JR東日本千葉支社は23日、電気・軌道総合検測車「East-i」の搭載カメラで撮影した画像データにより、架線設備(トロリ線・吊架線・がいしなどから構成される設備)の良否判定を行う電車線モニタリング装置を導入すると発表した。

  • 「East-i」の屋根上に搭載されたカメラ(JR東日本千葉支社提供)

JR東日本では、将来の労働人口の減少を見据えた仕事のしくみづくりに挑戦しており、ICTなどの先端技術を活用した技術革新に取り組んでいる。千葉支社が導入する電車線モニタリング装置もその一環となる。

千葉支社では、ビッグデータ分析にもとづくCBM型のメンテナンス手法の導入を図ることにより、安全レベルの向上をめざすという。CBMは「Condition Based Maintenance」の略で、「状態基準保全」を意味し、設備の状態に応じて最適な時期に保全を行うメンテナンス手法とされる。

  • 電気・軌道総合検測車「East-i」(JR東日本千葉支社提供)

  • East-i搭載カメラにより得られたトロリ線の画像(JR東日本千葉支社提供)

従来の架線設備検査では、線路に載せた高所作業車を使用し、夜間に電力係員が至近距離から架線設備の状態を確認していた。これに対し、千葉支社が導入する電車線モニタリング装置は、「East-i」に搭載したカメラにより、架線設備の撮影を行うシステムとなる。導入直後は撮影した画像データを人間が判定するが、2021年10月からは画像中の架線設備をシステム(AI)が自動認識して状態の良否判定を行える機能の導入を予定しており、最終的には人間が最終チェックを行うという。

電車線モニタリング装置は4月から導入され、導入線区は総武本線(佐倉~銚子間)、成田線(成田~我孫子間)、成田線(成田~松岸間)、内房線(蘇我~安房鴨川間)、外房線(蘇我~安房鴨川間)、東金線(大網~成東間)、鹿島線(香取~鹿島サッカースタジアム間)とされている。なお、列車本数の多い首都圏の線区では、営業車を使用したモニタリングを検討している。