――映画での滅の描かれ方についてはどう思われましたか。
すごくヒーローしてるなって思いました(笑)。みんなに対しての振る舞いも変わっていましたよね。でも、イズに関しては、滅は彼女を破壊してしまったことを覚えていて気にしているんです。杉原監督とお話しして、そこは表情でしっかり表現していこうと確認して芝居をしていました。
――最終回から映画への期間、滅は何をしていたと想像されましたか?
「悪意を見張り続ける」と言っていたので、きっと滅はいろんな人たちの手助けをしていたんじゃないかと。想像ですけれど、怪人を倒すとかではなく、いろんな悪を見張り続けていたんじゃないかと思いました。酔っ払いに絡まれている人を助けたりしていたのかな、とか。その流れがあって劇場版の滅につながったんじゃないかなって。だからテレビシリーズと劇場版の滅は印象がだいぶ変わっているんじゃないかと思います。最終回で或人が滅のことを許してくれて、滅自身が変わろうと思ったからこそ、成長速度の速さとともに、心も大きく変化していたんじゃないでしょうか。
――最終話での或人との息詰まる戦いのシーンの撮影は大変だったのではないでしょうか。
いやあ……印象に残っていますね。あんなに芝居に"入る"経験をしたことが今までありませんでしたから。滅はあの時、自分に心が生まれているのを知ってワケがわからなくなって、そのどうしようもなさが、或人を殴ってしまうという行為にも表れていました。振り返ってみても、これまで自分が演技をしてきた中でも初めて"あのモード"になれたと感じています。これからの役者人生でも、またあのモードになりたい。あんな気持ちになった最初の撮影だったので、思い出深いですね。
――映画の撮影では、杉原監督とどんなお話がありましたか。
実は、映画の撮影が始まった時、滅の演じ方で悩んでいたんです。監督の前で演技をした時も、「滅、また目が怖くなってるぞ!」って指摘がありました。撮影に入る前にいろいろ考えてはいたんですけれど、どうしても滅になってしまうと目つきが悪くなってしまうみたいで……。
――テレビ最終話でモードに突入したと思いきや、映画の撮影で滅の演技に悩んだのはどうしてなのでしょう。
確かに、そうですよね。映画では滅を作りこんでいったんです。最終話で大きかったのは、文哉くんとの相乗効果があったんだと思います。文哉くんがすごい演技をしてくれたので、自分も熱い気持ちになってワケがわからなくなって、一緒にワケがわからなくなりながら演技していたので。劇場版は誰かと対話するというよりも、一人で動くことが多く、相手に一方的に何かを言い放つシチュエーションだったので、最終話とは少し違う感じでした。最終話のあのシーンは本当に楽しかった。だからすごく記憶に残っています。
――あの激しいシーンが楽しい、というのは独特の感覚なのかもしれませね。
そうですね。俳優ならではの感覚なのかもしれません。アドレナリンがドバドバ出てくるみたいな。
――反響も大きかったのではないですか?
最終話で自分がメインになることに不安もありました。自分でいいのかなって。でも、キャストやスタッフからも「よかったよ」という声が聞けて、視聴者の方からも「泣いた」という反響をいただけたのでうれしかったですね。
――そんな滅が劇場版では……というところが最大の見どころですよね。
そうなんですよ。特別映像でも公開されていますが、映画では仮面ライダーが5人で同時変身するシーンがあるんです。そのとき、滅が真ん中で変身しているんですけれど、なぜ滅があの位置なのか。その理由が、同時変身の時の滅のセリフに込められているような気がするんです。ぜひ注意深く聞いてほしいです。滅が言うからこそ、すごく意味があるんですよね。
――砂川さんの映画おススメのシーンは?
終盤に向けての、伊藤英明さん演じるエスのシーンが好きなんです。自分はそこで泣きました。あと或人のゼロワン ヘルライジングホッパーへの変身のアフレコには鳥肌が立ちました。ゼロワンを演じるスーツアクターの縄田さんの演技もすごいので、ぜひ見ていただきたいですね。
――ファイナルステージでは久々にファンの方たちの前に立つ機会となりました。
こんなに滅が愛してもらえたんだなと思ってうれしかったですね。最後のほうに少し泣いてしまったんですけど、それは今後、滅としてファンのみなさんの前に立つ機会がなくなっていくことへの寂しさを感じたからでした。『仮面ライダーゼロワン』と滅を忘れないでいてほしいですね。
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