『仮面ライダーゼロワン』で主人公・飛電或人(仮面ライダーゼロワン)を演じ、『先生を消す方程式。』では狂気に満ちた生徒役を熱演した俳優の高橋文哉(19)。ヒーローから悪役への振り幅で視聴者を驚かせ、演技力に称賛の声が上がった。昨年12月18日には『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』も公開を迎え再び盛り上がりを見せているが、高橋にインタビューし、自身にとって大きな転機になったであろう2020年を振り返って、それぞれの現場で学んだことや高橋流の役作りについて話を聞いた。

  • 高橋文哉 撮影:蔦野裕

高橋は2019年9月から1年間放送された『仮面ライダーゼロワン』で令和初の仮面ライダーの座を射止め、幅広い世代から愛される存在となった。

「仮面ライダー」シリーズは、佐藤健、菅田将暉、竹内涼真ら人気俳優を輩出している若手俳優の登竜門。1年間という長期にわたる放送は貴重で、また、イベントやインタビューなどの機会も多く、1人の俳優として成長することができ、その後の活躍につながっていると言われている。

高橋も、『仮面ライダー』で大きく成長。「アクションもあり、ドラマも映画も撮る。取材もしていただいて、イベントもあり、1から100まで全部教えてもらい、それを生かすのが自分という場所。仮面ライダーをやる前の僕からは想像できないくらい、自分の考えをちゃんと話せたり、自分の思うようにお芝居ができたり、お芝居をこうしたいという意見を持てたり、すべて仮面ライダーのおかげです」と自身の変化を明かす。

そして、「1年間同じ役を演じるからというだけでなく、『仮面ライダー』という歴史ある作品で責任を持ってやっていたから、今があると思っています」と続け、「仮面ライダー俳優として名だたる先輩たちに並べたのもうれしいですし、1から役者を作っていただいたので感謝しています」と語った。

『ゼロワン』出演によって自分の考えをしっかり話せるようになったとのことだが、実際、インタビューでやりとりしていても、こちらの質問の狙いを瞬時に理解して興味深いエピソードを語り、頭の回転の速さやトーク力に感心してしまう。動画用のコメントをお願いしても、サービス精神たっぷりにカメラに向かってメッセージを送る姿に人柄の良さやプロ意識の高さを感じた。

撮影の合間もお茶目な振る舞いでその場の空気を盛り上げるなど或人と重なる部分を感じたが、その陽気さは或人からの影響もあるという。「毎回、役から何かしら教えていただいている。或人だったら、ギャグを言うことによってその場を和ませるといった気遣いを。『先生を消す方程式。』の刀矢だったら、すごく周りを見るタイプの人間なので、自分も周りを見てみたり。僕は日常から役を作るのですが、役のキャラがクセになったりします」