カメオ出演という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。カメオ出演とは何なのかを知ることで、ドラマや映画を見るときに新しい楽しみ方ができるかもしれませんよ。
本記事ではカメオ出演について、詳しい意味や由来、初めてカメオ出演があったとされる作品や、カメオ出演する理由を紹介。よく似た特別出演や友情出演の意味や、カメオ出演がある有名作品もまとめました。
カメオ出演とは? 意味や由来を解説
カメオ出演とは、映画やドラマ、アニメ、舞台などで、短い時間で強い印象を与える登場の仕方のことです。
登場するのは原作者や監督、政治家やスポーツ選手など、作品に所縁(ゆかり)のある人物であることが多いです。
日本ではあまりなじみのない言葉ですが、ハリウッド映画や韓国ドラマなどではたびたび見ることのできる出演形式で、有名な人物が登場することも多いことから、サプライズ感覚で楽しまれています。
そもそもカメオとは?
そもそもカメオ出演の「カメオ」とはどのような意味なのでしょうか。
カメオとは工芸品・宝飾品の一つで、めのうや貝殻、大理石などに浮き彫りで装飾を施したもののことです。
カメオは基本的に大きく華やかで遠くからでも判別できるということが由来となって、ぱっと目を引く著名人が出演する演出のことをカメオ出演と呼ぶようになったようです。
なぜカメオ出演をするの? その理由とは
カメオ出演にいたる理由としては作品によってもそれぞれですが、一番には「視聴者を楽しませたい」という制作側のサービス心があげられるでしょう。
カメオ出演では大物俳優やスポーツ選手、その作品の原作者など、ファンが見つけると「あ!」と驚いて友達にも教えたくなるような人物が登場します。一度見た作品でも、カメオ出演の登場人物を探すという楽しみのために再度試聴する人も少なくありません。
また、作品の監督やプロデューサーと親交が深いことから、カメオ出演にいたるというケースもあるようです。
カメオ出演の歴史
カメオ出演のはじまりといわれているのが、1924年のバレエ『本日休演』の幕間に上演された無声映画『幕間』です。
『幕間』はとても自由に制作された楽しい映画だったようで、フランスの作曲家であるエリック・サティが友人たちと出演しました。エリック・サティはバレエ音楽も複数制作しているので、幕間映画を見ていたバレエファンも驚いたに違いありませんね。
その後1956年の映画『八十日間世界一周』(ジュール・ヴェルヌ)では、ほんの数秒映る端役をフランク・シナトラが演じるなど、さまざまな大御所俳優たちが入れ替わり立ち替わり出演し話題となりました。
これら作品の遊び心がきっかけとなり、カメオ出演という言葉が使われるようになったといわれています。
混同しがちな「〇〇出演」の意味
日本ではあまり聞きなじみのないカメオ出演ですが、友情出演や特別出演という言葉は知っているという人も多いのではないでしょうか。
次は、カメオ出演と混同されがちな「◯◯出演」について解説します。
特別出演とは
特別出演は大物俳優に脇役としての出演を依頼する場合の言葉です。
普通「格」の高い大物俳優には主役級または出演シーンの多い役を用意しますが、作品の都合上1シーンのみの出番となる場合もあります。
その場合は「特別出演」という形式で依頼し、スタッフロールでもすべての役者が出そろった最後にクレジット付きで紹介するのが慣習になっています。
特別出演は通常のキャスティングと同様にギャラが発生します。友情出演との違いは「ギャラの有無」と区別してもいいでしょう。
友情出演とは
友情出演とは、その名の通り監督やプロデューサー、出演俳優と親交の深い「友人」が出演することです。
友情での出演のため、ギャラはノーギャラ、または低価格で出演することが多いようです。作品によっては友人側から出演を持ちかけることもあります。
日本では「カメオ出演」はあまり使われない?
日本ではあまりなじみのないカメオ出演。しかし、カメオ出演のように著名人が出演する作品は多くあります。
カメオ的な出演をする場合、日本では「特別出演」または「友情出演」というクレジットで紹介するのが今も一般的なようです。
カメオ出演で有名な作品例
次に、カメオ出演で有名な作品を紹介します。見たことのある有名な作品でも、知らなかったカメオがいるかもしれません。
マーベルシリーズ
『アイアンマン』や『スパイダーマン』『マイティ・ソー』など数々のアメコミヒーローを生み出してきた漫画原作者のスタン・リー。
マーベルファンにはもはやおなじみですが、目立ちたがり屋でチャーミングな彼の姿は、マーベル作品にはなくてはならない存在となっていました。実写映画だけではなく、アニメ『スパイダーマン』などにも出演しています。
彼がカメオ出演した作品の興行収入は世界一としてギネスにも登録されているほど。2018年にこの世を去るまで数え切れないほどの作品に登場しているので、ぜひ探してみてくださいね。
ヒッチコック映画
サスペンスの神様として知られるアルフレッド・ヒッチコックもカメオ出演の多い監督の一人です。当初は制作費を浮かす目的ではじめたカメオ出演でしたが、続けるうちに恒例となり、ファンも彼の登場を楽しみにするようになりました。
誰もがわかる著名人とは違い、映画ファンだけがクスッと笑える仕掛けになるのもカメオ出演の魅力の一つです。また、ヒッチコックは作品の内容を邪魔することがないよう、冒頭に出演することが多かったようです。
ピクサーアニメ
ピクサー作品もカメオ出演の宝庫です。過去の作品だけではなく、現在制作中の作品からもさまざまなキャラクターたちがこっそり出演しています。一瞬小さく映るだけのキャラクターも多いので、何度も見返して探す楽しみもありますよ。
2010年に公開された『トイ・ストーリー3』ではおもちゃ仲間の一人(?)として「トトロ」が出演したことも大きな話題となりました。言葉を発するわけではありませんが、ふくふくと大きなかわいらしいぬいぐるみは映画の中でもひときわ大きな存在感をはなっていました。ピクサーとジブリはかねてより親交があり、宮崎駿監督に相談の上出演が決まったようです。
韓国ドラマはカメオ出演が多い
最近再び注目されている韓国ドラマ。AmazonプライムやNetflixを通して楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。
韓国ドラマでもユニークなカメオ出演を多く見ることができます。最近注目されていた韓国ドラマのカメオ出演を紹介します。
愛の不時着
Netflixを通して配信され、多くの日本ファンを生んだ愛の不時着。北朝鮮に不時着してしまうというびっくりするような設定からはじまるラブコメディーです。
愛の不時着では人気俳優のキム・スヒョンが2013年の映画『シークレット・ミッション』に出演した際の役名とまったく同じ名前(北朝鮮からのスパイ「ドング」)として登場するなど、さまざまなカメオ出演が視聴者の話題を呼びました。
あまり韓流カルチャーにくわしくない方でも『冬のソナタ』に出演していたチェ・ジウは知っているのではないでしょうか。
チェ・ジウはなんと本人役として第13話に出演しています。愛の不時着の中では韓国ドラマの名作『天国の階段』が何度も登場します。その縁で出演となったチェ・ジウの登場シーンは『天国の階段』ファンも必見ですよ。
梨泰院クラス
愛の不時着と同時期に日本でも流行したのが『梨泰院クラス』です。たくさんのおいしそうな韓国グルメも登場し、つい食べたくなってしまった人も多いのではないでしょうか。熱いストーリー展開も魅力の名作でした。
そんな梨泰院クラスでは、最終話に「国民の彼氏」と呼ばれている人気俳優パク・ボゴムがイケメンシェフ役で登場していました。パク・ボゴムは彼の主演ドラマである『雲が描いた月明かり』でタッグを組んだプロデューサー・ディレクターとの縁で出演にいたったようです。
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トッケビ
900年生き続けている鬼の恋愛を描くラブファンタジー、トッケビ。コン・ユなどの人気イケメン俳優が多く出ていることから日本でも話題となりました。印象的な挿入歌も魅力の一つです。
トッケビでは「国民的年下男子」と呼ばれるチョン・ヘインのカメオ出演が話題となりました。彼の出演シーンが放送されるとすぐ「あの男の子は誰? 」と問い合わせが殺到したようです。
カメオ出演とは、映画やアニメなどで豪華・意外なゲストが短時間出演すること
監督や有名人が出演するカメオ出演。視聴者を喜ばせたり、驚かせたりすることのできる手法で、映画やドラマ、アニメなどの作品において、一つの魅力となっています。
よく知っているはずの作品でも、あっと驚くようなカメオ出演に気付いていないかもしれませんよ。制作側から視聴者への愛あるサプライズをぜひ探してみてくださいね。