感じるテクノロジー”を提供価値に掲げている。既存製品の電動モーターユニット、パフォーマンスダンパー、ショックアブソーバーに加え、新たにサウンドデバイスも開発した。

新開発のサウンドデバイス「αlive AD」(アコースティックデザイン)では、ドライバーの心に響く魅力的な車室内サウンドを提供する。パワートレインが発する原音と独自に開発した音源をチューニングして実現した。担当者は「エモーショナルな走行体験と車室内空間を演出するデバイスです」と説明する。

  • サウンドデバイス「αlive AD」。音響LSIを内蔵したコントロールユニットと専用のスピーカーを使用。エンジン車のランブル音や、EV独特の高周波までリアルに再現している

「αlive EE」(エレクトリックエンジン)の開発には、二輪で先行開発してきたEVモーターで培ったノウハウを融合させた。小型化するため、50kW電動モーターユニットにはセグメントコンダクタを採用。業界トップクラスの出力密度を達成した高出力 / 高効率な軽量電動モーターユニットに仕上げている。

  • 電動モーター(最大出力50kWクラス)

350kW電動モーターユニットは、高出力帯モビリティへの搭載を想定した電動モーターユニット。ギアとインバーターを一体化し、最大電圧800Vでの使用を可能にした。4輪トータルで最大1.47MW(約2,000馬力)の出力を発揮する。担当者は「これまでヤマハが培ってきた技術や感性を製品に注ぎ込み、より人々に楽しんでもらえるようなモーターに仕上げていければ」と説明している。

  • 電動モーターユニット(最大出力350kWクラス)

「αlive PD」(パフォーマンスダンパー)は、テスト走行中のひらめきから生まれたという。粘性減衰をボディに付加することで、操縦安定性の向上と乗心地の向上を両立する。

  • 「αlive PD」では、車体の変形エネルギーを吸収し、ボディの過大な変形速度を抑制

「αlive ET」(Ex-TRAS、エクストラス)は、「ドライバーの意のままに安心できる操縦安定性」と「力まずに快適に運転できる乗心地」をコンセプトに開発中のショックアブソーバー。高圧ガスによるロッドの押し出し力が車体に与える影響に着目し、引き込み方向に力を発生させる逆転の発想で開発している。

  • 「αlive ET」。ドライバーの感性に訴えかける性能を目指して開発が継続されている

なおヤマハ発動機では、5月26日から7月30日まで開催中の「人とくるまのテクノロジー展2021 ONLINE」(主催:公益財団法人自動車技術会)に、新開発のサウンドデバイスを含む各種製品を出展している。