「あたたかい」という言葉は、「暖かい季節」や「温かいスープ」など2通りの使い方があります。しかし、それぞれが持つ意味や使うべきシーンなど、明確な違いを理解して使えている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、「暖かい」と「温かい」の意味の違いや使い分け、英語表現についても解説します。

正しい使い方を知り、ビジネスシーンに活かしましょう。

  • 「暖かい」と「温かい」の違い

    「暖かい」と「温かい」を正しく使い分けましょう

暖かいと温かいの言葉の違い

暖かいとは、「体全体で感じるあたたかさ」という意味の言葉です。一方、温かいとは、「部分的に感じるあたたかさ」や「心で感じるあたたかさ」という意味の言葉であり、両者は「あたたかさを感じる部分」と対義語の違いで使い分けができます。

暖かいは「暖かい朝」「暖かい室内」など、気候や気温など「寒い」の対義語に使用しますが、温かいは、「温かい食べ物」「温かい人柄」など体の一部で触れる物や「冷たい」の対義語に使用します。

では、具体的にそれぞれの意味を見ていきましょう。

暖かいの意味

暖かいとは、「暑すぎず寒すぎずちょうどよい気温」「金銭的に余裕があること」「柔らかい色感」を意味します。

体全体で感じる事柄や自然現象に関する表現の中で使われ、「暖かいコート」「暖かい天気」「日光を浴びて暖かい」といった使い方をします。

使い方を間違えやすい表現が「金銭」に関することではないでしょうか。例えば、「懐があたたかい」と表現するときは、「暖かい」が正解です。これは、対義語の「寒い」を当てはめてみるとわかりますが、「懐が冷たい」とは言いません。

「暖かい」「温かい」の使い方に迷った際には、対義語として「寒い」「冷たい」のどちらが妥当かを考えるとよいです。

温かいの意味

温かいとは、「物が熱すぎず冷たすぎないちょうどよい状態」「心が優しく思いやりの気持ちがあること」を意味します。

「温かい鍋」「温かいうどん」「温かい飲み物」「温かい海」など口にする物や触れる物に対して使用し、「冷たい」の対義語と考えれば区別が可能です。

ただ、組み合わせる言葉によっては「温かい」「暖かい」のどちらも使える場合があります。例えば、「暖かい風呂場」は浴室全体が寒くないことを表し、「温かい風呂」は浴槽の水が冷たくないことを表します。

また、特に覚えておきたいのが「思いやり」の意味です。拍手や声援、励ましなど心のあたたかさや心遣いを感じる場面では、「温かい」を使います。

  • 「暖かい」と「温かい」の違い

    「暖かい」と「温かい」の違いを理解しましょう

暖かいと温かいの使い方・例文

例文を知ることで使い分けを理解しやすくなり、豊かな表現が可能となります。

以下のような場合は「暖かい、温かい」のどちらが正しいでしょうか。これまで述べてきた使い分けを元に考えてみましょう。

  • このイラストの色使いはとてもあたたかみがあるね。
  • 部屋をあたたかくしよう。

前者の正解は「温かみ」、後者の正解は「暖かく」です。

暖かいの例文

「気候」「服」「懐」「部屋」を使った「暖かい」の例文を紹介します。

特に「服」については使用場面で使い方が異なる場合もありますので注意が必要です。実際に使われる場面を想定しながら考えてみましょう。

暖かい気候

「暖かい」を「気候」に対して使用するとき、過ごしやすい気候や心地よい日差しが差す天気を表現します。

<使用例>

  • 暖かい気候になり、外で過ごしやすくなってきました。
  • オリーブは、イタリアやギリシャのような暖かい気候の地域で生産されます。
  • ここは年間を通して暖かい気候が特徴で、リゾート地として有名です。

暖かい服

洋服は体全体であたたかさを感じるため、通常は「暖かい」を使いますが、その洋服の色に対して「あたたかみのある色」と表現する場合は「温かみ」を使うので注意しましょう。

<使用例>

  • 外は冷たい風が吹きつけるようになり、そろそろ暖かい服の出番がやってきた。
  • 来週はキャンプにいくので、寒い夜にも耐えられるような暖かい服を探しています。
  • 院内では定期的に換気を実施していますので、暖かい服でお越しください。

懐が暖かい

「暖かい」は金銭が十分にある状態も表し、「懐が暖かい」という慣用句で使われます。

<使用例>

  • 今月は懐が暖かいから、奮発してイタリア料理のレストランに行こう。
  • 今日は給料日なので、懐が暖かい。

部屋が暖かい

部屋も体全体であたたかさを感じ、かつ反対の状況は「部屋が寒い」といえるので、「部屋が暖かい」が適切です。

<使用例>

  • 暖房を常につけているので、部屋が暖かい。
  • 寒い中仕事で外回りをしている旦那がもうすぐ帰ってくるので、部屋を暖めておこう。

温かいの例文

続いて「言葉」「空気」「笑顔」「飲み物」「心」を使った「温かい」の例文をご紹介します。

心情を表す使い方が特に迷いやすい表現の1つなので、例文でイメージしながら理解しましょう。

温かい言葉

言葉に対して「温かい」を使うとき、そこには心のこもった穏やかで優しい言葉という意味が込められています。

<使用例>

  • 彼がくれた温かい言葉は、私の沈んだ心を癒やしてくれました。
  • 本当に辛かったときに、温かい言葉をかけてくれた上司に感謝したい。
  • 温かい言葉で埋め尽くされた色紙を見て、涙が止まらなくなった。

温かい笑顔

「温かい笑顔」という表現には、穏やかで優しい表情という意味が含まれており、「温かい」の持つ思いやりや優しさの意が反映されています。

<使用例>

  • 彼女は振り返って、私に温かい笑顔を向けてくれた。
  • 旅館の女将さんは、温かい笑顔でもてなしてくれました。
  • 温かい笑顔に見守られながら、私達は結婚しました。

温かい飲み物

「温かいスープ」は、熱すぎず冷たすぎないちょうどいい温度で、飲みやすい状態を表現しています。

<使用例>

  • 寒い日に温かい飲み物を飲むと、体の芯まで温まる。
  • 温かい飲み物と冷たい飲み物の好きな方を選択できます。

温かい心

心情を表すときは、「温かい」を使用します。

<使用例>

  • 常に温かい心で、人に接するようにしなさい。
  • 彼女は温かい心の持ち主だ。
  • 「暖かい」と「温かい」の違い

    「暖かい」と「温かい」の例文を知り、使い分けを理解しましょう

暖かいと温かいの英語表現

英語の「暖かい」「温かい」に当たる表現としてwarm、hot、mildがあります。

これらは日本語と違って気候や心情ではなく、程度や微妙なニュアンスの違いによって使い分けます。具体的にその違いと例文を見ていきましょう。

warm

warmは、「天候・着る物・色調が暖かいこと」「食べ物が温かいこと」「心が穏やかで人なつっこいこと」等の意味で、hotと異なり「ちょうどよく心地よい」というニュアンスが含まれます。

<使用例>

  • Keep yourself warm when you go outside.
    外に出るときは、体を温めておきましょう。
  • This jacket looks nice and warm.
    このジャケットは、暖かくて良さそうです。
  • I'd like to keep our warm relationship.
    これからも温かいお付き合いをしていきたいです。

hot

hotは、「天候が暑い状態」「物・料理が熱い状態」「食べ物が辛いこと」「新しくて人気があること」「感情の高ぶり」等を表します。

<使用例>

  • We have over 15 recipe ideas for hot summer days.
    暑い夏の日にぴったりのレシピアイデアが15種類以上あります。
  • Let's enjoy listening to this week's hot tracks.
    今週の注目曲を楽しく聴きましょう。
  • My boss has a hot temper.
    私の上司は熱い気性の持ち主です。

mild

mildは、「性格が穏やかであること」「気候が温暖で穏やかな状態」「食べ物の味が濃すぎず口当たりがいいこと」等の意味があり、類語のwarmと比べて「穏やかさ」が強調されます。

<使用例>

  • I have a mild headache.
    軽い頭痛がします。
  • The weather is mild today.
    今日は穏やかな天気です。
  • You can learn how to make mild curry for beginners in this video.
    初心者向けの辛みが少ないカレーの作り方を動画で紹介しています。
  • 「暖かい」と「温かい」の違い

    「暖かい」と「温かい」の英語表現を知りましょう

暖かいと温かいの意味の違いや使い分け方を理解しよう

「暖かい」と「温かい」の意味の違いや使い分けについてご紹介しました。英語の表現と比べると、日本語の「あたたかい」は空間、自然の事象、心といった私たちの暮らしを取り巻く物で使い分けをしていることがわかります。

言葉が本来持つ意味を知り、ビジネスシーンで役立てましょう。