アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキが、著書『オルタネート』(新潮社)で「第42回吉川英治文学新人賞」を受賞した。2日、都内で行われた記者会見に出席し、喜び語った。

  • 加藤シゲアキ

「第42回吉川英治文学新人賞」は、毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等で優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈呈される賞。今年は加藤の『オルタネート』と武田綾乃の『愛されなくても別に』(講談社)に決定した。

加藤は「率直に驚いています。だんだんと実感がわいてきて、うれしいのかなと思っています」と心境を告白。選考委員から「喜べ」と言われたことを明かし、「頑張って喜ぼうかなと思っています」と笑顔を見せた。

「僕はジャニーズ事務所のタレントという立場で、小説を書いたときもそういった話題で書かせていただいたのかなと思っております。それはすごく光栄なことだったんですけど、コンプレックスなところもあって、横入りしたような感覚があった」と打ち明け、「しかしながら出版社や作家の方が温かく歓迎してくださったこともすごく感謝していたので今回、吉川英治文学新人賞をいただいたことで少しは恩返しができたかなと思っていますし、ここがスタートかなと思っています」と語った。

また、「『ピンクとグレー』というデビュー作を出版したのが2012年だったんですけど、執筆時は10年前。振り返ってみれば長い作家生活だなと思うんですけど、10年間やめずに続けてきた結果、今に結びついているんだなと思うと、10年前の自分を少し褒めてあげたいという思いもあります」とも話した。

『オルタネート』は、高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代が舞台に、SNSの存在に翻弄されていく若者たちの姿を、繊細かつエモーショナルな筆致で表現した作品。加藤にとって3年ぶりの新作長編で、「第164回直木賞」、「2021年本屋大賞」にもノミネートされた。