舞台『モダンボーイズ』の公開ゲネプロが3日に東京・新国立劇場 中劇場で行われ、加藤シゲアキ、山崎樹範、武田玲奈、横内謙介(作)、一色隆司(演出)が登場した。

  • 加藤シゲアキ

    加藤シゲアキ

同作は1994年に木村拓哉主演で都政施行50周年記念公演として上演された、幻の名作ともいわれる青春群像劇。日中戦争直前、浅草のレビュー小屋を舞台に、プロレタリア革命を志す学生でひょんなことから浅草エフリィという芸名でレビューの人気者となった矢萩奏(加藤)が、小屋の座付き作家であった菊谷栄(山崎)と出会ったことにより、生きる居場所を見つけ、自分にしかできない革命を見出していく。

横内は「27年前に作った台本で、良いブラッシュアップの機会をいただいたなと考えています 」と感謝し、台本は大改訂になったという。続けて「途中で加藤シゲアキさんがご出演なさるような情報が入り、『加藤さんがやるんだったら(作家の)菊谷栄役の方がいいんじゃない?』という忖度もしたんです」と明かし、「どちらでもいけるようにプランを立てていたら、『いや、木村拓哉先輩がやったことを継承したい。あわよくば木村超えを狙いたい』と」と加藤の言葉のように紹介すると、加藤は「そんなこと言ってませんよ!!」と大慌て。横内は改めて「スペシャルな1本を作りたいなと。劇作品としてのブラッシュアップと、今回出てくださってる皆さんがとても大人なので、大人のドラマにしたい」と意図を説明した。

演出の一色は加藤について「歌手もやり作家もやり、今回役者としてやってくださってますけど、稽古を見てても、時間さえあればあと2つか3つ出来るくらいのエネルギーとバイタリティを持ってる人で、そのエネルギー全てを役に注力してくれた時に、舞台上でマジカルなことが起こると確信しています」と絶賛する。主演の加藤は「この物語は昭和の初期、演劇を上演することもままならない時代の物語でして、そこをどうやってブレイクスルーして作品を作っていくかという物語なんですけど、今の時代とも実はシンクロする所もあるのではないかと思います」と作品について表した。

27年前に先輩である木村が演じたということについて、加藤は「そこはあんまり言わないでほしいなと思います」と苦笑。「最初にお話をいただいた時に聞きまして、正直な所恐れ多いと思ったんですが、僕がジャニーズ事務所に入るきっかけになった先輩の1人でもありますし、憧れていた先輩と同じ役を演じることはもうこの先ないのかな、僕じゃない誰かが演じてた時にきっと嫉妬してしまう、と最初に思ったので、『ぜひ、やらせてください』と」と決意の裏側にある気持ちを吐露する。「作家ということもあって菊谷役の方がいいんじゃないかという話もあったんですけど、『ここはどうか作家ではなく、いち役者としてチャレンジさせてほしい』というお願いをさせていただきました」と、作家としても活躍する加藤ならではの願いだったようだ。

同作の主演を務めることは木村にも伝え「情報解禁でお耳になさるのも失礼かと思いまして、1月くらいに映画のリハーサルをされてるところにお時間いただき、挨拶させていただきました。知らないと思ったので、『演じさせてもらいます』と言うつもりで行ったんですが、僕を見た瞬間に『あ、やるんでしょ、モダンボーイズ』という話になりまして」と振り返る。「すごく緊張したので、ギチギチの台本を作って、お仕事の合間ですし完結にお伝えして帰ろうと思ったら、『やるんでしょ』と言われた瞬間に台本が総崩れしまして、『あ、はい、はい』みたいに……」と、先輩の神対応に大慌てだったやりとりを再現。「平田(満)さんが菊谷役をやられてたので、平田さん経由で聞いたらしいですけど。すごくあたたかく応援してくださって、最後には『がんばってくれ、体には気をつけて』という言葉をいただきました」と喜んでいた。

周囲から「木村拓哉超え」といじられると、加藤は「言いません!」と否定。「映像資料を見たんですが、当時の木村さんは21歳で演じられていて、とてもすばらしくて。もし先に見たら断ったかもしれないくらい完成されていたので、正直言って超えるということは不可能だなと思いました。別の新しい人物を演じるつもりでこの役に臨まなければきっとこの舞台は成功しないと思って、稽古場では先輩のことは1度片隅に置かせていただいて、自分なりに取り組ませていただきました」と語ると、一色が横からぼそっと「でも超えてます」と茶々を入れ、加藤は「やめてください! 怖い!」と抗議する。山崎も「今のは良くないですよ」とつっこみ、加藤は「本当に緊張するんですから」とお腹を撫でる。さらに、木村が観に来てくれるかという問いについては、「知らないけど、いらっしゃる場合は僕に言わずにいらっしゃってほしい」と希望していた。

東京公演は4月3日~16日に新国立劇場 中劇場、大阪公演は4月28日~30日にCOOL JAPAN OSAKA WWホール。