2019年の『M-1グランプリ』にアマチュアとして唯一準決勝まで進出し、昨年一気にブレイクを果たしたお笑いコンビのラランド。ボケのサーヤは会社員と、ツッコミのニシダは大学生(現在は中退)との“二足のわらじ”でフリーランスとして活動してきたが、このたび個人事務所「レモンジャム」を設立し、新たなステージに進むことになった。

この発表と同時に明かされたのが、“大阪進出”。東京の全国区で順風満帆に活動を送っているように見える2人だが、その裏側では芸人としての葛藤を抱えていたという――。

  • ラランドのサーヤ(左)とニシダ

    ラランドのサーヤ(左)とニシダ

■大阪で単独ライブ隔月開催、メディアも積極出演へ

このスピードでここまで売れるとは「想像がついてなかったですね」というニシダ。サーヤは「2019年の『M-1』の予選の時期とか、本当にちょこちょこお仕事頂けるようになったのが、まず夢みたいな状況だったんですよ。その後に、敗者復活で初めて地上波に出てから、適当に作ったGmailのアドレスにオファーがバンバン入ってくるようになって、本当に環境が180度変わりました」と転機を振り返る。

そこから、一気に仕事のオファーが舞い込んできたが、そんな矢先にやってきたのがコロナ禍。各局でテレビ番組の収録が激減したが、ラランドはギリギリで滑り込むことができた。

「テレビの活動も制限されるのかなと思ったんですけど、意外といろいろ呼んでいただけてありがたかったです」(ニシダ)

「もしコロナ直前にテレビに呼んでもらってなかったら、今何もしてない可能性もあったなと思いますね」(サーヤ)

こうして売れっ子芸人の仲間入りを果たしたものの、テレビに出れば出るほど、不安を感じるようになった。

「大学1年のときからずっとサークルでお笑いをやって、自分たちのやりたいコントや漫才をやってきたのに、テレビに出ていると“二足のわらじ”とか“OL芸人”みたいなタレントの“側”の部分ばかりを出して、ずっと “自分じゃない”みたいな感じになっていることに突っかかりがあったんです。このまま行っても浅いタレントとして自分が活動していくのが見えたんですよね」(サーヤ)

この現状から「舵を切りたい」という思いを抱えた結果、今回打ち出したのが“大阪進出”という決断。引き続き、東京の全国区で活動していくのに加え、大阪での単独ライブを隔月で定期開催し、関西のメディアにも積極的に出演する意向だ。

■「ちゃんとお笑いの実力を磨きたい」

大阪での舞台経験は、現在ほどテレビに出ていない昨年2月に1回だけあったというが、「ファンの方がいっぱい来てくれて、温かかったんですよ」(サーヤ)、「関西にも見てくれる人がいてくれるんだなと、気づけました」(ニシダ)と、手応えを感じた2人。

「東京では“タレント”みたいな立ち居振る舞いをしなきゃいけない場面が多かったんですけど、トークバラエティ番組では関西のほうがイジって掘り下げてくれるし、ペラ1の台本で『こういう感じでやってくださいね~』とか『最初からボケちゃって大丈夫です~』って任せてくれるんで、そういう環境がキラキラして見えました」(サーヤ)

そうした居心地の良さを感じた面もあるが、あくまで意識は“修業”。「お笑い以外のことをすると目立つような場所に、1回身を置きたいなと思っていたんです。大阪で『ロケが面白いね』とか『トークが面白いね』と評判になるところから仕事が増えていくようになって、いろいろ場を踏んで、ちゃんとお笑いの実力を磨きたいなと思います」(サーヤ)