日本の超ドバラエティ番組作りに長けたABCテレビが、ついに世界トップに躍り出た。国際的な番組コンテストで最優秀賞をつかみ取ったのだ。受賞番組のタイトルは『シークレットゲームショー』。知る人ぞ知る番組だが、実はアメリカの巨大メディア企業・NBCユニバーサルグループと共同で開発されたものである。

快挙を成し遂げ、国内では再放送を編成(5月1日13:28~ ※関西ローカル、TVerで15日まで配信予定)。世界進出に向けて活気づく中、担当プロデューサーとディレクターを直撃した――。

  • 『シークレットゲームショー』に出演する(左から)増田紗織アナ、加藤諒、陣内孝則、足立梨花、チャンカワイ (C)ABCテレビ

    『シークレットゲームショー』に出演する(左から)増田紗織アナ、加藤諒、陣内孝則、足立梨花、チャンカワイ (C)ABCテレビ

■MC陣内孝則「放送事故が起こるかもしれません!」

「とにかく光栄です。お笑い文化に違いがある海外の方にもわかってもらうように、ツッコミの概念や、いじる笑いの取り方を言語化し、何をどうしたら一番おもしろいねん?とひらすら追求。皆でアイデアをどんどん膨らませていき、唯一無二の企画に仕上げるために全力を尽くしたことが報われました」

今回の受賞を受けて、演出を担当したABCテレビ コンテンツクリエイト局制作部所属の土井長慶宗ディレクターが、感慨深げにそう言葉にした。

『シークレットゲームショー』は、オフィスで真面目に働く1人の社員が主役。賞金100万円をかけて“秘密”のミッションに挑む姿を笑って楽しむ一風変わったリアリティショーである。日常のオフィスが突如ドッキリ会場になり、周囲にバレたらゲームは即終了。もちろん事前打ち合わせは一切なしのぶっつけ本番だ。

何が起こるかわからないことから、MCの陣内孝則が「放送事故が起こるかもしれません!」と断りを入れるほど。言語を越えて、絶対にバレてはいけないドキドキ感と日本らしい緻密なバカバカしさが伝わってくる番組に仕上がっている。

  • スタジオの様子

2020年3月の初放送以来、世界ヒットの可能性がある番組の1つとして、国際業界ビジネスイベントで注目されていた。そして、ついに今年4月13日深夜(日本時間)にオンライン上で開催された、世界最大手のコンテンツ業界メディア・C21Media(イギリス)らが主催する「インターナショナル・フォーマット・アワード2021」で実績を作る。同アワード全11部門の1つであるコメディ部門で、日本、フランス、イギリス、アメリカからノミネートされた6作品から『シークレットゲームショー』が最優秀賞を受賞したのだ。

本来ならば、授賞式は地中海を望むコート・ダジュール(海岸)沿いにあるフランス・カンヌの会場で行われるはずだったが、残念ながらそれはコロナ禍につきかなわず。それでも、世界の大舞台でまさかのコメディ番組トップに立ち、共に開発したNBCユニバーサルグループのNBCユニバーサル・フォーマット(以下、NBCUフォーマット)のメンバーとも喜びを分かち合うことができたという。