俳優の水谷豊による監督作第3弾『太陽とボレロ』(2022年公開)の製作が決定したことが14日、明らかになった。

  • 水谷豊監督 写真:三宅英文『轢き逃げ』より

    水谷豊監督 写真:三宅英文『轢き逃げ』より

同作は水谷豊監督作の第3弾で、ある地方都市の市民交響楽団を舞台に、「音楽を愛する人々」と「音楽の素晴らしさ」を描いていく。世界的指揮者・西本智実が自身初となる映画音楽監督で、イルミナートフィルハーモニーオーケストラが演奏で参加する。

水谷監督は、初監督作となる『TAP ‐THE LAST SHOW‐』(17年)では夢みる若者の青春群像とショービジネスの光と影を、脚本も手掛けた監督第2作『轢き逃げ 最高の最悪な日』(19年)では不幸な事故が露わにする人間の心の奥底を描ききり、オリジナルの映画を作り続けている。

本作では水谷監督が脚本制作の段階から、本物のオーケストラの魅力を映画に取り込みたいと構想。西本のコンサートに訪れたことから出会い、クラシックの世界について話を交わすうちに、水谷監督が作中で奏でられる「ボレロ」の指揮演奏をオファー、監督の思いに共鳴した西本は快諾し、自身初となる映画音楽監督をも引き受けることとなった。さらに、西本自身が創設した“イルミナートフィルハーモニーオーケストラ”がが演奏に参加することも決定した。

お互いがそれぞれの活動と作品をリスペクトしていたという2人が出会い、2人のプロフェッショナルの出会いから“本格オーケストラ映画”が誕生。2021年5月~6月に長野ロケ、都内ロケと撮影を行う予定で、事前のPCR検査の徹底等、現場内での新型コロナウィルス感染症対策に万全を期して撮影に臨む。

水谷豊 コメント

西本さんと出会ったことにより、より深いクラシックの世界の人間ドラマを描くことができたと思います。そして、話をしていく中で、映画音楽の指揮演奏に加え、なんと音楽監督も引き受けて頂けることになりました。運命のように出会えて、お仕事をご一緒できることに、今、とても嬉しく興奮しています。ヨーロッパなど多くの国々ではクラシックを生活の一部のように楽しんでいます。この映画も西本さんとともに「クラシックを楽しめる映画」にしたいと思っています。

西本智実 コメント

「熱中時代」の北野広大先生は、実際私自身の人生に影響を与えて下さった先生でもありました。このようなリクエストをいただき、人生には思いがけない不思議なご縁というものがあるんだなとつくづく思います。劇中の楽曲は、映画のタイトルである『太陽とボレロ』から、同じリズムで貫く強い繋がりをラヴェル作曲「ボレロ」で、その他は背景のディテールと共通する楽曲を幾つか提案し、話し合いの中、クラシック作品を選曲しました。これから作曲していく音楽もありますので、水谷さんの世界に耳を澄ませていきたいと思います。

  • 西本智実 写真:塩澤秀樹

    西本智実 写真:塩澤秀樹