俳優の吉沢亮が主演を務める大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)が、いよいよ14日にスタートする。若き心で挑戦を続けた日本資本主義の父・渋沢栄一を演じる吉沢にインタビューし、渋沢栄一をどのような人物と捉え、どのように演じているのか、話を聞いた。

大河ドラマ『青天を衝け』で主人公・渋沢栄一を演じる吉沢亮

大河ドラマ第60作となる本作は、新一万円札の顔としても注目される渋沢栄一の生涯を描く物語。幕末から明治へ、時代の大渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも、青天を衝くかのように未来を切り開き、約500の企業を育て約600の社会公共事業に関わった“日本資本主義の父”で、晩年は民間外交にも力を注ぎ、ノーベル平和賞の候補に2度選ばれている。

幕末から明治、大正、昭和を生き抜いた渋沢栄一。吉沢は「幕末から明治に変わる瞬間は、ものすごい価値観の変化だと思います。それを素直に受け入れられるかというと難しい部分はたくさんあると思いますが、渋沢さんはパリで日本と全く違う文化を目の当たりにして、それをいち早く日本に取り入れようとした人物。誰よりも早く髷を切って洋風の髪型にするし、そういう柔軟さというか、正しいものをちゃんと正しいと言える強さは、こだわって演じたいと思います」と意気込む。

そして、栄一について「俯瞰で見ているところがある」と言い、「自ら腹を切ったほうが勇ましいという時代に、自ら命を絶っても世のためにはなっていないという冷静な目で見ている。そういった命の価値観などが、現代の人の考え方に近いなと感じます。そういう部分が当時としては珍しいと思うし、だからこそ生き延びた人なのだと思います」と語る。

また、「表裏のない人」という印象を受けているそうで、「前半は特に、感情がそのまま顔ににじみ出るし、言葉になるし、自分の思っていることを押し殺して何かをしゃべるということをしない男だなと。感情がそのままセリフになっている」と説明。

「岡部の陣屋に行ってお代官様と対面するシーンも、自分より立場の高い相手だから、本来であれば言っていることが間違っていると思っても押し殺さないといけないけれど、彼は立場関係なく、間違っていることは間違っていると素直に言葉にしてしまう。裏表がないというか、立場を抜きにして、ちゃんと人を見ている男だなと感じました」と、栄一の人柄が伝わるシーンを紹介した。

生命力も栄一の魅力だという。「渋沢さんは生き延びた人物。今までの大河ドラマで描かれていた人物とは違い、死ぬ瞬間の儚さなど、派手な部分は少ないですが、泥臭くても最後まで生き抜く強さのような生命力が渋沢さんの魅力だと思います。そこは特に今の時代の人たちに見ていただきたいですし、そういう部分をちゃんと伝えられる大河になればいいなと思っています」と力を込めた。