フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が、18日の放送で1,000回を達成。11日・18日の2週にわたって、番組の歴史を振り返りながら、「『ザ・ノンフィクション』は何を描いてきたのか?」を検証する「放送1000回SP」が放送される。

この記念すべき節目のナレーションは、番組最多の34回担当してきた女優・宮崎あおい(※)。番組の“いちファン”でもあるという彼女が、『ザ・ノンフィクション』の思い出や魅力、そしてナレーションという仕事への向き合い方などについて語ってくれた――。

(※)…崎は正しくは「立つ崎」

『ザ・ノンフィクション』最多ナレーションの宮崎あおい

『ザ・ノンフィクション』最多ナレーションの宮崎あおい

■18歳で初ナレーション、熱血指導の記憶

宮崎が初めて同番組のナレーションを担当したのは、ダンサーの夢を持ったダウン症の子供を追った『ピュアにダンス 僕たちのステージ』(04年5月9日放送)。当時18歳で、ナレーションの経験はほどんどなかったといい、「緊張していたのは覚えています。マイクの前にいるディレクターさんからではなく、その後ろに座っている味谷さんが一番指示を出してくださっているのが印象的でした(笑)」と、当時のチーフプロデューサー・味谷和哉氏の熱血指導が記憶に残っている。

数々の作品に“語り”として寄り添い、「自分が読んでいて泣いてしまうこともありました」というが、特に印象に残るのは、複数回にわたって担当したホストたちの物語。「自分が普段見ることのない世界の人たちのお話だったので、『こんな世界があるんだ!』と思いました」と驚きを振り返る。

その中でも、「新人さんの部屋に主人公の方が入ってきて、怒りで洗濯バサミにくっついていた着ぐるみを投げたんです。お芝居でそれをしたら『わざとらしいからやめましょう』と言われるようなことなのですが、これがリアルなんだと思った記憶があります」と脳裏に焼き付いたシーンを挙げ、「その後にもいろいろ大変なことがあって、人生は様々なことが起こるんだというのを長い期間で見させてもらったので、すごく印象的です」と、思い出すように語った。

■“語り”は「自分を俯瞰で見つめ直せる機会」

ナレーションという仕事は「私にとってとても大切だし、楽しいものです。この『ザ・ノンフィクション』で味谷さんが声をかけてくださったからこそ、別の声のお仕事にもつながったので、私のスタート地点みたいなものだと勝手に思っています」と、ある種の原点という位置づけ。

演技の仕事とは違い、「映っている方が主役なので、いかに邪魔しないようにできるか。自分が見ているときにナレーションが気になってしまうと物語に集中できないことがあるので、そうならないようにしながら、きちんと伝えるべきところを、気持ちよく人の耳に届くようにできるかということを、すごく考えています」と意識している。

また、「お芝居で自分の映像を見ることはありますが、録音した自分の声だけを聴くというのは、ナレーションの仕事でしかないので、自分を俯瞰(ふかん)で見つめ直せる良い機会にもなります。その都度『こうした方が良かったんじゃないか』という反省も毎回できるので、それもナレーションの仕事の面白いところだと思います」と明かした。