テレビ朝日のドキュメンタリー番組『テレメンタリー2021』(毎週日曜4:30~)では、全盲で普通中学校の教壇に立つ教師に密着した『全盲先生と142の瞳』を6日に放送する。

  • 黒板に文字を書いて授業する新井淑則先生=テレビ朝日提供

埼玉県の皆野中学校で国語を教える新井淑則先生(59)は、全盲で普通中学校の教壇に立つ数少ない異色の教師。全盲のハンディキャップを感じさせない授業には驚かされる。黒板に漢字をすらすらと書き、声を聞いただけでどの生徒なのかが分かるのだ。初めて出会った中学1年の生徒たちは「本当は目が見えるのでは?」と疑うほど。だが、ここに至るまでは想像を絶する道のりがあった。

28歳の中学教師時代に突然襲いかかった病。34歳で完全に視力を失い全盲に。天職だと思っていた教師を続けることができなくなり、絶望して自殺も考えた。それでも、家族や同じ障害を持っても職場復帰している人たちにも励まされ、10年余りかけて必死に訓練し、普通中学校の教壇に帰ってきた。

前例がほとんどないため、現場の同僚教師たちもどうサポートしすればよいのか戸惑ったという。そんな中で先に変化が現れたのは生徒たち。新井先生と教室で触れ合う中で、自然に視覚障がい者へのサポートを身につけていく。やがて教師たちも「全盲先生」が普通中学にいることで生徒が成長していく様々な点に注目した。

新井先生は今年、定年退職までの最後の1年を迎えた。全盲先生として生徒たちと有終の美を飾るべく3年生を担当して張り切っている。しかし、新型コロナの影響で学校行事が次々に中止になり、授業ではマスクで生徒の声が聞こえにくい、対面でも距離を置く、触って認識していたものが触れないなど全盲の新井先生にとって困難の連続。それでも「見えないから、見えてくるものがあるはず」の信念を貫き、学校現場に「光」を灯し続ける。

そんな新井先生の最後の挑戦を、りゅうちぇるのナレーションで追っていく。