2021年1月に保険料が改定された地震保険。地震保険の特徴と加入の是非について、この機会に改めて考えてみましょう。

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地震保険料が全国平均5.1%値上げ

2014年に地震保険の見直しが行われた結果、保険料率の大幅な引き上げが必須となりました。

ただし、1度で大幅な引き上げを行うと加入者の負担が大きいという判断から、3段階に分けた改定が行われることとなり、これまで2017年1月・2019年1月に改定を行ってきました。そして、今回の2021年1月の改定が3回目の改定となります。

地震保険の保険料は、建物の所在地(都道府県)と建物の構造区分(イ構造・ロ構造)により異なります。

今回の改定での最大の引き上げ率は、福島県のロ構造(木造建築物等)で+14.1%となります。最大の引き下げ率は、愛知県、三重県、和歌山県のイ構造(マンション等)で-18.1%となります。

あわせて、長期契約(最長5年)の地震保険料の割引も見直されます。

お住まいの都道府県・建物の構造によって、今回の改訂が値上げ・値下げどちらになるかも変わるので、注意が必要です。

火災保険との違いと地震保険の特徴

地震・噴火またはこれらによる津波による建物の火災や損壊などは、その発生予測が困難なことなどから、火災保険では補償されません。そこを補償するのが地震保険となります。

地震保険の補償の対象となる損害は、地震等を直接または間接の原因として、建物や家財が火災、損壊、埋没、流失となった場合です。

具体的には「地震による倒壊、破損」「地震によって生じた火災による焼損」「地震によって河川の堤防やダムが決壊し、洪水となったため生じた流失、埋没」「噴火にともなう溶岩流、噴石、火山灰や爆風によって生じた倒壊、埋没」「地震や噴火の結果生じた土砂災害による流失、埋没」「津波によって生じた流失、倒壊」といったケースが想定されます。

地震保険は単独では契約できません。必ず、火災保険に付帯して契約する必要があります。

また、保険金額は、火災保険の保険金額に対して、30%~50%の範囲内で設定します。設定できる保険金額には限度があり、建物は5,000万円、家財は1,000万円までとなっています。

地震による被害があった場合、保険金額がすべて支払われるわけではなく、その損害の程度に応じて支払われます。

地震保険の加入は本当に必要?

では、実際の地震保険の加入率はどれくらいなのでしょうか。

全世帯に対してどの程度の世帯が地震保険を契約しているかを示す「世帯加入率」は2019年で33.1%、火災保険にあわせて地震保険にどの程度加入しているかを示す「付帯率」は2019年で66.7%となっています(出典:損害保険料率算出機構)。

地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営する公共性の高い保険ではありますが、加入を検討するときに注意したいのが、保険の目的です。

地震保険は、「建物の再建」が目的ではなく、「生活の再建」を目的とした保険です。

地震保険の保険金だけでは、建物を再建することは非常に難しいことを踏まえた上で、生活再建のための費用を地震保険で備える必要があるかどうかが、加入を考えるときのポイントとなります。住宅ローンの残高や貯蓄によってもその必要性は変わってきます。

また、古い木造の戸建てに住んでいるのか、耐震性が高いマンションに住んでいるのかによっても必要度合いが異なります。

地震保険の特徴を理解した上で、ご自身の状況にあわせて判断する必要があると言えるでしょう。