女優の池田エライザが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、21日に放送される『ふたりの1年生 ~新米先生と海の向こうから来た女の子~』。教師1年目の担任と中国からやって来た少女との心の交流を描いた作品だ。

中国からやってきた留学生・ナイヒちゃん(7歳)は、日本語が分からないことから、コミュニケーションが取れないために、入学から半年が過ぎても友達ができず、クラスの中で孤立していた。そんな彼女に、池田は自身の幼少期を重ねながら、大人になって気付かされたことがあるという。今回、初めて挑んだナレーション収録後に話を聞いた――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った池田エライザ

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った池田エライザ

■最適な言葉が分からず「ウジウジしていた」

ナイヒちゃんがコミュニケーションに苦しむ姿を見て、「私自身も子供のとき、友達とフランクに仲良くなれない自分がいたんです」という池田。「ハーフだからということとは違くて、自分の中でコミュニケーションを重く捉えてしまって、その場で最適な言葉がいつも分からなくて、ウジウジしちゃっていたんです」と振り返る。

それだけに、「子供のときは、たくさん日本語を覚えて、大人になったらもっともっといろんな言葉を使って気持ちを伝えて、みんなと交流して大切な友達を作りたいなって思っていたんです」と決意したそうだが、実際は「大人になればなるほど“伝わってるはず”だと思ってかまけちゃっているんです」という状況に。

「いろんな情報を入れて視野が狭くなっていくと、子供のときに絶対忘れないと思ってたことが自分から抜けていってしまうような危機感を覚えていた」というが、今回の物語に出会い、「ナイヒちゃんに思い出させてもらいました」と感謝の言葉を口にした。

また、ナイヒちゃんの担任で、彼女のために奮闘する新米教師・橘川(きっかわ)先生(23歳)も今回の主人公の1人だが、コミュニケーションが苦手だった池田にも、親身になってくれる先生がいたという。

「どうしてもコミュニケーションがうまくいかなくて、保健室にいた時があったんです。親に心配かけちゃうから、すぐ教室に戻らなきゃと思うんだけど、気持ちは沈んだまま。そんなときに、教室と保健室をつないでくれる先生がいたんです。おうちと学校では環境が違うし、私もハーフなので幼少のときは文化の違いがかなりあったので、先生はたくさん私に耳を傾けてくれて、私の気持ちを噛み砕いて他の生徒たちに伝えてくれました。私の言い方が“嫌なことは嫌、違うことは違う”とストレートな言葉だったので、『それじゃ間違って伝わっちゃうよ』と教えてくれたりもしましたね。いつも助けてもらっていたので、私もすごく先生に恵まれていました」

  • ナイヒちゃん(左)と橘川先生 (C)フジテレビ

■ナレーション収録中に「頑張れー!」

ナレーションの収録中は、ナイヒちゃんに感情移入して、「ちょっと待ってください…」と詰まってしまう場面が何度もあった。

「コミュニケーションができないということだけじゃなくて、目いっぱい愛されたい、愛情がほしいときに手に入らない寂しさって、みんな子供のときに感じたことがあると思うんですけど、それを(仕事の事情で母親に会えない)ナイヒちゃんがいっぱい背負っている気がして、胸がギュッとなったんです。お母さんに『もっとそばにいてあげたらいいのに』とは簡単に言えるけど、お母さんもナイヒちゃんの将来を思っているわけだから、『今、本当につらいだろうな』『苦しいだろうな』と思いながら、ナイヒちゃんの未来が良い方向に向かっていくといいなと、祈るような気持ちになりました」

原稿を読む間には、思わずナイヒちゃんに「頑張れー!」と声をかけたり、「すごいなあ、偉いなあ」と感心する声が漏れ、様々な感情がこみ上げていたことが伺えた。

「『頑張れ頑張れ』って思ったんですけど、ナイヒちゃんは十分頑張ってるんですよね。でも、彼女に自分がどの段階まで頑張れているのか分からない中で声をかけてあげることがすごく大切だなと思って。だから『頑張れ』と言いつつ、『偉いなあ』という気持ちになったんだと思います」

  • (C)フジテレビ

改めて見どころを聞くと、「今の風潮として、他人のご家庭に対する見方が、ちょっとずつ厳しくなりすぎている気がするんです。いろんな家庭があって、いろんな人生があるのに対して、いろいろ言いたくなることは分かるんですけど、中国と日本の問題とか、外国人が増えてどうだとか、そういうところではなく、ナイヒちゃんと新米先生の心のやり取りというところにフォーカスを当てて見てもらえたら、ご自身の心を整える時間になって、すてきな回だと思います」と呼びかけた。