7thシングル「ルミナンスプリンセス」をリリースした声優ユニット・Run Girls, Run!。表題曲はメンバー3人がメインキャストを務めるTVアニメ『キラッとプリ☆チャン』の12月からの新OPテーマだ。この秋の、メンバー自身がプロデュースにも関わったオンラインライブの開催を経て、彼女たちがこのシングルに詰め込んだものとは。インタビューが到着した。

●オンラインライブで再確認できた、メンバー間で通じ合う曲への解釈

――この秋は、オンラインライブを計4公演開催されました。メンバーの皆さんそれぞれがプロデュースにも関わられた公演を通じて、どんなことを感じられましたか?

森嶋優花 想像以上に、それぞれのメンバーの頭の中にあるRun Girls, Run!を見せられたなと思いました。四季をテーマにライブを作っていったんですけど、季節感も想像以上に出せましたし。あと私、思い入れのある「Break the Blue!!」を、あえて自分が担当した春の回には入れなかったんですけど、それは夏に適していると感じたから。好きな曲だからこそ、「夏に入るといいなぁ」と思っていたんです。そうしたら、夏の回担当のはやまる(=林)がちゃんとセットリストに入れてくれて!メンバーとの曲への解釈の一致も感じました。

林鼓子 「Break the Blue!!」の話はいま初めて聞いたんですけど……自分でもとても夏らしい曲だと思っていたので、「一緒だ」と思ってくれていたことが私もすごく嬉しいです。メンバーが1公演まるごとセットリストを考えるのは今回が初めてだったのですごく悩みもしたんですけど、改めてたくさんランガの曲を聴くと、本当に楽曲に恵まれているなと気づいたんですよ。それに、ランガとしての形を深く考える機会にもなったので、そういう意味でもまた一歩成長できた、より自分たちの良さにつながるライブでした。

厚木那奈美 私は3公演目の担当だったので、曲数が増えたとはいえ、やっぱりどうしても曲のかぶりも出てきてしまうんです。なのでそこの兼ね合いと、テーマである秋を表現するためにキーになる「秋いろツイード」をどう引き立たせようか、という流れをとにかく一生懸命考えました。そのなかで、私も改めてランガの曲を聴き直して「めっちゃいい曲多いな!」と思ったんですけど、逆に秋に似合う哀愁が漂ったり寂しさを感じさせるような大人っぽい曲はまだないのかも、という気づきもありました。

●壮大な楽曲に込められた、3人の『キラッとプリ☆チャン』への想い

――そんなライブの4公演目でリリースが発表されたのが、今回の「ルミナンスプリンセス」です。

林 プリ☆チャンの楽曲らしいキラキラさやかわいさもあるんですけど、最初に感じたのはかっこよさでした。今回は”月と太陽”がテーマなので、みらいたちが新キャラクターのアリスちゃんとイヴちゃんの背中を押すような歌詞になっているなとすごく思って。サウンドも太陽みたいにキラキラした部分もありつつ、ちょっとマイナーな音が入っているところからは月っぽさを感じるんです。

厚木 なのでこの1曲だけでも、今までどおりのかわいらしくて弾けた太陽のような明るさの私たちも、逆にちょっと大人っぽい夜の静かさみたいな私たちも表現できたので、本当にとても盛りだくさんな1曲になっているんです。それに落ちサビもすごく壮大な入り方をしているんですよ。

森嶋 さっきお話したオンラインライブのセットリストを組んでいくなかで、プリ☆チャンの曲と一緒に私たちの歴史があるというのも強く感じていたので、「これからも私たちはプリ☆チャンとともにありたい!」みたいな気持ちも込めて歌った曲になりました。特にラストの「どこまででも行こう」というフレーズは、心の底から私が思っていることとピッタリな部分なんです。

――そんなこの曲、歌う際には特にどんな部分を大事にされましたか?

林 背中を押すような歌詞だなという印象が強かったので、ちょっと優しくというか。響きを明るくして、元気づけられるような声で歌いたいなというのはありました。あと、この曲の中では特に、「終わらない恋をしたんだ みんな」というところが好きなんですけど……。

森嶋 あー……好き。

厚木 めっちゃよかった……。

林 突然”恋”という言葉が出てくるんですけど、この”恋”はみらいたちのプリ☆チャンへの憧れや、プリ☆チャンアイドルとして頑張りたいという気持ちを表したものだと私は思ったんです。なので、自分が最初に『キラっとプリ☆チャン』の資料をいただいて、オーディションでみらいを受けると決めたときから今までのことを思い出しながら、私の今までの『キラっとプリ☆チャン』への想いをここに込められるように、特に大切に歌いました。

森嶋 私はこの曲は、語りかけるように歌いました。今までボーカルの先生から歌について学んできたなかで、よく「歌は話すように歌うほうがいいよ」と教えていただいたんですけど、その教訓がピッタリ合う曲だなと思って。しかもそれが、歌うなかで自然とできたんですよ。それを助けてくれたのは、この曲の歌詞だと感じていて。自然と「みんなに伝えたい!」とか「みんなにこういうふうに語りかけたい!」という想いを乗せられました。

厚木 私も今回は、自分の込めたい想いを意識して歌えたように思っています。それと、ちょっとでもいつも以上に声にキラキラが欲しいかったので、この日は表情筋がつるんじゃないかっていうぐらいに口角を上げて、口の中の空間を意識しながら歌っていきました。

――表情は、歌声にもすごく影響しますからね。

厚木 そうなんです。それを強く感じたのが、1番Bメロの「ささやく」というフレーズで。OPを飾る明るい曲なので、全体的に声を張ってキラッとした感じで歌ったほうがいいのかなと考えていたんですけど、1回少しささやきめに歌ってみたら「それ、いいじゃん!」と言っていただけて、「もっと囁いた感じでいいよ」とさらに強調させていただけたんです。

――この曲のMVは”プリ☆チャンランド”を連想するような、遊園地での撮影となりました。

森嶋 歩きながらのリップのシーンの私服は、自分たちで用意したものなんです。

厚木 それぞれの遊園地コーデだもんね(笑)。

森嶋 プラスアルファ、デートっぽいお洋服を……みたいな要望も意識したコーディネートになっています。

――一方で、今回はダンスのシーンも多めな印象です。

林 今まではストーリー性のあるMVが多かったんですけど、今回はすごくかわいい振付にしていただいたダンスをたくさん皆さんに見ていただけるのが嬉しいです。ダンスのシーンに出てきたカルーセルも本当にきれいだったよね?

森嶋 きれいだった!

厚木 うん。すごく幻想的だったし……。

森嶋 本当にイメージが一致してたよね!

――それをバックにしたダンスにも、みなさんが今まで積み上げて来たものが詰まっていると思います。

林 今回もずっと振付をしてくださっているASAMI先生に振付していただきました。なかでも私は、イントロとかに出てくる肩に手を置くようなポーズをしながら跳ぶところが、すごく特徴的だしかわいくて好きです。

厚木 それに、曲と同じく振付も壮大に作ってくださって。特にサビがそうなんですけど、フリの一つひとつが大振りな動きが多いんですよ。ただ、大サビ最初の「夢の向こう」で3人揃ってジャンプするところは、最初は跳ぶ予定がなくて。でも最後に盛り上がれるように、ライブの終盤に金テープが飛ぶ演出みたいなイメージで跳ぶことになって、振付も含めてよりステージをイメージできる曲になったように感じています。

森嶋 この曲は力強さも華やかさも備わっていると感じているんですけど、そういった真逆の要素が1曲の振り付けの中に組み込まれているのは、すごいことだなと思うんです。

――たしかに。サビの冒頭はダイナミックさもありますし、同時にすごくしなやかさもあって。

森嶋 そうなんです。しかもその振付が曲と合わさることでより感情が入るし、歌ったり踊ったりするたびにどんどん気持ちが高まっていくんですよね。

●主題歌でないからこそ、発揮できたあらたなグループとしての色

――そしてカップリング曲「My Best Shine!!」は、ダンサブルでポップな曲になっています。

厚木 こういう曲って、意外と3人での曲になかったんですよ。

林 ね。私、最初聴いたとき「あ、かわいい曲……!」ってなりまして。

森嶋 私も。嬉しかった……。

林 ランガらしい楽曲というと、私は「サクラジェラート」みたいな曲というイメージだったので、「私たち、こういうジャンルも歌えるのかも」と思えて嬉しくなりました。

厚木 「今まで『プリ☆チャン』でたくさんかわいい曲を歌ってきたのに、まだ私たちが出せる違う”かわいい”ってあったんだ」と気づけたのも、タイアップではないグループの色がより出やすくなるカップリング曲ならではですよね。

森嶋 あと、「皆さんの近くで歌いたいなぁ」という気持ちになる曲でもありますね。この曲も最初からステージでのイメージが湧いた曲で。ダンスで魅せるパフォーマンスもいいと思うんですけど、ゆくゆくはトロッコとかに乗ってみんなの近くでコミュニケーションを取りながら歌いたいです!

――弾むようなリズムの曲なので、歌う際に気をつけるポイントも普段と違ったのでは?

林 ただかわいいだけじゃなくて、この曲はみんなと盛り上がれるような曲にしたい、という話があったのもあって、「皆さんに届けよう!」みたいな気持ちをいつも以上に強くして歌いました。あとは、いつもよりもアイドルらしいというか、より女の子らしいかわいさみたいなものをキャラクターを通さなくても出せるように頑張ろうとも思いましたね。

森嶋 めっちゃよかった!「明日また会いたいから」みたいなサビ最後のセリフっぽい歌詞は、全部はやまるでしょ?そこがめっちゃいい……。

林 そこは特に大切に歌ったところなの。1番では「会えちゃうかな?」と相手に問いかけるような感じなんですけど、最後は「明日また会いたいから」って宣言しちゃうので、より感情の波が大きくなるように「明日また会いたいから、私は頑張るよ?」という気持ちで歌いました。逆に私は、1番Aメロの「たまのI love you」のもっちー(=森嶋)の歌い方がすごく好きで。

厚木 かわいいよね!あそこ。

林 ここですごく女の子らしいかわいさを感じたし、ちょっともっちーっぽいなって思った(笑)。

森嶋 嬉しい!それにこの曲、頭サビの最初のソロも歌わせていただいていたりもしているので、そこでどん!ってかわいい世界に引っ張っていけたらいいなという気持ちもありましたし、全体を通して”かわいい”はすごく出したくて。3人でそういう要素の強い曲を表現できることが、とても楽しみでもありました。

厚木 私も今回は、”アイドルっぽさ”はすごく意識しましたね。あと、”弾むようなリズム”とおっしゃいましたけど、私の歌い方はあまりリズムが前に出ていかないので、リズムをしっかり出すために絶対身体のどこかでリズムを刻みながら歌う、と決めてブースに入っていて。なので、いつもよりは厚木のリズムが出ているはずです!

森嶋 それと、ライブでは「Make You Happy!!」とか「It’s my Shine!!」という英語の部分でランナーさん(=ファン)と掛け合えると思うので、それも楽しみです。

――こういう曲だと、どんなダンスになるんでしょうね?

林 振り入れはまだなんですけど……結構踊りたいよね、この曲。

厚木 よりアイドルっぽい感じで踊りたいね。

林 みんなで真似できそうな、手フリとか多くなりそう。

厚木 うん。それでアイドルっぽいキャッチーなフリが多かったらいいなぁ……。

森嶋 どの場面を写真に撮ってもかわいい、みたいな見せ場のある、ポーズ多めのわかりやすいフリがいいよね!

●2021年ユニットでやりたいことは、今年できなかったライブツアー!

――さて、2020年もあっという間に年末が近づいています。”プリパラ&キラッとプリ☆チャン Winter Live 2020”が有観客で開催されたりと、少しずついろいろなことが元に戻っていく流れの今、期待も込めつつ2021年挑戦したいことをお聞きしたいのですが。

林 グループだったら、今年できなかったライブツアーをやりたいよね。 森嶋・厚木 やりたい!

林 こんな状況なのでどうなるかはわからないけど……特に仙台は私たちの始まりの地なので、状況が落ち着いたら絶対に行きたいですし。逆に、まだ全然行ったことのない場所でもライブしてみたいですね。あと個人的には……ジムに通ってすっごいバキバキになりたいです(笑)。

厚木 バキバキにするの!?

林 そう。この春高校を卒業するので、少しだけでも空き時間が増えるんじゃないかなと思うんです。その時間を自分の成長につながることにあてたいです。

厚木 私個人としては……自己評価を上げたいです(笑)。私自身、元ハロプロの道重さゆみさんみたいな自分にすごい自信がある女の子が大好きですし、自分に自信があるだけでいろいろなことがすごくキラキラして見えると思うんです。だから、もっといろいろなことに自信を持って取り組むために、来年はもっと自分の世界を広げられるような挑戦をして、自分にもっといい刺激と変化を与えていきたいです。

森嶋 私は、やっぱり個人としては何に関してもまだまだレベルアップが必要だなと思っていて。自粛期間を通じて自分を見つめ直すきっかけがたくさんあって、まだまだ自分に足りないものを明確に感じていたんですよ。せっかく今、来年に向けてライブも開催できるようになったりといい方向に向かっているので、あのとき感じたことをこれからの自分のレベルアップのために活かしたいです。

――あの期間があったからこそ、見つめ直せたこともある。 森嶋 そうですね。それをただの無駄だった日にはしたくないですね!