公開初日を迎えた映画『すばらしき世界』の初日舞台あいさつが11日、都内で行われ、役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、西川美和監督が出席した。

  • 左から西川美和監督、六角精児、役所広司、仲野太賀、北村有起哉

    左から西川美和監督、六角精児、役所広司、仲野太賀、北村有起哉

『ディア・ドクター』や『永い言い訳』を手掛けた西川美和監督の最新作となる本作は、佐木隆三の小説『身分帳』を原案に13年ぶりに出所して人生をやり直そうとする男の物語。第56回シカゴ国際映画祭で観客賞と最優秀演技賞(役所広司)の2冠を達成するなど、国内外から高い評価を受けている。

公開初日を迎えたこの日は主演の役所広司らキャスト陣と西川監督が登壇して舞台あいさつが行われた。主演の役所は「新型コロナウイルス感染の影響で映画の仕上げ作業が遅れたり公開時期が変わったりしてますが、こうやって皆さんに観ていただけることができます」と公開初日を喜び、初タッグを組んだ西川監督に対して「こんなにたくさんの方々に愛される映画に仕上げていただいて、我々は参加できたことを誇りに思って監督に感謝しています。すでに次回作の構想を練っておられると思いますが、例えお呼びが掛からなくても我々はひがまず応援しています。西川監督は日本映画でなくてはならない才能。これからの作品も楽しみに待っています。頑張ってください」とエールを送った。

一方の西川監督は「自分の映画に主演として出ていただけたことが夢のようだし、役所さんがいらしたことで映画は静かですがとても活性化し、映画を作るってこんなに素晴らしいんだと全員が感じることができました」と感謝し、初めて共演した仲野も「役所さんの目を見ていると目の奥が寂しそうで、自分と役がシンクロしていくのが分かりました。役所さんとご一緒することが最大の目標でしたが、またいつかご一緒することが今最大の目標です。尊敬しています!」と語った。

映画のタイトルにちなみ、登壇者に「自身にとってのすばらしき世界は?」とMCが質問。すると役所が「戦争とか紛争、地球から二酸化炭素、差別や偏見がなくなって世界中の子どもたちが夢を持てる世界が素晴らしいですよね。それとオリンピック。スポーツを通して世界中の人間たちが熱狂している姿を見ると、あー世界って素晴らしいなとつくづく思います」と答え、六角と北村はコロナ禍前の世界と回答。西川監督も「この映画は三密の最たる環境でスタッフが顔と顔を近づけてカメラを取り囲み、俳優部が飛沫を飛ばし合うのが当たり前のように撮っていました。今も色んな映画やドラマの撮影が続いていて、とても色んなことに気を配りながら恐怖感も抱えつつ100%で出来てないんじゃないかと思います。またあの熱気の中で仲間たちと映画を撮ることができたらすばらしい世界かなと思っています」と新型コロナウイルスの収束を願っていた。