――9日の単独ライブ「あたらしいとうきょう」は、初のルミネ単独ライブですね。延期による一年越しの開催ですが、意気込みのほどは?

畠中:去年はようやくルミネで単独ライブができるって矢先に4月に緊急事態宣言で中止になり、この1年間、やりたいと思い続けてきました。元通りの状態ではないなか、お客さんもようやく入れられるようになり、単独で言うと2年間やってないので、その分いいネタ見せたいです。

伊藤:吉本芸人なら関西のNGKで単独ライブをやることがキャリアの第一章じゃないけれど、それが関東であればルミネだと思うんです。だから初の単独ライブのような気持ちです。初ルミネというよりは、初単独の気持ちでやらせてもらう感じです。そして、『M-1』に向けて弾みをつけたい。

畠中:単独って基本的に新ネタライブなので、いいネタをここで出したいんです。新ネタを下ろすライブもあるんですけど、単独の場合は絶対に失敗できない。

伊藤:プレッシャーがね。根本的にいいネタがないと話にならないので、そこは一番力を入れたいと思っています。

畠中:いいネタ作ります!

伊藤:とにかく恥をかきたくない。それは一番強い思いです(笑)

――そもそもなのですが、静の漫才という自覚はあるのですか?

畠中:そうですね。今までの傾向は、ほかの漫才師に比べたらゆったりしているほうなので、カテゴライズするならそうなりますね。でも、静かにやろうと意識していることはない。でも、客観的に見たら、そういうスタイルの漫才を求められているのかなということもわかりました。

――求められているものと、やりたいことは一致していますか?

伊藤:そうですね。無理している瞬間はまったくないです。普段もテンション低い時もあれば、大きい声を出すこともある。

――静か動か、みたいにレッテルを貼られてしまいがちなところもありますよね。

伊藤:でも逆に言うと、何か貼られないと、というところもある。

畠中:自分らでは見えなくなってくるんです。人に言われて、ああ、自分ってそういう人間なのかと、人に言われないと気づかないことってあるじゃないですか。だからお客さんが観たいものを見せられるようにならないといけないと思っています。

――今後も静のスタイルは貫いていかれますか?

伊藤:静か動かは、そこまでこだわらなくてもいいかなと思っています。いろいろなことをやっていていい。僕らの根幹は“ありえない会話”。ほかのコンビがやっても成立しないようなネタをやっていきたい。普通のツッコミだったら「もうええわ」でシャットアウトできることを掘り下げていくという。

畠中:それは僕の提案というか、そういう設定が多いんですよね。否定も、完全否定しないのが僕らの漫才のよさだと思うので。

伊藤:畠中のネタは僕にしか突っ込めないと思う(笑)

畠中:「もうええわ!」で否定されたら、もう先に進めないんですよ。根本の題材を否定されたらそこでもう終わりなんですけど、伊藤のちょっと汲み取ってくれる会話の流れなので、その先に進める。それはオリジナリティーかなと思いますね。

伊藤:地球上にない会話をしていたいなと思っています(笑)

■オズワルド
畠中悠(1987年12月7日生まれ、北海道出身)と伊藤俊介(1989年8月8日生まれ、千葉県出身)による漫才コンビ。2014年、『M-1グランプリ』の決勝出場を目標にコンビを結成する。ネタのスタイルはしゃべくり漫才で、畠中が繰り出す独特の疑問や奇妙なボケに、伊藤が疑問を持ちながらつぶやくようにツッコミを入れていくシュールな世界観は、唯一無二の芸風。『M-1グランプリ』は、2019・2020年と2年連続ファイナリストに。初のルミネtheよしもとでの単独独ライブ「あたらしいとうきょう」が、4月9日に開催される。