インパクトのある見た目と個性的な味で熱狂的な支持を獲得する「ラーメン二郎」。コロナ禍だというのにオープン前から行列が絶えない店舗も多く、その人気はやはり絶大だ。

ラーメン二郎を愛してやまない人々を"ジロリアン"と呼び、ラーメン二郎に影響を受けたラーメン屋を"二郎インスパイア系"と呼ぶのは、もはや常識。今では優秀な二郎インスパイア系のラーメン屋も各地に出てきており、ジロリアンたちの間では「どの二郎インスパイア系が一番美味いか」という議論もなされている。

元ジロリアンの筆者は個人的に「バリ男」「千里眼」「用心棒」などは、本家に勝るとも劣らないほどのレベルだと感じているが、先日、埼玉県を中心にチェーン展開する二郎インスパイア系ラーメン店「ジャンクガレッジ」を訪れたところ……

「チェーン店にして、こんなにクオリティの高い二郎インスパイア系ラーメンを提供できる店があるのか!」

……とビックリ。ぜひ、この場を借りてご紹介させていただきたい。

■特集『ラーメンチェーン名店巡礼』侮れない一杯はこちらから

店内には溢れ出るほどの"埼玉愛"

ジャンクガレッジとは、埼玉県を中心に約20店舗を構えるラーメンチェーン。埼玉県以外では群馬県に1店舗を出店しているだけなので、現時点では埼玉県のローカルチェーンと言っても過言ではないだろう。実際、ジャンクガレッジの強い埼玉愛は着席した瞬間に思い知らされることとなった。

このコロナ対策のパーティションである。

「熊谷が日本一暑いと信じている、それがさいたま!」

「大宮ナンバーを見ると都会から来たと思う それがさいたま!」

「県民の日はディズニーランド それがさいたま!」

「北辰テスト 他県になくてびっくりする それがさいたま!」

なるほど。埼玉に特に縁のない筆者にとってはあまりピンとこないが、きっと県民なら誰もが「わかる!」と唸る"埼玉あるある"なのであろう。やはり地域に根ざしたローカルチェーンなのだとお見受けする。

さて、肝心のメニューだが、どうやら「ラーメン」と「まぜそば」の二枚看板らしい。

うわぁ〜、迷う。本家のラーメン二郎でも、スープがない「汁なし」を出す店は多い。そして、それがラーメンに負けず劣らず、めちゃくちゃ美味いのだ。

そうだなぁ……最近、ラーメンばかりでつけ麺やまぜそば、油そばなどは食べてこなかったので、今回は「まぜそば(玉子あり)」でいかせていただきます!

トッピングはニンニク、アブラ、チーズ、辛味、エビマヨ、ベビースターが無料らしい。気前がいいではないか。もちろん、全トッピングでオーダー。ニンニク、アブラ、チーズ、辛味はダブル、トリプルも選べるらしいが、味がわからなくなりそうなので、この日はすべてシングルで。

ガツンとくるニンニク風味とトッピングの一体感に箸が止まらない!

数分後、目の前に置かれたのはまさにラーメン二郎を彷彿させるまぜそば。写真では伝わりづらいが、器はかなりの大きさである。

こうしてみると、役者が揃っているぁという印象。もやしキャベツ、エビマヨ、辛味、ベビースター、鰹節まである。おっと、玉子は温玉か。ラーメン二郎だと生玉子でトッピングされていることが多いが、もしかしたら"タレ"を玉子の白身で薄めてしまわないための配慮かもしれない。

それにチーズと、刻みニンニクは量がすごい。ゴルフボールより一回り小さい程度である。その豪快さ、大好きです。よく見るとフライドガーリックまで付いている。

麺をめくってみると、スープ(タレ)はこんな感じ。まずはあまりかき混ぜず、麺とスープだけでいただこう。どれどれ……

キタコレ!! 歯ごたえの強いわしわし食感の太麺に、キリッと塩味の効いたスープ。美味い!

そして何やら、麺の形がそれぞれ違う……? それもそのはずで、ジャンクガレッジが使用している麺は、太さの違う3種類の麺を混ぜ合わせた特注麺。種類の違う麺を同時に使うことで、歯ざわりやのど越しが異なり、奥行きのある食感を楽しめるようになっているのだという。

味付けも深みがある。スープで使用されているのは、ゲンコツ、ゼラチン質たっぷりの背ガラ、香味野菜を8時間も丹念に炊き込み、旨味を凝縮したスープと、店独自の秘伝醤油タレ。コクと旨味、甘みが強く、麺にもとてもよく絡む。

いきなり他の具材と混ぜてしまうのももったいないので、もう二口くらい、このままで食べておこう。

分厚くカットされたチャーシューは食べごたえ抜群。これくらい分厚くないと、麺の存在感に負けてしまうに違いない。ホロホロで柔らかく、脂身までしっかり甘くて美味しい。

続いて、エビマヨを少し麺に絡めて……ズルズルッ。

おおっ、一気にまろやかで濃厚な味に変化した。あまり"エビ"の風味は強くが感じないかな? でも、このスープによく合う。

では、そろそろガツンとかき混ぜますか。

全部ぐるぐるっとかき混ぜ、豪快にズズズーっとかきこむ。これぞまぜそばの醍醐味である。ああー、美味い!

やはりニンニクパワーがものすごい。全体を支配しているのは他でもないニンニクである。これぞジロリアンが求めるガツンとした二郎系ラーメンの魅力である。

そして、かなりクリーミーな味わいになったのも意外だった。チーズとエビマヨ、半熟玉子の影響だろう。一方で鰹節も風味豊かに主張しているし、時折入ってくるベビースターのポリポリ食感もいいアクセントとなっている。

この一体感、このワンチーム感、素晴らしい。

最後は店のおすすめに従い、タレの残った器にライス(小)を追加し、まぜめしにしてフィニッシュ。ご飯との相性も言わずもがな満点だった。

いやぁ、食べた食べた! 1日分のカロリーは摂れたに違いない。

改めて思うが、このレベルの二郎インスパイア系ラーメン店がチェーン展開しているのは、とても羨ましいこと。この日は16時という、ランチにしては遅すぎるし夕食にしては早すぎる時間帯に訪問したのだが、店内は随分と賑わっていた。

ジャンクガレッジが埼玉を代表するラーメン店となる日も遠くない……かも?

■特集『ラーメンチェーン名店巡礼』侮れない一杯はこちらから