雪がしんしんと降り続ける今日この頃。身も心も温まりたいというあなたへ、おススメしたい投稿があります。

  • ※画像はイメージ

それが、ぽんたさん(@Pontamama12345)がツイッターに投稿したこちらのツイートです。ちょっと長いのですが、ぜひ、珈琲でも飲みながらご覧ください。

横殴りに雪が叩きつけてくる吹雪の日には思い出す。
私がまだ「お嬢さん」と呼んで頂けていた年齢の、携帯電話が世の中にまだ無い頃。
買い出しに行ったデパート前で待ち合わせているが、家族は来ない。
待てど暮らせど、来ない。
吹雪の中震えながら立っている私に
デパート横の珈琲店のマスターが
「お嬢さん、もう長い時間待ってるみたいだけど大丈夫?良かったらお入り。寒いでしょ?」と声を掛けてくれた。
そりゃもう、寒くて。身体の芯まで凍えていたから
「注文しなくていいから、とにかく入って温まったら?」の有り難いお言葉を拒むなんて出来なくて。
お客さん居ないからそこ座って、
と言われるままカウンター席に座り、暖かくて人心地がして、ほっとした。
「珈琲飲める?まだ飲んだこと無いか」
秘境育ちの私にとって珈琲とは
砂糖ミルクを入れたインスタントか、コーヒー牛乳のことだった。
「本物は飲んだこと無いです」
「飲んでみる?」
「お金を持っていないので…」
「そんなのいいよ。こんなに寒くちゃお客さん来ないし。珈琲の淹れ方を教えるから、覚えて帰ってよ。待ち合わせの人が来たらすぐ分かるようにドアは開けておくから」
マスターは私の目の前で
ドリップのやり方を見せてくれた。
まず蒸らすこと。
細かい泡が出るようにお湯を注ぐこと。
目の前で落ちていく珈琲の色のなんと深いこと。
角度によって光り方が違い、こんなに綺麗なものなのかと感動した。
「飲んでみて。人生初のドリップ珈琲。まずは砂糖もミルクも入れないで」
恐る恐る口にした、何も入っていない珈琲。
「…甘い!…えっ?美味しい!」
「美味しいでしょ。それが本当の珈琲の味なんだよ」
それまで飲んでいたインスタントコーヒーは どれだけ砂糖やミルクを入れても苦い、としか感じなかったのに。
何だこれ~!全く別の飲み物じゃないの!
凍えきっていた手も温かいカップで温まり
頂いた珈琲は美味しくて
夢のような時間だった。
「美味しいんだよね、これ。ブルーマウンテンっていう種類」
当時のお金で1杯600円…ひえ~っ
「そんな高価なもの…!家族が来たらお支払いします」
「いいの。僕が淹れたかったんだから。お客さん来ないから暇でさ。それに、珈琲好きな人を増やすのが楽しいんだよ」
こんな出会いをしたら
珈琲好きになりますとも!
渋滞に巻き込まれ予定より1時間以上遅れて到着した母は
「ぽんたは生真面目だから今頃吹雪の中雪ダルマになっているんじゃないかと心配していた」と言い、
父は「どこかで何とか凌いでいるだろうと思っていた」と言った。
凌いでました。素敵な出会いがあったよ。
遅れてきてくれてありがとう。
ふるさとはお茶どころなので
飲み物と言えば、お茶。
小学校には学校専用の茶畑があり
「茶摘み集会」があった。
全校児童が飲むお茶を自分達で摘む。
蛇口をひねればお茶が出てくるので水筒は持参したことが無い。
そんな、細胞の1つ1つに日本茶が染み込んだような私が
今ではすっかり珈琲党なのだから
「出会い」って凄いなあと思う。
(@Pontamama12345より引用)

小説のような、素晴らしい描写ですね。当時の光景が目の前に浮かび上がってくるかのようです。この投稿に、「ええ話やなぁ」「マスターの人の良さが滲みすぎてて泣きそう」「思わずうるっ、ときました」「心が温まりました」「素敵なお話しありがとうございました」といった声が続出。また、このお話を読んでいたら「本物のコーヒーが飲みたくなりました!」「ちょっと珈琲淹れてきます」「今日も珈琲飲もう♪」という人も……。多くの人が幸せな気分になったようです。

ぽんたさんによると、これは30~40年前の出来事とのこと。古きよき昭和の時代が感じられる、素敵なエピソードですね。

読者からは、「その後のマスターとの再会はあったのでしょうか?」という質問もありました。ぽんたさんによると、このあと進学の為に引っ越してしまい、4年が経ってしまったのだとか。ご自身の車で伺った時には、再開発の為に移転された後だったそうで、「更地になっていたのを見た時は悲しかったですね… 再会出来ていないから余計に忘れられません…」とのこと。

そんなぽんたさんに、「探偵ナイトスクープに依頼されては?」「マスターと再会できるといいですね〜!」という人もいましたが、「いえいえ。マスターも今は80~90歳くらいになってらっしゃるはず。思い出の中のダンディーなマスターのままで充分なんです」と話していました。

誰かに親切にしてもらった記憶って、何年経っても色褪せることなく、思い出すたびに温かい気持ちになりますね。