意思と意志は同じ読み方で混同しやすい言葉ですが、この2つには明確な違いがあります。ビジネスシーンでもよく使う表現なので、正しい使い方を確認しておきましょう。

本記事では、意思と意志の違いや使い分け方などについてわかりやすく紹介します。ぜひ参考にしてください。

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    意思と意志の意味を理解しましょう

意思と意志の違い

まずは意思と意志のそれぞれの言葉の意味を把握しておきましょう。

意思の意味

「本人の意思に任せる」「親族の意思を尊重する」などと使われるように、「思い」に重点を置いて使用する言葉です。何かをしようとするときのベースとなる心持ちを表します。

意志の意味

意志は「あることがらを行いたい、または行いたくない」という考えです。さらに目的や計画を選び、それを実現しようとする意味もあります。日常生活では、意志が「弱い」や「強い」と表現されるケースが多いです。

まとめると、意思は考えや心持ちに重点を置いて使用されます。それに対し、意志という言葉は、「目的を達成しようとする心の動き」に対して使う言葉です。意向と言い換えても通じることがあります。

思いを伝えるのが「意思」、意欲を伝えるのが「意志」というように覚えてもいいでしょう。

意思と意志の使い分け方・例文

意思は「何かをしたい」という気持ちを表現したいときに意思を使います。意思には動機と近い意味があると考えられ、法律用語としても使われることが多いです。この意味を踏まえ、使い分け方や例文をみていきましょう。

意思を尊重する

「尊重する」というのは、尊いものとして扱うという意味です。当事者の「何かをしたい」という気持ちを尊いものとして扱うという意味となります。

【例文】

  • 医療従事者として、患者の意思を尊重したい
  • 子どもの意思を尊重する

意思に任せる

「任せる」は、相手の好きなようにさせるという意味があります。そのため、何かをしようとする心持ちの「意思」とつなげることで、「任意」という意味となります。

【例文】

  • デートの行き先は相手の意思に任せる
  • 当人の自由意思に任せる

意志を貫く

「貫く」には、考えや態度を変えずに保ち続けるという意味があります。意志とつなげることで、物事を成し遂げる気持ちを保ち続けるという意味になります。

【例文】

  • どんな困難にぶつかっても、自分の意志を貫くことは大切だ
  • 意志を貫く決意を抱く

意志が強い

「強い」という言葉の中には「物事に屈しない精神力がある」といった意味があります。意志という言葉と結びつくことで、なんとしても乗り越えようする意欲を表す言葉となります。

【例文】

  • 彼は意志が強く、上司の反対意見に負けず自案を押し通した

意思と意志の類語・言い換え表現

類語や言い換え表現を知ることで、それぞれの言葉の正しい意味を考え、シーンに合わせて正しく使えるようになりましょう。

意思の類語・言い換え表現

まずは意思の類語・言い換え表現を紹介します。

■所存

考えや心に思うところを意味します。「所存です」はビジネス的な言い回しとなり、自己PRや、目上の人に自分の意思や決意を表明するときに使えます。

【例文】

  • ご期待に添うことができますように、鋭意努力していく所存です
  • ミスを繰り返すことのないように、気を引き締めて業務にあたる所存です

関連記事: 「所存でございます」の意味とは? 正しい使い方・例文や類語を紹介

意志の類語・言い換え表現

続いて、意志の類語・言い換え表現を紹介します。

■意欲 進んで何かをしようとすることや、その心の働きを表す言葉です。

【例文】

  • 意欲あふれる若手社員たち
  • 仕事に対して、常に意欲的に取り組む

■志

志は、決めた目標やある方向を目指す気持ちのことです。また、信念や心の持ち方を表すときも使用できます。

【例文】

  • 青雲の志をいつまでも抱き続けていきたい
  • リーダーに求められるのは「高い志」です
  • ペンを手に持ちディスプレイの内容を確認しているところ

    言い換え表現をしっかりと学ぼう

意思と意志を用いる四字熟語

意思と意志が含まれる四字熟語を知り、正しく使い分けられるようにしましょう。

意思を用いる四字熟語

意思が使用されている四字熟語は多数あるため、以下では代表的なものをご紹介します。

意思表示

意思表示は、自分の意思を相手に伝えることです。心で思っていることを、相手にわかりやすく伝えるときに使用します。

【例文】

  • 相手に対して契約解除の意思表示をする必要があります

意思疎通

意思疎通とは、コミュニケーションのことです。お互いに考えていることを伝えて、認識を共有し互いの理解を得ることを意味します。

【例文】

  • スタッフ同士の意思疎通を図る

意志を用いる四字熟語

意志堅固や意志薄弱のように、意志という漢字を使用しても正反対の意味になる四字熟語があります。以下にこの2つの四字熟語の意味を紹介します。

意志堅固

目的を果たそうという気持ちが非常に強いことを表します。堅固は「堅くて壊れにくい」という意味から転じて、意志が固くしっかりしていることを表します。

【例文】

  • 意志堅固な彼は、夢をあきらめないだろう

意志薄弱

物事をやり遂げる気持ちが弱く、自分で判断を下すことができないさまを表す言葉です。薄弱には、はっきりしない、あいまい、といった意味があります。

【例文】

  • 意志薄弱な部下をサポートする
  • パソコンの間に書類を置き確認している人の手の部分

    意思と意志の四字熟語を理解しましょう

意思と意志の英語表現

ビジネスシーンでは、意思と意志を英語で伝える場面もあります。意思と意志のそれぞれの英語表現を知り、正しく使えるようにしましょう。

意思の英語表現

意思を表す英語はさまざまです。考えを表す「mind」や心づもりを表す「intention」、さらに望みを表す「wish」のようにさまざまな訳語があります。日本語では同じ意思でも、英語で異なる場合があるので、英語表現について把握しておきましょう。

mind

mind は、思考や意志などの働きをする「心」を身体と区別して表す言葉です。

【例文】

  • She never changes her own mind (彼女は決して自分の意思を曲げません)

intention

intention は、何かをする意思があるという意味だけでなく、努力や精神的緊張を示すときも使われます。

【例文】

  • It was her intention to go abroad (彼女は海外へ行くつもりだった)

意志の英語表現

意志には「will」や「volition」などの単語を使用します。

will

willは「未来」を表しますが、意志という意味にも使われます。その場での決断を表すときに多く使われるでしょう。

【例文】

  • He has an iron will(彼には鉄のように固い意志がある)

volition

volitionは意欲や決意、決断といった意味です。決断力とも訳されます。

【例文】

  • She came of her own volition(彼女は自分の意志で来た)

意思と意志の意味の違いを理解しよう

意思と意志には、それぞれに適切な使い方があります。正しく使い分けることで、相手に正しい意味を伝えられるでしょう。言葉の使い分けをしっかりと把握し、ビジネスシーンに活かしましょう。