30日スタートのテレビ朝日系ドラマ『あのときキスしておけば』(毎週金曜23:15~ ※一部地域除く)。主演を務める俳優の松坂桃李は、32歳独身で、失敗ばかりのスーパー店員というポンコツな主人公・桃地のぞむを演じる。桃地は大好きな漫画の作者・唯月巴(麻生久美子)と運命の出会いを果たし、押し倒されてキスされそうになるまでの関係に。しかし唯月は突然帰らぬ人になり、その魂が乗り移った見知らぬおじさん“オジ巴”(井浦新)が現れる――。

  • 左から麻生久美子、松坂桃李、井浦新=テレビ朝日提供

一風変わった“入れ替わりラブコメ”を演じる松坂、井浦、麻生の3人に、作品の見どころやお互いの印象を聞いた。

■麻生のキラーパスを受け止める松坂と井浦

松坂は本作の第一印象を「笑ってしまいましたね」とニヤリ。「脚本がオリジナルなので、1話を読ませて頂いたときにこれ最終回どういう着地するんだろうって思いました。麻生さんもう出てこないのかな? とか」と思案を巡らせたという。

麻生は「松坂さんと新さん2人のやりとりがおかしくって。どんなふうに私が演じれば、新くんがかわいくなるかなって考えながら脚本を読みました。バトンをちゃんと渡そうと思って」と井浦に振ると、「麻生さんはとにかくキラーパスを投げてくるので」と返され、「投げっぱなしですみません」と謝罪。続けて井浦は「麻生さんは2人をもてあそんで……いいなぁ(笑)。男子2人は、それを全部受けながら、引き継ぎながらやっていく。これはもう大変」と苦労を滲ませる。

巴の魂が入ったオジ巴という難役を演じきるには、麻生版・巴の完全コピーが肝。2人から「全体の初日には、新さんの出番はなかったんですけど来て下さって。すっごく麻生さんを観察してましたね」「見られてました」と井浦の本気の姿勢が明かされた。

■同じ身長の男がイチャイチャするラブコメ

ラブコメ作品としての魅力について松坂は「入れ替わりならではといいますか、オジ巴と桃地は身長が同じくらいなんですよね。そんな2人だからこその面白さ、キュートさが出せればいいなと。おんぶする描写もあるんですけど、形として見てて面白いのでは」と手応えを。実は気になった井浦が事前に調べていたそうで、2人が「183cm」と同じ身長だったことがこの場で伝えられた。「同じ身長の2人がイチャイチャ……」という状況を改めて想像した3人は思わず笑顔に。

井浦は「この作品ならではのポイントは、楽しいラブコメの裏に人の死を孕んでいるところ。巴が魂だけになって、人の死とその家族の悲しみがあるのに、笑顔を生む作品として成立させられる。それって素晴らしいことだなって。しかも、見え方はまっすぐなようで、まっすぐじゃないラブがあって、見たまま、素直に楽しめるドラマになるんじゃないかなって思ってます」とアピールした。

■松坂の印象は「仙人みたい。尖った部分がどこもない」

松坂と麻生は、共に2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』に出演したことがあるものの、本格的な共演は初めて。松坂は麻生の印象を「改めて新鮮な気持ちで臨めるというか。初日からすごく楽しかったですね。すみません、僕なんかが楽しいなんて……平和な現場になりそうだなと思いました」と謙虚に述べた。

一方井浦との初対面を「初めましての第一声で『抱きしめてくれていいよ』『いつでも抱きしめてください』って言って下さって。その瞬間に『あ~! 大丈夫だ~!!』ってすごく安心しました」と回顧する。また、オジ巴のキス顔を見て「すごくキュートで、逆に拒むのが難しくなるくらいかわいらしい感じだったので、今から絡むのが楽しみ」と今後を期待すると、麻生も「かわいかったですね~」と同意。

麻生は、「共通の知人に松坂さんの印象を聞いたら『すごーく穏やかーな人だよ』って。現場で初めてお話ししたら本当にその通りで、仙人みたい。尖った部分がどこもなさそうな、本当にすごい丸い素敵な方。今回の役がすごくピュアな人なので、松坂さんそのまんまなのかな」と松坂と役柄の共通点を話した。

井浦と麻生はこれまでに多数共演。2人のコンビネーションは何も心配していないと豪語する井浦だが「2人で1つの役を作るのは初めて。初日の撮影を1日見させて頂いた中でも、自分の知らない麻生さんの顔もたくさんあったので、すごく新鮮です」と語る。それでも、撮影で麻生と近距離になったときのことを「普通女優さんとこの距離で目を合わせたら緊張して息が詰まっちゃうんですけど、今日近づいた人たちの中で一番ホッとするのが麻生さん」と話し、「この距離でも安心するなぁって。そういう心の距離感もきっと時間と共に培って来れた人」としみじみ。

続けて井浦は松坂の印象を「お会いしたことがなくて、作品でしか存じ上げなかったんですけど」と前置きし、「自分の役の責任を果たす役者さんという印象を持ってました。作品の大小、番手に関係なく、きっとご自身の考えで仕事を選んで。たとえば、救いのない下衆な役だったとしても、徹底して下衆でやりきる。その姿勢は同業者としてすごく共感が持てるところ。徹底して自分の仕事を、監督の求めるままにやる役者さんなんじゃないかって」と想像。

初共演を「身も心も近づくはずなので、一緒に何が出来るのかなって」と楽しみにしている様子を見せた。