ポケモンに育てられ、成長するに従い「自分は何者なんだ?」と考えていくココ。上白石は「ココは自分がどこから来て、これからどこへ向かうべきかという、アイデンティティを模索している。そういった経験は、私にもあります」と心を寄せる。

2011年、ココと同年齢の10歳で東宝シンデレラオーディションのグランプリを受賞して、芸能界入りした上白石。「この世界に入った当初は、習い事のように学ばせていただいている感覚」だったそうで、女優という道に進みたいと決心がついたのは「ここ3、4年のこと」だという。

転機としてあげるのが、2018年のドラマ『義母と娘のブルース』。「綾瀬(はるか)さんと対峙する場面も多く、自分の力不足をすごく感じました。へこんだり、砕ける瞬間があったからこそ、そのときの自分の限界や、置かれている状況も見つめることができたのだと思います。また街中で役名で呼んでいただくこともあって、自覚と責任を持ってお仕事をしたいと感じることもできました。苦しい思いもしましたが、あのドラマがあったからこそ、今がある」。

さらにNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』で演じた前畑秀子役からも力をもらったそうで、「7kgの増量をして、役づくりしました。体当たりだったと言われればそうかもしれませんが、そういった挑戦のできる役を任せていただけたこともうれしくて。あの役を演じられたことは、私の誇りです」と清々しく語る姿も、なんとも頼もしい。

姉の萌音と共に女優として飛躍し、バラエティやトーク番組で見せる人との接し方や、温かな人柄も、視聴者を魅了している。彼女たちを見ていると、「一体、両親からはどのように育てられてきたのだろうか…」と思う人も多いはず。

上白石は「両親共に教師で、父は今でも現役で教師をしているのですが、『いつまでも学び続けなさい』とよく言われています。どの役を演じるにしても、探求していくことが一番大事。いくつになっても学び続けることは大事だなと、改めて思います」と語り、「お堅い家庭ですよね」とにっこり。また「『久しぶりに誰かと会うとしたら、なにかお礼をすることがなかったかを考えろ』とも言われます」と感謝の気持ちも大事にしているといい、「父も母も、人が好きなんです。お店やご飯屋さんなど、行った先で出会った人とすぐに仲良くなるんですよ。そんな陽気な両親のもと育ったので、私も前向きさが身についたのかもしれません」としみじみ。

両親に感謝したいことは、「姉と“姉妹”として産み落としてくれたこと」。「コロナ禍の自粛期間、2カ月の間、2人で一緒に家にいても一度もケンカしなかったんです! 我ながら、本当に仲が良いんだなと思いました。『結婚するならこういう人がいいな』とリアルに思うくらい、好きですね」と笑い、「誰よりも仲が良いし、良き相談相手であり、ライバルでもある。人脈も二倍になるので、初めてお会いする方でも『姉がお世話になりました』という話で打ち解けることもできる。また、姉に悩み事を話すと『わかるよ』と理解してくれるので、同じ女優というお仕事をしていて、とても心強いです。1人で上京してきていたら、こんなふうにお仕事を楽しむことができなかったと思います」と打ち明けた。

映画『劇場版ポケットモンスター ココ』は、12月25日より全国公開。

■上白石萌歌
2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し芸能界デビュー。近年の出演作は、ドラマ『義母と娘のブルース』(18・TBS)、『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(19・日テレ)、『いだてん~東京オリムピック噺~』(19・NHK)、映画『羊と鋼の森』(18)、『3D彼女 リアルガール』(18)、『未来のミライ』(18)、舞台『ゲルニカ』(20)など。また、ドラマ『教場II』が2021年1月3・4日放送。主演映画『子供はわかってあげない』が2021年夏公開。

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト