Zoomでのオンライン会議や講習を行う企業が増えてきました。多くの参加者がディスカッションをする場合、全体で一斉に議論をするよりも、少人数ごとに分けて意見を交換させるほうが活発な議論になります。そのような際に、ブレイクアウトルーム機能を使うと便利です。

本記事では、Zoomのブレイクアウトルーム機能について、設定方法と使い方を紹介していきます。

  •  Zoomグループ分け機能について

    Zoomのグループ分け機能「ブレイクアウトルーム」について解説します

Zoomグループ分け機能について

大規模な会議や研修の場面でZoomを使うと、ホストの一方的な配信となったり、参加者が各々話して音声が入り乱れたりする可能性もあります。

このような際に有効なのが、Zoomのグループ分け機能「ブレイクアウトルーム」です。ブレイクアウトルームを使うことで、参加しているゲストを少人数のグループに振り分けてミーティングができます。

ブレイクアウトルーム機能とは

ブレイクアウトルームとは、大人数の参加者を各部屋に割り振る、いわばグループ分けのような機能です。その他の機能「画面共有」や「ホワイトボード」のように、ミーティングルームを立ち上げてから設定するのではなく、あらかじめZoomの設定画面から「ブレイクアウトルーム」を有効化しておかなければいけません。

ブレイクアウトルーム機能を設定する

手順としては、はじめにPCからZoomにアクセスしホーム画面を開きます。ホーム画面から「マイアカウント」にアクセスし左端にある「設定」をクリック。設定画面の「ミーティングにて(詳細)」までスクロールすると「ブレイクアウトルーム」を有効化するボタンがあるのでこちらを選択します。

  • Zoomグループ分け機能について

    ブレイクアウトルームの設定方法

このような設定を行った上でミーティングを開催すると、画面下のアイコンにブレイクアウトルームが表示されていることが確認できます。

グループ分けするメリット

グループ分けには以下のようなメリットがあります。

議論が活発になる

大人数での会議や研修の場合、参加者が周りの目を気にしてなかなか発言しないということがあります。とくにオンラインでは相手の表情をはっきりと読み取れなかったり、場の雰囲気を感じにくかったりすることから、対面と比べて発言しにくいと感じる人も多いようです。グループを分け人数を絞れば、おのずと発言のしにくさも軽減されるでしょう。議論が盛んになることで、より有意義な会議・研修になります。

参加者同士が交流しやすくなる

大人数が参加しているオンライン会議や研修では、参加者同士が会話するのはなかなか難しいものです。ホストが一方的に話すだけでいい内容ならば問題ないですが、新入社員に向けたオリエンテーションなど参加者同士の親睦を深めることも目的としている場合は、交流しやすい雰囲気を作らなければなりません。グループを分け少人数になれば、参加者同士も会話しやすくなるでしょう。また、ブレイクアウトルームの自動割り当てを使えばメンバーをランダムに振り分けられるので、毎回違うメンバーにして色々な人と交流してもらうといったことも簡単に行えます。

習熟度別の研修が実施可能になる

研修などは、テーマによって参加者の習熟度にバラつきがあることも考えられます。このような場合、全員一律の内容よりも習熟度別に分けた内容にする方がより効果的といえます。グループ分けをすれば習熟度別の研修も簡単に実現できるでしょう。最初は全員に向けた説明を行い、その後習熟度別に研修を実施するといったことも可能です。

  • Zoomグループ分け機能について

    ブレイクアウトルームを使えば議論が活性化できます

ブレイクアウトルームでグループ分けを行う方法

Zoomのブレイクアウトルームについて、実際に参加者をどのようにして各部屋に振り分けるのか、設定方法を紹介します。

自動でグループ分けをする

参加者を自動で振り分ける方法はとてもシンプルです。「ブレイクアウトルーム」を有効にした後に、通常通りミーティングルームを開設します。

ミーティングルームに入ると画面下の「ブレイクアウトルーム」のアイコンが追加されているので、アイコンを押しましょう。「ブレイクアウトルームの作成」という画面に切り替わり、分ける部屋数を選択できます。任意の部屋数を選択し(最大50)、「手動で割り当てる」にチェックを入れれば作成完了です。

  • ブレイクアウト機能でグループ分けを行う方法

    自動でグループ分けをする方法1

グループ分けをしてある程度時間がたったあと、メンバーを替えて振り分けたい場合は、「再作成」というボタンを選択します。すると、もう一度ランダムに振り分けることが可能です。

  • ブレイクアウト機能でグループ分けを行う方法

    自動でグループ分けをする方法2

手動でグループ分けをする

グループのメンバーを手動で割り振る方法について解説します。主導の場合は参加者一人ひとりを各部屋に割り当てていかなければなりません。

自動と同じ手順でミーティングを開催し、ルームの画面下にある「ブレイクアウトルーム」のアイコンをクリックします。次に、「手動で割り当てる」にチェックを入れて「作成」を押してください。

  • ブレイクアウト機能でグループ分けを行う方法

    手動でグループ分けをする方法1

ブレイクアウトルームのアイコンをクリックすると、振り分けたルームの番号が一覧となって並んでいます。各ルームの名前の右端に「割り当て」もしくは各ルームにいる人数が表示されています。カーソルを合わせると、ミーティングに参加している人が表示されるので、そのルームに入れたい人にチェックをつましょう。セッションを開始することで振り分けが完了します。

  • ブレイクアウト機能でグループ分けを行う方法

    手動でグループ分けをする方法2

あらかじめ参加者のグループ分けが決まっている場合、大人数の中から見つけていくのはとても大変です。参加者の表示名に「01」のように、振り分ける予定のルーム数を記入しておけば、参加者一覧が自動でソートされルームごとに並ぶようになります。そうして、チェックをつけて振り分けていくと、漏れもなく簡単に割り当てることができるのでおすすめです。

  • ブレイクアウト機能でグループ分けを行う方法

    参加者の表示名を変更しどこのルームか分かりやすくしておきましょう

オプション設定で細かく設定する

振り分け機能は、オプションを使うことでより細かに割り当ての設定が可能です。

「参加者によるルーム選択を許可」にチェックを入れると、文字通り参加者が自ら入室したいルームを選ぶことができます。また、「参加者がいつでもメインセッションに戻ることができます」を選択すると、自由に振り分けられたルームから全体ミーティングのルームに行き来ができるようになります。この2つを同時にチェックすると、参加者は部屋と全体ミーティングとを双方向に移動可能となるのです。

また、通常の設定ではホストが割り当てをすると、参加者のアカウントに入室の承認を求めるメッセージが届きます。このままでは、承認するタイミングによっては同時にセッションを開始することができません。

「割り当て済みの全参加者を自動でブレイクアウトルームに移動」を選択していると、ホストの割り当てが終わり次第、参加者を強制的に部屋に入れることができます。時間を決めてミーティングをしたいときは、こちらにチェックをいれておきましょう。

  • ブレイクアウト機能でグループ分けを行う方法

    ブレイクアウトルームは細かい設定もできる

事前にグループ分けを設定する方法

事前割り当て機能を使えば、Zoomのウェブポータル上で事前にグループ分けを行っておくことができます。ここではその流れを紹介します。

基本のやり方

1、 Zoomのウェブポータルにサインインし、「ミーティング」内の「ミーティングをスケジューリング」ボタンを押す

2、画面下部にあるオプション欄で表示を選択。「ブレイクアウトルーム事前割当」が表示されたらチェックを入れる

3、「ルームを作成」を押す。これで割り当て画面が表示される

4、Roomsの右にある+ボタンを押してルームを作成する

5、右側の検索ボックスに名前またはメールアドレスを入力し、追加したいユーザーを選択する

6、選択が完了したら保存ボタンを押す

メールアドレスを使ったCSV一括取り込み

上記のほか、メールアドレスによるCSV一括取り込みの機能もあります。参加人数が多い場合などは手際よく進められるのでおすすめです。

1、上記で紹介した流れの2まで行ったら、右側のCSVからのインポートボタンを押す。

2、 テンプレートをダウンロードして、項目に沿って情報を入力する

3、 入力したCSVファイルをドラッグアンドドロップする

4、 情報が反映されるので、内容に問題がなければ保存ボタンを押す

事前に割り当てられるのはZoomのアカウントを持っている人のみになります。また、割り当てられたミーティングに参加する際は、割り当てに使用したアカウントでサインイン する必要があり、別のアカウントでは参加できないので注意してください。

ブレイクアウトルーム機能の注意点

便利なブレイクアウトルーム機能ですが、注意しておくべき点もあります。

グループ間でチャットはできない

ブレイクアウトルーム機能で分けた場合、各グループ間でチャットのやり取りはできません。チャットはあくまで分けたグループの中でのみのやり取りになるので、ほかのグループとも適宜交流したい場合は、別途チャットツールなどを用意しておく必要があります。

参加者は作成できない

ブレイクアウトルームを作成できるのはホストと共同ホストのみです。参加者が作成することはできません。自分がホストを務める場合は、あらかじめ使い方をマスターしておきましょう。また、ほかの人にホストを依頼する場合は、操作方法を教えるのを忘れないよう気をつけてください。

グループの録画はクラウド保存不可

通常のミーティングでは、有料プランを利用している場合、録画したデータの保存先をローカルとクラウドの2つから選ぶことができます。しかし、ブレイクアウトルーム機能で分けたグループを部屋ごとに録画したデータについてはクラウド保存が選択できません。各グループの録画を記録として一定期間残しておきたい場合は、ローカルの空き容量に余裕を持たせたり、個別にクラウドストレージを用意したりしておくといいでしょう。

グループ分けしたミーティングで使える機能

グループ分けしたミーティングを行う際に使える便利な機能を紹介します。

ホストの入室機能

ブレイクアウトルームを使い作成した部屋で、滞りなくディスカッションが行われているかチェックしたい場合、ホストは各部屋を実際に見たり参加したりすることが可能です。セッションが開始されると、各ルームの右端に「参加」と書かれたボタンがあるので、そこをクリックすることで部屋に入室できます。

  • グループ分けした後の操作方法

    ホストが各部屋を見る方法

もし部屋の数が多く時間内に全てを見回ることができない場合は、ホスト権限を複数人に付与することで、各ホストが同じように各部屋へ入室できるようになります。ここで注意しなければいけないのは、複数人にホスト権限を付与する場合は有料プランに契約しておく必要があるということです。

全体メッセージ機能

参加者が各部屋に分かれてディスカッションが始まってしまうと、ホストの声は部屋に入室することでしか届きません。しかし、メッセージなら全体に対して届けることが可能です。

ブレイクアウトルームのアイコンをクリックすると、「全員にメッセージを放送」という項目があるのでそこを選択しテキストを打ち込み、「ブロードキャスト」をクリックすると全員に共有されます。

  • グループ分けした後の操作方法

    各部屋のディスカッション中に指示を出す

参加者追加機能

ミーティングがスタートしている部屋に後から参加者を追加する場合や、回線の都合上落ちてしまった人を再度戻す場合は、ホストがブレイクアウトルームを操作しなければなりません。その際は、すでに作成している部屋の人数の所にカーソルを合わせましょう。対象の参加者が表示され、割り当てることができます。

ヘルプ機能

ヘルプ機能は、参加者がホストに対しヘルプを求めることができる機能です。各ルームにはそれぞれヘルプボタンが表示されています。これを押すとホスト側に「○○(ルーム名)がヘルプを求めました」と通知され、ルームへの参加を依頼することが可能です。ホストに質問したいときや、ルーム内で問題が起こったときなどに活用しましょう。

タイマー機能

タイマー機能を使えば、会議や研修の終了時間を設定することが可能です。例えば会議時間のうち半分をグループディスカッションに使いたいといった場合に、グループディスカッションが必要以上に長引いてしまうと、そのあとの予定もずれてしまいます。こういった状況を防ぐにはあらかじめタイマーで終了時間を設定しておくことが大切です。

ブレイクアウトルーム機能は無料で使える?

ブレイクアウトルーム機能は無料版でも使うことが可能です。無料版だとブレイクアウトルームの一部機能が使えない、ということもありません。ただし、無料版の40分という時間制限は変わらないので、長時間の会議や研修を行いたい場合は注意しましょう。

ブレイクアウトルーム機能を使いこなそう

Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って参加者をグループ分けする方法を紹介しました。ビジネスシーンにおいて議論や研修を行う場合、少人数の方が参加者の意識も高まり、意見を出しやすくなります。

ブレイクアウトルーム機能を使いこなして、会議や研修をより有意義なものとしましょう。