大河ドラマ主演決定から約1年半。「いろんな本を読んで渋沢さんについて調べたり、そろばんや剣術の練習をしたり、演じる上で必要なことはいろいろやってきた」という吉沢だが、実際に演じていく中で、渋沢栄一という人物の捉え方が変わった部分もあったと明かす。

「調べているときは、道徳を大事にしていたり、身分制度に憤りを感じ、身分にかかわらず優秀な人間を見抜く目が必要だという思いで生きていく男という印象が強かったのですが、演じてみるとそういう部分から外れる瞬間もあって、それがすごく人間臭くていいなと。キャラクターとしての捉え方ではなく、ちゃんと人としての揺らぎを大切に演じていかなきゃなと改めて思いました」

そして、人間味を大切に演じることを意識。「もちろん彼が残してきた素晴らしい実績を描く部分もたくさんありますが、そこに至るまでの彼の揺らぎや、そこに至ってからも人間なので、“こうでなきゃいけない”というものはないんだろなという気がしていて、自由に演じていきたいなと思います」と語った。

役作りをする上で、埼玉県深谷市の渋沢栄一ゆかりの地も訪問。「地元の方たちの渋沢さんに対する愛はものすごく強いものがあるなと感じましたし、渋沢栄一記念館の隣に、渋沢さんが作った小学校があったり、世界にいろんな影響を与えている中で地元を大切にしていた方という部分もすごく素敵だなと、歩いていて思いました」と栄一の魅力を改めて感じたそうで、「じっくり地元の方のお話を聞くことはできませんでしたが、どこに行っても快く受け入れてくださって、すごく素敵な時間でした」と振り返った。

吉沢は本作が大河ドラマ初出演。「これだけ時間をかけて丁寧に1人の人物の一生を描くというのは大河ドラマの醍醐味だと思うし、これからの役者人生に生きることがたくさんあると感じながらやっています」と、俳優としての成長に期待している。

そして、「必死に撮っている状況なので、もう撮ったものが世に放たれていくのかと思うと不安もありますが、いいものができているという自信はありますので、みなさんの見たあとの感想がすごく気になります」と、手ごたえを語った。

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