ビジネスシーンでもプライベートでも、私たちの生活と深く関わりのあるプラットフォーマー。インターネットやスマートフォンの普及により、その影響は大きくなる一方です。
本記事ではプラットフォーマーやプラットフォームの意味をわかりやすく解説。プラットフォーマーの特徴やビジネスに与えるメリット、経済への影響、規制についてもまとめました。
プラットフォーマー・プラットフォームの意味とは
まず、プラットフォーマーやプラットフォームの意味を知りましょう。
プラットフォーマーとは、インターネット上でプラットフォームを提供する事業者や企業のことです。
プラットフォームにはさまざまな意味があり、駅のホームや、ITでは基盤となるハードやソフトなどの環境のことを指しますが、ここでは「市場」といった意味で使われています。
プラットフォーマーは、このプラットフォームを介して売り手と買い手を結び付け、さまざまなビジネスに発展させているのです。
プラットフォームの特徴として、ユーザーや参加企業が増えれば増えるほど、新たなユーザーを呼び込むという点が挙げられます。世界的に有名なGoogleやAmazon、Netflixなどは、こうしたプラットフォームの仕組みを生かして巨大企業に発展しました。
プラットフォーマーの特徴
プラットフォーマーの特徴を詳しく見ていきます。
ユーザーはプラットフォームを通じてサービスを受ける際、個人情報の登録を求められます。こうして集まった膨大なデータ(ビッグデータ)こそ、プラットフォーマーの強み。細かく分析し、活用することで、新たなビジネスモデルを次々に世へ送り出すのです。
多くのプラットフォームでは、限られた範囲を無料で提供しています。ユーザーは一つのサービスに登録すれば、同じプラットフォーム上の他のサービスも利用できます。
具体的な例としては、Googleのアカウントを作成することで、メールはもちろん、ストレージの利用やスケジュール管理、会議システムなどのサービスも受けられます。ユーザーにとっては、仕事を効率よ良く進める上で大変うれしいサービスといえるでしょう。
プラットフォーマーの経済への影響
インターネット上に開設されたプラットフォームでは、オンラインで効率良くビジネスが行えます。例えば日本のある地域の特産品を、遠く離れた外国のユーザーに向けて売ることができるわけです。実際の店舗を介するビジネスに比べていかに効率的かは、容易に想像できるでしょう。
プラットフォーマーが展開するビジネスは、市場に大きな影響を与えます。そのため、既存の市場を取り巻く企業は、生き残るための変革を迫られます。しかしこれはユーザーの利益や生産性の向上を高めるもので、ゆくゆくは企業の成長を手助けするものになるでしょう。
プラットフォーマーへの規制
プラットフォームの利用が拡大すればするほど、プラットフォーマーに集まるビッグデータは巨大化します。近年ではこのビッグデータが不当に取得・使用されることを懸念し、取り締まりの必要性を求める声が高まっています。
ヨーロッパ諸国では、世界的なプラットフォーマーに対して税金を課すことのできるデジタル課税を検討しています。これは日本においても同じで、独占禁止法の認識に対する見直しや、官民データ活用推進基本法を設けるなどの対応が進められています。
プラットフォームビジネスのメリット
ビジネスのジャンルを超え、私たちの生活に深く関わるようになったプラットフォーム。それを活用するプラットフォームビジネスには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
多様な顧客のニーズに対応できる
例えば買い物は、できるだけ効率良く済ませたいと思うものです。プラットフォーム上に展開されるショッピングサイトでは、ユーザーは家電や日用品といったさまざまなジャンルの商品の売り買いを、一つのサイトで完了できます。
多岐にわたる商品やサービスの提供を効率良く行えば、より多くのニーズに応えることにつながります。これがまた新たなユーザーを呼び込む魅力となるのです。
顧客を囲い込める
ユーザーに会員になってもらえば、顧客として囲い込むことができます。サービスの多くは無料会員を設けていますが、限定セールや商品を早く届けるサービスなど、会員だけの特典を充実させれば、ユーザーはそこに魅力を感じて有料会員になり、客単価を上げられます。
マーケティングに活用できる
プラットフォーマーに集まるビッグデータには、どの企業も欲しがるような顧客の購買履歴や消費データも含まれています。こうした膨大なデータを活用し、ユーザーの趣味嗜好(しこう)を分析することで、よりターゲットを絞った戦略的な広告が打てるのです。
プラットフォーマー企業例の代表である「GAFA」とは
世界的企業にまで成長したプラットフォーマーは、企業名の頭文字をとって「GAFA(ガーファ)」や「FANG(ファング)」と呼ばれています。
「GAFA」はGoogle、Apple、 Facebook、Amazonを指し、「FANG」はFacebook、Amazon、Netflix、Googleのことです。
サーチエンジンを運営するアメリカの会社です。Googleは「Google Chrome」というウェブブラウザや、スマホのOS「Android」を無料で提供しています。
Googleはプラットフォーム上で、さまざまなアプリやサービスを開発・提供して利益を生んでいます。売り上げのほとんどを広告から得ているのも大きな特徴です。
プラットフォームを介して得られたビッグデータには、ユーザーの閲覧履歴も含まれます。それを解析し、ユーザーごとに適した広告を表示できるのが「Google 広告」です。またユーザーの動向を細かく分析できる「Googleアナリティクス」も、マーケティング手法として広く活用されています。
Apple
Appleはアメリカのスティーブ・ジョブズによって設立されました。「iPod」や「iPhone」、「iOS」といったOSやアプリケーションの開発も行っています。Appleの製品でどれほど私たちの暮らしが便利になったのかは言うまでもありません。
その中の一つ「iCloud」は、クラウド上のファイルにどこからでもアクセスし編集できるAppleを代表するサービスです。Appleのどの製品にも組み込まれており、世界中に多くのユーザーを抱えています。
Facebook(現Meta)
SNSもユーザー同士をつなげるプラットフォームの一つです。Facebook(現Meta)は、情報発信・交換を行うサービス「Facebook」を無償で提供し、Googleと同じように広告から収益を上げています。2012年には写真の投稿ができるSNS「Instagram」を買収したことでも有名です。
プラットフォームはユーザーがユーザーを呼ぶことで、さらに拡大していきます。その一例としてFacebookはAPIを公開し、ゲームの製作会社がSNSを通して新たなゲームをリリースできるようにしました。ゲームの多くは参加型のため、ユーザーがゲームを介してユーザーを呼び、結果としてSNSの会員数の増加につなげています。
Amazon
Amazonは、動画・音楽配信・電子書籍などさまざまな事業を展開しています。会員への特別な配送オプションも行っており、日用品から家具・家電までさまざまな商品を購入することができます。
代表的なサービスに、モバイル端末を使って多くの本を好きな場所で読むことができる「Kindle」や、最近では家電を音声で操作する「Amazon Alexa」がリリースされ話題を呼びました。
Netflixを入れて「FANG」とも
前述した「GAFA」のほか、Netflixを加えて「FANG」と呼ぶこともあります。
従来、動画コンテンツを利用するためには、コンテンツを購入したり専門のレンタルショップで借りたりする必要がありました。Netflixは定額見放題で、家にいながら動画を楽しめるようになり、デバイスや物理的規制などの不便を解消することで、ユーザーのニーズに応えて収益を上げています。
成長し続けるプラットフォーマー
プラットフォーマーは、個人や企業がインターネットを介してビジネスを展開するとき、その基盤となるサービスを提供するIT企業を指します。そのサービスや扱う商品は多岐にわたり、そこから蓄積したビッグデータはプラットフォーマーの大きな強みとなって分析・活用され、新たなビジネスモデルが次々に生まれています。
デジタル技術の進歩とともに、プラットフォーマーには新たな社会の仕組みを誕生させると大きな期待が寄せられています。