女優の上野樹里が、きょう28日に放送されるフジテレビ系月9ドラマ『監察医 朝顔』(21:00~22:48)で、10分間にわたる圧巻のシーンを披露する。

  • 上野樹里=フジテレビ提供

今回は、朝顔たちのもとへ21歳の大学生で人気読者モデルの小湊真由(愛甲ひかり)の遺体が運ばれてくる。マンションの前で死亡していた真由は、全身を11カ所も刺されており、死因は背部刺創による出血性ショックだった。SNS上にはこの事件に関するさまざまな憶測や情報が流れ、その中には、真由と親交があったモデル仲間や、かつて交際がウワサされた男性の犯行を疑う声も上がり…。

この第9話のラストでは、朝顔(上野)がアルバイトの医学部生・牛島翔真(望月歩)へ涙ながらに切々と訴えかけるシーンが登場する。第8話から新たに登場した牛島は、法医助手として法医学教室でアルバイトをする大学医学科3年生。一見、飄々(ひょうひょう)とし、何でも要領よくこなす一方、感受性が強く、他人の悲しみを思って涙を流すような顔も持つ牛島は、第9話で、正義感から法医学者としてやってはならないことを犯してしまう。

朝顔は牛島に、安岡光子(志田未来)、高橋涼介(中尾明慶)、藤堂絵美(平岩紙)、藤堂雅史(板尾創路)ら同僚が見守る中、なぜ法医学者という存在がいるのか、法医学者とは遺体にどう向き合うべきなのか、法医学教室で自身の思いを投げかけていく。

このシーンは、第9話最大の山場として約10分間にもわたって描かれ、台本では7ページにもおよび、ほとんどが朝顔のセリフとなる。撮影本番では、10分間の長セリフを一度も間違えずに演じきる上野。上野のみならず、朝顔からの思いを受け取る牛島を演じる望月、その2人を囲む志田、中尾、平岩、板尾ら全員が圧巻の演技を披露している。

演出を務める平野眞氏からOKの声がかかったあと、芝居を目の当たりにした制作スタッフからは、すすり泣く声が漏れていた。

第1シーズンの第10話(19年9月16日放送)では、朝顔が学生たちに法医学の講義をおこなうシーンが登場した。朝顔が、自身の過去を交えながら“法医学者がいる意味”を、涙ながらに学生たちへ語りかける姿は、多くの視聴者の涙を誘った。

今回、朝顔から牛島へ向けて発せられる言葉には、実は2020年だからこそ届けたい、ドラマサイドの思いが込められている。セリフは制作スタッフと上野本人が練りに練って、撮影前には平野氏と金城綾香プロデューサーと上野の3人で、まるで舞台のような場当たり稽古を行い、セリフの確認をするという、異例の入念さで作り上げていった。

金城プロデューサーは「いつもは穏やかな朝顔が怒ることって何だろう、と考えて生まれたお話でした。世の中は変わりました。理不尽さに心が痛くなったり、悲しいニュースの連続に、先の見えない不安がまだまだ消えそうにありません。もし、誰か大切な人が亡くなるときに、朝顔先生のような人が親身に考えてくれたら、少しでも救われた気持ちになるのではないか、そういった願いも込めて、みんなで作り上げたお話です。上野さんの熱量の全てが込められたラストのお芝居に、練習に立ち会った私も、その場で涙が出そうでした。カメラがその全てを収めてくれていると思います。2020年の最後、ぜひ『監察医 朝顔』で締めていただきたいです」と話している。

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