――引退会見で真っ先にやりたいことを問われ、間髪入れずに「子供の幼稚園の送り迎えです」と答えた姿が印象的でした。

今も午前中は仕事を入れていませんからね。番組収録は週1回で入っていますけど、子供を幼稚園へ送った後なので。ほぼ毎日のように幼稚園へ送って、お迎えには行けないけど、家に帰って来た時には僕もいる、という感じです。いつまでも手をつないではくれないと思うので、今のうちに(笑)。子供が通っている幼稚園は車での送り迎えがダメで、電車でないと行けないんです。電車で片道20分ぐらいですかね。(他の乗客には)気づかれますけど、別に気にしていないです(笑)。

――子供と触れ合う時間は、仕事へのモチベーションにもなっていますか?

今はとにかく子供と遊んでいる時が一番楽しいし、本当に子どもが好きなんですよね。「じゃあ仕事に行ってくるよ」と言って、泣いてくれるのも今のうちだと思いますし。下の子も1歳ちょっとなので、もう歩いていますし、少しずつしゃべり始めました。まだ何を言っているのかはわからないですけど、意思疎通は何となくできるかな。本当に可愛いですよ。

――将来的に内田さんが進んでいく道をいろいろな方が注目している中で、あらためて自分の名前を冠した番組(『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』があることの意義をどのように感じていますか。

やはりこの番組があると、自分がサッカーという居場所に戻って来られる感覚がありますよね。ロールモデルコーチの現場は毎週あるわけではないので、毎週サッカーの仕事ができるという、ちょっとした安心感があるというか、本当に助かっています。

――冠番組を通して得たものが、今後のキャリアにも反映されていく、と。

現役の時は基本的に海外サッカーを見て来なかったので、選手たちの特徴やチームの戦術、あるいは歴史を学べるのは自分のためになると思っています。今後は選手エージェントや移籍の話など、あまり突っ込んで来なかったテーマも取り上げたいし、もっと細かいデータを違う角度から検証するのも面白いと思っています。コロナが終息したらグラウンドに出て実技編もやりたいとお願いしているし、その時にはこれまで何度かゲストに呼んだ、競技歴が会ってリフティングを特技とする眞嶋(優)ちゃんも一緒にいてくれたら面白い。いろいろと企画を組んでもらっているし、やりたいことが本当にいっぱいありますね。

■内田篤人
1988年3月27日生まれ、静岡県出身。2006年、清水東高校から鹿島アントラーズへ加入。2007年~2009年のJリーグ3連覇に大きく貢献。2010年にブンデスリーガ(ドイツ)の強豪シャルケ04へ移籍し、1年目からドイツカップ優勝を制覇。2010年と2014年には日本代表としてワールドカップメンバーに選出される。2018年1月2日、鹿島アントラーズへの移籍が発表され、7年ぶりにJリーグへ復帰した後、2020年8月に現役を引退した。翌9月に日本サッカー協会が新設したロールモデルコーチに就任。また、10月よりスポーツチャンネル「DAZN」で初冠番組『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』がスタート。2021年3月31日よりテレビ朝日『報道ステーション』でスポーツキャスターも務めている。