「第23回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 新人賞」「第24回手塚治虫文化賞 短編賞」など多数の賞を受賞した和山やま氏による『夢中さ、きみに。』を実写ドラマ化。現在、なにわ男子・大西流星主演でドラマ特区枠(MBS 毎週木曜24:59~ほか)にて放送され、話題を呼んでいる。このたび松本桂子プロデューサーに、実写化を決めた理由やドラマならではの魅力について話を聞いた。

  • 『夢中さ、きみに。』ポスタービジュアル

本作は、ユニーク過ぎる男子高校生・林美良と二階堂明を中心に展開する、男子高校生たちの少し不思議な日常を描く青春群像劇。無駄な行為を楽しんでいるミステリアスな魅力の男子高校生・林役で、大西が初の単独主演を務め、“逆・高校デビュー”を果たした二階堂役を、『仮面ライダーゼロワン』の主人公・飛電或人役で一躍注目を集めた高橋文哉が演じている。

松本氏は「原作を読んだときに、新しい学園ものだなと思いました。従来の学園のキラキラした青春ものではなく、どちらかというと、学校では目立っていない人がフォーカスされ、そこでの人間模様がユニークに描かれています。自分の好きなものを堂々と言えること、そして、独自の世界観を持つことの大切さを、原作からは感じられ、今のリアル中高生世代の子たちに響くのではないかと思いました」とドラマ化を決めた理由を説明。

「社会に入る一歩手前、学生生活での特殊な密室感。この世界で上手く生きられない子だからといって、その世界がすべてだとして、迎合することなく、きちんと自分の世界をもつこと。そこにいる主人公たちにヒーローイズムを感じられ、キラキラと輝く瞬間を切り取れれば、何か世代の子たちに感じられるものができると思いました」と本作への思いを明かした。

原作は、林を中心に描かれた4編と、二階堂の物語4編をあわせた全8編構成となっているが、ドラマ化にあたり、原作では出会わなかったそれぞれの登場人物たちの運命が交差する形で物語を再構成した。

松本氏は、ドラマオリジナルの魅力について「林と二階堂を中心とした、彼らに関わる子たちの群像劇になっています。こだわった点としては、世界は別の2つの群像劇が同軸上で起きていること。監督の発案ですが、キーとなるすべてのキャラクターが1つの交差点で、交錯するシーンを作りました」と明かし、「キャッチコピーである『気になる君は、うしろの席に。』といった、それぞれ変わった個性をもつ気になるあいつは、一つの同じ世界観に存在するということが表現できたと思います」と自信をのぞかせる。

また、林役の大西と二階堂役の高橋の起用について「物語は、林編、二階堂編と2つの世界で展開していきます。原作では、それぞれ独立した世界の主人公である林と二階堂は、全く違う魅力を持ちつつ、一方で、全体のテーマである『気になる君は、うしろの席に』を体現する2人。つまり“本人が意識せずとも自然と発せられる独特の吸引力”がある存在を起用したいと、林役と二階堂役を考えるときに強く意識しました」と説明。

「大西さんと高橋さんは、それぞれ林と二階堂にぴったりと当てはまる魅力があるとともに、共通して“そこにいる自然さが人を引き付ける”という力を持っている方です。そのため、お二人に林役、二階堂役を演じていただければ、それぞれのストーリーが面白くなることはもちろん、自然と『夢中さ、きみに。』の空気感で全体を染められると思いました」と2人の魅力を熱弁した。

そして、「監督、脚本家、キャスト、スタッフ共に、原作の和山さんの素敵な世界観を丁寧にドラマ版として再構築しました。脚本家の喜安(浩平)さんが立体的な群像劇に仕上げてくれ、塚原(あゆ子)監督による、自然な生っぽい演技が素敵に切り取られています。キャストの方々も、才能あふれる瑞々しい魅力をもつ方々ばかりです。変わった世界観の青春をクスっと笑いながら、学生生活を送っている世代、過ぎ去ってしまった世代、いろいろな方々に見ていただけたらと思います」と視聴者にメッセージを送った。

(C)MBS